2024年11月18日現在
226,401人のサービス介助士が全国で活躍中!
[左] 高齢者疑似体験で街の中へ
[右] 実技教習での車いすの操作
株式会社オリエンタル・ガード・リサーチは、1985年(昭和60年)、東京・上野のアメ横商店街への来店客が「楽しく、きれいに、安全に」買い物できるための保安警備を目的に、アメ横商店街連合会の関係者によって創立された警備会社である。現在では、東京都内をはじめ、埼玉県、神奈川県、千葉県、および宮城県仙台市を中心に営業活動を展開している。
業務内容は、交通機関、商業施設、病院、銀行、工場などの施設における事件や事故を未然に防ぐ施設警備、建築・土木の工事現場や、催物会場などでの交通誘導警備、現金や美術品、重要書類などを安全に輸送する輸送警備、スポーツイベント・コンサートなどでのイベント警備などであり、生活のあらゆる場面で人々や財産の安全を守っている。また、事故を未然に防ぐ警備にとどまらず、駅構内での車いす補助対応など、施設を安心して利用できるためのサポートも業務として手がけている。
株式会社オリエンタル・ガード・リサーチHP URL:http://www.ogr-jp.com/
他の警備会社の一歩上をいくサービスを行えるよう、警備員教育を充実させているのが同社の大きな特色だ。
警備業法に基づいて行う、新入社員への初任研修と、半年に一度の全警備員を対象とする現任教育に加えて、警備員の質的向上を図る公的資格である警備業務検定資格の取得など、教育研修システムの充実に力を注いでいる。また、実務教育として、社内外の講師による車いす操作研修、AED研修、手話研修なども実施し、社員の能力アップに取り組んでいる。
救命技能認定(AED従事者)の取得者数は500人を超え、東京消防庁からは、「救急行政の推進に多大なる協力を行い、多年にわたり救命技能認定の取得に積極的に取り組んでいる」として、2009年、2010年と2年連続で表彰を受けている。
車いす利用者を講師とする勉強会
車いす操作の社内講習
オリエンタル・ガード・リサーチでは、業務のさらなる質的向上を目指して、2010年から「おもてなしの心と介助技術」を身につけるサービス介助士の資格を導入した。同社の安藤弘二会長はその導入理由について、「業務として高齢者や障がい者の外出をお手伝いできる、高齢者や障がい者にやさしい警備会社になりたい」と語る。
▲オリエンタル・ガード・リサーチ 安藤弘二会長
「当社では、JR東京駅をはじめ、池袋、渋谷、大宮などのターミナル駅と周辺駅の構内の保安業務を担当しています。駅構内はさまざまなお客様が通行されますし、目的地に向かって急いでいる人が多いため、歩く人の速度が一般道路よりも早く、危険も多くなります。警備を行う中で、高齢の人、車いす利用の人、視覚や聴覚に障がいのある人がお困りになっている様子を目の当たりにして、これはお手伝いが必要だと考え、駅での業務の中に、身体障がい者の方への対応業務を加えました」(安藤会長)
車いす利用者への駅構内での移動介助業務を開始したところ、利用者から感謝の手紙を何通ももらうようになったという。その一通の、千葉県市川市に住む女性からの手紙に、「東京駅まで電車でわずか30分の距離でも、外出には大変な勇気が必要です」と書かれていたのを読んだ安藤会長は「その一歩を踏み出すためのお手伝いをしたい」と考えたという。
「今、身体障がい者として認定されている人が全国に約360万人いて、その半数以上の方が『(身体的には)一人で外出することができるが、一人で外出する勇気がない』と外出を控えていると言われています。それだけの方がお困りであれば、わが社の警備員が、業務の中で自信を持って外出時のお手伝いができるようにならねばと思い、サービス介助士の資格取得をすすめることとしました」(安藤会長)
8月26・27日には、猛暑の中、東京・市ヶ谷のNCSA共育センターで開催されたサービス介助士実技教習を14人が受講した。
実技教習では、老人性白内障に近い見え方を体験できる特殊ゴーグルを着け、サポーターとおもりで手足の関節の動きを制限し、耳栓や手袋で聴力や手先の感覚を鈍くして街の中へ出かけ、駅の階段やエレベーターの利用、買い物、食事などを行う「高齢者疑似体験」を行った。
