2024年12月5日現在
227,183人のサービス介助士が全国で活躍中!
株式会社丸井は、首都圏を中心に、22店舗(2008年3月末現在)の商業施設を展開し、駅前出店・自社ブランド開発などにより若年層シェアを大きく獲得している。また、マルイグループ全体では、小売事業を中心にカード事業、小売関連サービス事業を主軸に成長している。
マルイの店舗が集まる新宿地区では、新宿マルイワン(2/20〜)、新宿マルイカレン(2/27〜)のリニューアルに続き、2009年4月24日に新宿マルイ本館がオープンする。
このオープンに先立ち、3月20日(祝)、新宿マルイ本館に入るショップの店長や責任者約60名に対してサービス介助研修が行われた。
(尚、同日午前中には、同社CSR推進部部長の話、代表取締役講演、新宿マルイ本館 施設等についての説明会が開かれている)
▲アイマスクをし、手引きの方法を学ぶ
▲車いすで段差を越える方法を学ぶ
▲上着の着脱の介助方法を学ぶ
通常行われているサービス介助研修(サービス介助セミナー)では、着脱の実習は行わないが、衣料関係のショップの店長が多く参加していることから、カリキュラムに取り入れられた。
▲手話であいさつ『申し訳ございません』
こういう研修は初めて受けましたが、今まで『心のバリア』というものがあったことに気がつきました。今まで思い描いていたものが解決できたというか、突破口になったという印象です。
いつも「すべてのお客様におもてなし接客を」というのが基本ベースにあるのですが、今日の研修を受けてみて、障がいのある方もご高齢者に対しても気持ちと介助技術的な部分では、今まであいまいでいたことが解決でき、すんなりできるようになるだろうなと思いました。すべてのお客様におもてなし接客をすることが、もっとできるようになるだろうなと思っています。
▲サービス介助マニュアル
『MARUI STYLE 〜サービス介助編〜』
(日本ケアフィットサービス協会他 監修・協力)
サービス介助研修参加者には、障がいがあるお客様やご高齢のお客様への店頭における応対方法、注意事項などが掲載されたマニュアルが配付されている。
このマニュアルの作成やサービス介助研修の開催は、CSRサークルのメンバー6人(島野さん・石田さん・志村さん・上村さん・平泉さん・中西さん)が主に携わっている。
この日のサービス介助研修では、新宿マルイ本館で実際にお客様と接する機会があるショップの責任者対象ということもあり、同じように新宿マルイ本館内のショップの責任者でもある島野秀樹さん(勤続13年目)、石田知佳さん(勤続7年目)がインストラクターを務めた。
CSRサークル発足からサービス介助研修開催に至るまでの経緯をうかがった。
今からさかのぼること4年ほど前。マルイグループ内の組合では、「職場ボランティアプロジェクト」と呼ばれる活動の場があった。各店舗に執行委員と呼ばれる組合員が、必ず1か月に1回集まり、店舗内施設のバリアフリー化やお客様サービスの向上、ボランティア活動を行うための話し合いなどが行われていた。
初めは20名ぐらいいた執行委員たちも活動していくうちに6名ほどになった。ずっと「何をしたらいいのか」と模索し続けていたが、インターネットで見つけたのがサービス介助士という資格だった。
2007年の夏ごろ、6人は、「お客様サービスに役立ちそうな資格なので、まず自分たちで取ってみよう」と期間を決めて、個人個人で日付も場所も違うところでサービス介助士を取得した。
そのメンバーの一人である志村さんは受講した時のことを次のように話している。
「初めはサービス介助士自体が本当に未知の世界でした。課題を提出して、会場に実技教習を受けに行って。それかからですね、芽生えてしまったのは。こんなに楽しい研修というか、資格があるんだと。それで、2日間が本当に感動の一言しかなくて、『ただのお手伝いなのに、こんなにすごいことなんだ』と思いました。
それまではお客様に応対していても、車いすの広げ方やたたみ方すらわかりませんでした。必要な時はたたんだまま貸し出していました。実際に勉強してみて『あっ、こんな簡単なことすらわかっていなかったんだ』と驚きました」
志村さんと同じように大きな「気づき」と衝撃を受けた6人は、「マルイグループ内の皆にこういう学びや気づきを伝えたい」という思いが膨らんでいった。
高齢者疑似体験
車いすの介助方法
▲サービス介助士実技教習風景(イメージ)
6人がサービス介助士取得後、会社主導で行うCSRサークルという取り組みがスタートした。サービス介助士資格を取得した6人はそのサークルに入ることを希望した。
「組合の団体でやっている時は、やっぱり力がなかったんです。会社主導でやってくれることになったおかげで、その分の伝達力がアップしました。
