2024年12月5日現在
227,183人のサービス介助士が全国で活躍中!
サービス介助セミナーでの高齢者疑似体験
車いすの操作実習
中日本ハイウェイ・メンテナンス中央株式会社(以下略:中日本メンテ中央、本社:東京都八王子市)は、東名・名神・東海自動車道など中部地区の高速道路の管理運営・建設を行うNEXCO中日本(中日本高速道路株式会社)のグループ会社として、関東・甲信地区の有料道路の維持修繕業務を行っている会社である。
中日本ハイウェイ・メンテナンス中央株式会社URL:http://www.c-nexco-chuoh.jp/
業務の内容は、道路の補修工事、補修工事に伴う交通規制作業、冬期の除雪・融雪などの雪氷対策作業、災害や事故による道路の破損の復旧作業、高速道路サービスエリアや道路の清掃・植栽など多岐にわたる。どれも安全で快適な高速道路ドライブのためには欠かせない仕事だ。
中でも、サービスエリアがきれいで使いやすいかどうかは、快適性を左右する重要なポイントであり、ご利用されるお客様の満足度を高めるためのさらなる施設やサービスの改善が望まれている。
中日本メンテ中央では、サービスエリアのトイレの清掃を担当し、清掃作業以外の時間にはお客様に対するサービスを行うスタッフを『エリアキャスト』と呼び、ブルーの上着に白のボトムスという、鮮やかで清潔感のある制服を着用して業務を行っている。
以前は「清掃作業はお客様の見えないところで行うもの」というのが常識だったが、そうではなく、鮮やかな色の制服を着ることで「自分の仕事を見られている」という自覚を持って積極的に仕事をしてもらうのが狙いだという。
「エリアキャスト」という名称や制服を導入したのは、NEXCO中日本傘下のメンテナンス会社4社のうち中日本メンテ中央が最初であり、「エリアキャスト」という名称や制服の着用は他の3社にも広がっているとのことだ。「サービスにおけるグループ内のリーディング企業」の自覚は高い。
お客様サービス向上の一環として中日本メンテ中央では、2010年3月、エリアキャストを対象に「サービス介助セミナー」を開催した。
サービス介助セミナーとは、高齢な人や障がいのある人など、配慮が必要な人をお迎えする際に必要な「おもてなしの心」と「安全な介助技術」を身につけるための講習である。
高齢者疑似体験セットを装着して階段の上り下り
白内障ゴーグルをかけて
細かい文字を読む
セミナー開催の経緯について、中日本メンテ中央の木村秀夫社長は次のように語る。
「ある時、当社のエリアキャストが、高齢なお客様を自動販売機コーナーにご案内し、飲み物を買うお手伝いをしてからまたベンチまでご案内して、ペットボトルのふたを開けてお渡ししたところ、とても感謝されたということがありました。それを見ておられた他のお客様にも『こんなことまでやってもらえるのか』と高く評価していただけた。
これはたまたまそのエリアキャスト個人の親切心から行ったことですが、全員がこれと同様の意識と介助の技術を持ち、自信を持ってお客様のお手伝いができるようになろうというのが、今回のセミナー開催の目的です」
▲木村秀夫社長
甲府保全サービスセンター内で行われたサービス介助セミナーでは、白内障ゴーグルをかけ、手足にサポーターやおもりをつけ、耳栓をして階段の上り下りや自動販売機の使用などを行ってみる「高齢者疑似体験」、視覚障がい者への手引き、聴覚に障がいがある人とのコミュニケーションのとり方、車いすの操作方法などの実習が行われた。
視覚障がい者への手引き
視覚障がい者への手引き
手話の練習
セミナー終了後、エリアキャストからは、「楽しく受講できた」「とても参考になった」「明日からの仕事に生かしたい」などの感想が寄せられた。
自らエリアキャストとともにセミナーを受講した木村社長は、高齢者疑似体験で白内障ゴーグルをつけた時の驚きが忘れられないと語る。
「白内障になると、あれだけ物が見えづらくなってしまうことは、疑似体験しなければわからなかったと思います。段差の上り下り、特に下りは身体が前に転がっていきそうで本当に怖かったですね。
しかし、一番驚いたのは、『暗いところだけでなく、明るいところでも見えない』ということでした。暗い室内から明るい外に出れば、よく見えるようになるだろうと思っていたのです。ところが太陽の光がまぶしく、視界が全部真っ白になって足元も見えなくなり、一歩も足を踏み出せませんでした。予想もしなかった怖さでした。
こうした高齢者疑似体験のほかにも、車いすの操作や視覚に障がいのある人への手引きなど、いろいろな体験をすることで相手の気持ちがわかるようになりました。とてもいいセミナーだと思いました」
▲車いすで段差を乗り越える
過去には、「中途半端にお客様の身体や車いすに触れて、事故があってはいけない」などということから、エリアキャストに対して「お手伝いを必要としているお客様を見かけても、こちらから声をかけるのではなく、依頼されてから手伝うように」という指導をしていたこともあると木村社長は言う。
「しかし、エリアキャストから『お困りの方を見ないふりはできない。何かお手伝いしたい』という声が上がったのです。積極的にお手伝いするということになれば、正しい知識や技術が必要です。お客様のために、安全な介助の方法や心構えを身につけたいという強い意識がありますので、今回のセミナーも皆真剣に受講してくれました。今後も継続的に開催していきたいと思います」
中日本メンテ中央では、さらにサービス介助士の学びを深めるために、エリアキャスト対象のセミナーと並行して、社員全員がサービス介助士資格を取得する取り組みを進めている。木村社長はトップバッターとして資格取得に取り組み、5月8日・9日の2日間、日本ケアフィットサービス協会市ヶ谷共育センターにて実技教習を受講した。
高齢者疑似体験セットをつけて街へ(先頭が木村社長)
階段を降りてみる
駅の券売機を見てみる
段差のあるところでの車いすの操作(介助役が木村社長)
いすから立ち上がりの手伝いの演習(介助役が木村社長)
木村社長は実技教習の感想を「ちょっとしたコツさえつかめば、それほど体に負担をかけずに、介助のお手伝いができることを学べました」と語っている。
今後もお客様サービス向上のために、サービス介助の学びを多くの社員・エリアキャストに身につけてもらいたいと木村社長は言う。
「高齢な方や障がいのある方にとって、車は大変便利な移動手段です。特に高速道路は一般道より運転しやすいため、そうした方々がサービスエリアに立ち寄られる機会はどんどん多くなると思います。自信を持ってサービスを提供できるエリアキャストが増えてほしいですし、社員も学ぶことで、全員が同じ思いでお客様へのサービスにあたっていきたいと思います」
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