また、車いすの操作、道案内や食事の案内などの視覚障がい者への手引き、手話などの聴覚障がい者とのコミュニケーション、いすから車いすへの移乗、衣服の着脱介助、点字を書くなどの実技を実習を通して学び、最後に実際の介助の場面を想定した総合ロールプレイを行った。
高齢者疑似体験(買い物)
車いすの操作(段差・坂道)
視覚障がい者の手引き(食事の案内)
自分の名前の点字を書く
高齢者疑似体験では「見るのとやるのでは全然違う」ということを実感しました。また、自分が高齢になったときのための準備を今からしておかねばならないとも思いました。
車いすの研修は社内でも行っていますが、平坦な場所での操作ばかりで、段差や坂道での操作は未経験でしたので、実技教習を受けてよかったと思いました。
高齢者疑似体験は、自分が高齢になったときのことを考えるきっかけとなりました。この経験を仕事に生かし、相手の身になってお手伝いしたいと思います。
視覚障がい者の手引きでは、相手がどう手伝ってほしいか声かけをするという基本から教わったので、現場ですぐに生かせる内容だと思いました。
高齢者疑似体験を行ってみて、心から「高齢者に優しく接してあげたい」という気持ちになりました。その翌日、電車内で座席に座っていて、たまたま高齢の方が乗ってこられたときに、声をかけて席をゆずることができました。この気持ちを忘れないようにしたいと思います。
車いすの操作では、傾斜のある道を通るときには、低いほうに車いすが流されると理屈ではわかっていても、まっすぐ進むためにどれだけの力が必要なのかは、実際にやらないとわからないと思いました。私は教育担当なので、「“わかる”と“できる”は違う」と研修でよく言うのですが、改めて、実際にやってみることはすばらしいと痛感しました。
高齢者疑似体験では、いろいろな装備をつけて、身体の自由がきかない状態になります。短時間の体験でもストレスや疲労がたまるのに、これがずっと続く高齢者は本当に大変だと思いました。
私は現場勤務ではないため、車いす介助の経験はないのですが、現場の社員に聞くと「結局自分のペースだけで操作していた」とのことです。実技教習で、車いすに乗って介助される側を経験したことで、これからは相手の方の立場に立った介助ができるのではないかと思います。
▲写真左から皆葉さん、阿出川さん、金城さん、小林さん
9月23日、同社では、サービス介助士の資格取得者への認定証授与式を多数の社員の参列のもとに行った。
▲本社で行われた認定証授与式
「サービス介助士を学び、資格を取得した社員は、仕事をしていくうえで大きな自信を持つことができます。また、当社が仕事をいただいている企業にも、サービス介助士資格のある警備員がいるということで、仕事の質の高さを感じていただけるのではないかと思います。」(小林さん)
「ぜひたくさんの現場の社員がサービス介助士を受講し、学んだことを業務に役立ててほしい。会社として資格取得の取り組みを進めていきたいと思います。」(金城さん)
「サービス介助士で学ぶ内容は、人の気持ちを考えてお手伝いすることなど、健常者のお客様への対応にも十分あてはまるものです。教育担当者として、現場のスタッフへ学んだことをしっかり伝えていきたいと思います」(阿出川さん)
「警備は、事故や事件が何も起こらないことをベストとする仕事で、自分の仕事が形に残るわけでもなく、ともすればやりがいを失うこともあります。しかし当社が業務として行っている車いす利用者への対応は相手のある仕事で、大変やりがいがあります。他の警備会社ではできない仕事ができる会社で働いていることを、これからも誇りにしていきたいと思います」(皆葉さん)
今回は、内勤社員を含む職場のリーダー格の社員が資格を取得したため、これを核にして現場に広げ、社員全員がサービス介助士資格を取得していきたいというのが同社の方針だ。14名の資格取得者に続き、2010年10月末現在で17名が検定取得講座を受講中である。
「今後は警備業務の一環として、外出先での移動のお手伝いをする業務を加えていき、より多くの方が安心して外出を楽しんでいただける社会づくりのお役にたちたいというのが、当社の願いです。これからのサービス介助士の活躍に大きく期待しています」(安藤会長)
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