それから、元々本社にあったCSR推進部ですと、そこに所属している人たちだけでどこまでできるかというだけなのですが、CSRサークルができたことで、本社に異動しなくても売り場にいながら『何ができるか』という視点で意見が言えたりしますし、売り場にいながらもCSR活動に携われます。自分のやりたいことができるというのはすごくうれしいことでした」(島野さん)
CSRサークルが作られたきっかけは、「本社だけでなく大勢いる社員に門戸を広げて意見を聞いてみよう」という会社の姿勢を反映したものであったという。
現在、本社のCSR推進部が主体となってサービス介助研修を開催していこうという動きになったのは、CSRサークルから盛り上がってきたということと、高齢社会の到来による世の中の動きやマルイグループでのCSR向上の意識とうまく合致したことにもよる。さらに、マルイ新宿本館というマルイグループにとってのキーになる店舗のオープン時期と重なったというところでうまく方向性がかみ合っていった。
2008年末、CSRサークルでは、2009年4月に予定されていた新宿マルイ本館のオープンに向けての社内教育として、サービス介助セミナーを開くことを提案した。
「サービス介助士を取得した時の衝撃が大きかったんです。『この学びをマルイグループ全体で学べたら、すごいなぁ』と思いました。世界中で学ぶべきことじゃないかと。
こんなに簡単に気持ちが変わり、今までとまどっていたお手伝いができるようになる。これがグループ全体でできたらいいなと思ったことからですね。
けれど、自分たちがサービス介助士資格を取った段階では誰もこの資格を知りませんでした。例えば『朝のミーティングでやろうよ』とか『福祉会講座でこういった講座を開いてもられないか』と組合に投げかけたり、色んな角度からせめていったのですが、どれもなかなか人が集まらず、難しいことがわかりました。
『伝えたい、広めたい』という気持ちをどうしたらわかってもらえるのかと話し合っていた時に、CSRサークルに入り会社の力を借りて、インストラクターの資格を取って講座を開けば、説得力も全然違うだろうということになりました。
それで、日本ケアフィットサービス協会のほうに相談し、特別プログラムを組んでいただきました」(島野さん)
この相談を受けた日本ケアフィットサービス協会では、通常はサービス介助士の実技教習を行うインストラクターが法人向けに2時間(〜6時間)の研修(セミナー)を行っている。
CSRサークルから丸井本社を通しての依頼により、「研修(セミナー)のみ対象のインストラクターを育てる」という初めての取り組みが実施された。通常のインストラクター養成講座とは違うプログラムを新たに組み、4日間の講習を受けてもらうこととなった。
東京市ヶ谷での研修(セミナー)インストラクター研修は2月12日〜15日に行われた。
3月20日のサービス介助研修でインストラクターを務めた2人は、当時のことを次のように振り返っている。
「辛い中にもわきあいあいとできたというのがとても大きいです。石井先生も片岡先生も一緒になって笑ってくれたりしてすごく楽しかった。でも、『やるときはやる!』という、とてもよい環境で学べました」(石田さん)
「組合の頃からずっと4年間一緒にやってきて、『ビッグウェーブを起こしたい』とずっと思ってたのにできませんでした。
でも、この研修(セミナー)インストラクター資格を取ればビッグウェーブになるかもしれないという糸口をやっと見つけたので、試験に落ちるわけにいかないと、しゃにむになれました。
4日目が終わった時に「なんで明日はここに来れないんだろう…」と思い、また来たい気持ちでいっぱいにもなりました。すごく大変でしたが、『伝えたい』という気持ちがあったから、頑張れたのだと思います」(島野さん)
インストラクター養成と同じ頃、サービス介助研修で配付し、日常の業務でも使用できるような『サービス介助マニュアル』もCSRサークルを中心に作成された。志村さんは次のように述べている。
「最初はすごい不安でした。簡単なレジュメのイメージだったので、マニュアルを作る際に色々な意見がぶつかりましたし、この6人の気持ちを日本ケアフィットサービス協会を初めとする様々な方のご協力があって、素晴らしいものができたなと思っています。
このマニュアルは、サービス介助研修受講者に配付しています。研修を受けた時に配り、実感しながら見ていただければ、ここに書かれてあることの重さをわかっていただけるかなと思い、むやみに配ってはいません」
▲サービス介助マニュアル
『MARUI STYLE 〜サービス介助編〜』(A5版)
(日本ケアフィットサービス協会他 監修・協力)
「ビッグウェーブを起こしたい」と言い続け、サービス介助士との衝撃の出会いを経て、研修(セミナー)インストラクター資格を得た6人は、ようやくマルイグループ内でのセミナーを開催するに至った。
自分たちが伝えたかったことを伝える場ができたのである。
