2024年12月5日現在
227,183人のサービス介助士が全国で活躍中!
▲商店街の中で高齢者疑似体験中
「あおよこ」の愛称で親しまれている青物横丁商店街は、東海道五十三次の一番宿として賑わった旧・品川宿の地を中心に広がる広域商店街である。周辺には江戸の風情を伝える名所が点在する一方で、近代的な再開発による高層マンション・オフィスビルなども立ち並び、歴史と新しさが共存する街となっている。
商店街の中の飲食店、食料品店、日用品店、サービス業、製造業など多様な業種の約130の店舗・会社を会員とする青物横丁商店街振興組合では、早くからICポイントカードを導入するなど、情報技術への取り組みを進めてきた。
また、地域とのつながりを大切にし、しながわ宿場まつりなどの地域行事への参加や、地元小中学校との交流、地域サッカー大会の支援などの企画を積極的に展開している。
あおよこチャンネル(青物横丁商店街振興組合)URL:http://www.aoyoko.ch/
同振興組合では「介助が必要なお客様に親切であたたかいおもてなしを心がける街でありたい」との思いから、会員を対象とするサービス介助士資格の普及にも取り組んでいる。
2009年度はサービス介助士検定取得講座の実技教習を商店街内にて開催した。これには普段生活するうえで気づかなかった不便さやサービス・接客状況などを確認し、さらに、その商店街で暮らす他の人々の意識向上への効果も期待できるというメリットがある。
▲高齢者疑似体験中
実技教習の高齢者疑似体験では、老人性白内障と同じような見え方をする特殊ゴーグルを付け、耳栓をし、手足に重りやサポーターを装着して、指を2本ずつしばって手袋をつけるなど、高齢者と同じ身体感覚になって、実際に商店街を歩いたり、店で買い物をしたりした。
いすから車いすへの移乗
視覚障がい者への手引き
車いす使用者や視覚・聴覚障がい者への介助方法、片側にまひがある人への介助方法の実習は、振興組合の会議室で実施。介助する側・される側の両方の立場を体験した。
最後に実技教習のまとめとして、「視覚障がいのあるお客様がスーパーマーケットで買い物をするときの手伝い」という具体的な介助の場面を想定したロールプレイを全員で行った。
▲ロールプレイ中
ロールプレイでは視覚に障がいのあるお客様の役をやりました。介助する側だけでなく、介助される側の立場にもなって実習できたのはとてもよかったです。私の祖母が最近急に視力が落ちて何も見えなくなり、耳も聞こえないので「テレビも見ることができなくなったし、何も楽しいことがない」と言っているのですが、実技教習を受けて、祖母の気持ちが少しわかるようになったと思います。ありがとうございました。
最初は「自分がパーキンソン病で身体に不自由なところがあるのに、人のお世話ができるのだろうか」という不安もありました。しかし、実技教習を終えてみて、お手伝いが必要な人を助けてあげたいという気持ちがますます強くなりました。
障がい者の集まりを手伝うようにになって2年になります。結構苦労も多くて、「もうやめよう」と思ったりもしますが、参加者に「今度はいつやるの?」とたずねられると、続けて行こうという気持ちがわいてきます。そういう心が今回この資格を受講してみてさらに強められたように感じます。
ずっとサービス業に携わってきましたが、健常者のお客様に100%ご満足いただけるサービスを行ってきた自信はありません。そんな私がこれから障がいのある方のお手伝いしていくためには、お声がけの勇気と正しい知識を持つことが大切だと思いました。健常者のお客様にも障がいがあるお客様にも「お互いに助け合う、お手伝いをさせていただく」という同じ気持ちでサービスできるよう勉強していきたいと思います。
「おもてなしの心」というのは日本人が元々持っていた心ですから、その原点に戻らねばならないと実感しました。
いわゆる「老老介護」で、母親の介護をしています。これまで自己流で車いすの操作をしてきましたが、それではいけないことがわかりました。また、まだ歩ける場合は「つかまって歩かせることも大切」ということを教わり、その介助方法を学べたこともよかったです。
何年か後には自分が介護される側になるかもしれません。そのときの心構えとしてもかなり勉強になりました。
高齢者や障がい者など、日常生活に不自由がある人の現状を理解することができました。以前から「人のお世話をしたい」という気持ちは強く持っていましたが、今回実技教習を受けて、お手伝いする際には、介助される人それぞれに合わせて何が必要なのかをよく考えなくてはならないことに気づかされました。
現在はどんな人にとっても生きにくい社会です。しかし、私たちより何十倍、何百倍と日常生活での生きにくさを感じている人がたくさんいるということを、もっと多くの人に知っていただきたいと思いました。小学生・中学生の頃からこういう勉強ができるとよいなと思います。
青物横丁商店街振興組合専務理事の田中立夫さんは次のように語っている。
「青物横丁の街にもご高齢のお客様がだんだん増えてきていますし、障がいのある人も多くいらっしゃいます。そういう方々に『この街なら、いつも親切に大切にしてもらえる』と感じていただけることは、地域社会に対する大切なサービスの一つだと思います。
最近では『店員の対応がいかにもマニュアルどおりだなあ』と思わされることがよくあります。耳ざわりのいい丁寧な言葉遣いをされているのですが、よく聞くと、どこかしら心がこもっていない部分があるように感じるのですね。
『おもてなしの心』とは、そういう形式的な丁寧さではなく、その人が持っている本当の心、その人自身のメンタリティをお客様に伝えて接客することではないでしょうか。それがホスピタリティの一番の基本であり、誰に対しても「自分の心を相手にきちんと伝えられる」ということが大事だと思います。
サービス介助士の実技教習での高齢者や障がいのある人を介助する側・される側の体験を通して、すべてのお客様に対して『おもてなしの心や本当の心を伝えることの大切さ』を実感できたのではないかと思います。
今回受講された方がそれぞれ自分のお店や会社に戻ってリーダーとなり、ここで学んだ『おもてなしの心』を広めていっていただけたら、地域社会にもその心が広がっていくのではないかと期待しています。
『おもてなしの心があるこの商店街や地域でお世話になったから、この地域のために何か役に立ちたいな…』というように、次の世代にもつながっていってほしいと願っています」
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