新宿マルイ本館ショップ長・責任者を対象としたサービス介助研修を担当したインストラクターのお2人に感想をうかがった。
「4年間、ずっと『どうしたらうまく伝えられるんだろう?』と活動してきて、やっと今、伝える方法がわかったんです。それで、『じゃあ伝わるのかどうかやってみよう』とやってみたら、ちゃんと伝わっていることが今日の研修で実感できました。
初めは、研修で実際に『やってください』と言って、皆さんがやってくれる時間が何分かもよくわからない中でやっていて、本当に大丈夫かなと思っていました。
すごい緊張していましたが、最初の5分ぐらいで、皆さんうなずいてくれて、真剣に取り組んでいてくれていたのを見た時に、『この伝え方でいいんだ!』と思い、安心できました。
自分が伝えたいことを、自分の言葉で噛み砕いて言えて、それが伝わっていることが、すごい充実感でした。
当然、もっと検証していかなくてはいけないのですが、ビッグウェーブにつながる第1歩が踏み出せたかなと思っています」(島野さん)
「今日は皆さん責任者なので、同じ立場なんですけど。私たちが入社したころにはすでにベテランだった方もたくさんいらっしゃったので、きちんと話を聞いてくださるかどうかも不安でした。初めてということもあり、すごく緊張して大変疲れましたが、すごい達成感がありました。こちらを見てくれていたことだけですごくうれしくなり、『あっ、伝わってる! 行ける!』と思いました。話を聴きながら、マーカーも引いてくれてたんですね。
最後にアンケートに記入していただいたのですが、『サービス介助士資格を取りたい』と書かれた方が何人かいて、それだけで本当にうれしく思いました。
『相手を思いやって気づかっていれば、思っているより簡単にお手伝いができますよ』ということを一番伝えたかったので、それがわかってもらえていたらいいなと思いました」(石田さん)
CSRサークルメンバーのうち、今年の2月より志村さんが、3月より上村さんがマルイグループ本社のCSR推進部に異動することになった。
志村さんは、今後の目標として次のように話す。
「サービス介助研修では、まず優しい気持ちになっていただきたかったんですね。もちろん技術もそうなんですけど、まず気持ちから切り替えていただいて、お客様にすぐに手をさしのべられるような。
私が実際に体験したのですが、某百貨店の地下食品街に行った時に、ご高齢の方が杖と買い物袋を持っていて、パタンって落とされたんですよ。その時に店員さんがぱっと拾ってさしあげられたんですよ。うちのスタッフもそうなっていただければ良いなと思っています。
今後の目標はまず全店でサービス介助研修を開催していきたいので、全店に発信して、『あっ、こういう研修があるんだ、楽しみだね』と言ってもらえるようにしたいですね。
自分の分身となる伝道師を増やしていくのも目標です。それから、やはり私たちだけでは全店回りきれないと思いますので、私たちがお伝えして伝道師の方に『今度新しく入ってきた新社員をお願いします』というようなバトンタッチができるところまでいければ良いなと思います。
まずは、気持ち。『優しい気持ち』になっていただければと思います」
4月には責任者以外の社員や新入社員約110名に対してもサービス介助研修が行われる。そしてその後も、CSR推進部とCSRサークルは連携をとり、スタッフ・関係者を対象にしたサービス介助研修が開催される予定である。
現在、マルイグループでのサービス介助士は、CSRサークルの6名とマルイキットセンター社長他3名、現在個人で受講されている方も数名いるという。
「サービス介助」という学びに共感したCSRサークルメンバーの「伝えたい!」という熱い気持ちの輪が今後も広がっていくことだろう。
株式会社丸井グループURL:http://www.0101maruigroup.co.jp/index.html
『MARUI STYLE 〜サービス介助編〜』では、「サービス介助士」について次のように紹介されています。
サービス介助士、それは体の不自由な方やご高齢の方に対する“おもてなしの心”と“介助技術”を身につけるための資格です。
『心のバリアフリー』を目指した意識改革や正しく接遇するための“介助技術”の習得に重点を置いています。
『心のバリアフリー』…
2006年12月、バリアフリー新法が施行され、ハード面での対応は進んでいます。しかし、制度面やIT技術の向上などによる利便性の向上に比べ、障がいのある方への接し方など、周囲の人々の理解は十分とはいえません。
建物や制度のバリアをなくすことだけでなく、わたしたち一人ひとりの心の中にある、偏見や無理解、あるいは特別視することを取り除く、「心のバリアフリー」が大切なのです。
【東京】
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