2024年12月5日現在
227,183人のサービス介助士が全国で活躍中!
東京都の有明にあるパナソニックセンター東京は、パナソニックの総合情報受発信拠点である。
「ユビキタスネットワーク社会の実現」「地球環境との共存」に最先端技術で貢献することをテーマに、近未来の暮らしを楽しみながら体感できるコーポレートショウルームである。海外からの見学者を含め、2002年9月のオープン以来、累計約251万人(2009年1月末現在)が訪れている。
段差の少ないフラットな作り、「だれでもトイレ」などのバリアフリー設備やホスピタリティあふれる対応が知られ、障がいをお持ちの方、高齢な方、子ども連れの方などの見学が増えている。
1階:ユビキタスネットワーク ideas
2階:エコロジー ideas 「エコグラム」
パナソニックセンター東京では、2008年4月〜2009年1月(約10か月間)の障がいをお持ちの方の来館対応数は、367名であった。これは、昨年比の約2倍となっている。学校や施設などの団体での来館が多いが、個人で来館される方も増えてきている。
同センターで来館者の予約から受け入れまでを担当しているのが、運営チームである。同チームの山下身延さんにお話をうかがった。
山下さんは接客業務に関して豊富な経験があったが、あるとき、団体のお客様の中でペースメーカーを装着された方から、施設内の展示商品とご自身の健康への影響について問われ、一瞬とまどった。そこで実際確認したところ、影響がないことがわかり、お客様に説明をし、安心して見学していただいた。
「障がいをお持ちの方に対して一般的な知識しかない」ことや「身体に及ぼす影響についてきちんと知らない」ということがきっかけで、山下さんは、各企業の取り組みを調べ始めた。航空会社・デパート・ホテルなどを回るうちに、初めて「サービス介助士」という資格を知り、早速申し込み、受講した。
「それまで『研修』といえば室内がほとんどでしたが、サービス介助士の実技教習では、8月の炎天下の中、高齢者疑似体験のため外を歩きました。太陽のまぶしさ、街中の段差など、歩行の障がいを身をもって体感しました。いい意味で、自分のマインドが変わった経験でした」
その後、パナソニックセンター東京では、各グループのリーダーを中心にサービス介助士の資格取得を推進している。サービス介助士の実技教習を受講した社員のその後の変化について、山下さんは、「高齢者疑似体験で外を歩いたことに、やはり皆さん一番驚き、『新たな気づきがあった』と述べています。障がいに対することや 高齢な方に対する意識が向上したようです。それぞれの立場に立って知ることで、お客様に対するサービスも考えて取り組めるようになったと思います」と述べている。
2009年1月末現在で、同センター内のサービス介助士取得者は15人、同年3月末までにさらに5人が取得予定となっている。
▲1、3階:リス―ピア(理数の魅力をふれ合うための体感型ミュージアム)
2009年2月4日、「車いす実技の復習とホスピタリティ・マインド再認識」というテーマで、パナソニックセンター東京内において、サービス介助士取得者に対してフォローアップセミナーが開催された。
同センターでは、2007年11月にも車いすの操作方法と高齢者疑似体験のフォローアップセミナーが行われている。
運営担当の山下さんは、このセミナーを開催した理由について、次のように述べている。
「ご来館される方は、いつどういう形でお見えになるかわかりません。すべてのお客様に対してやはり満足して帰っていただくのが一番です。そのためには、実際の館内の施設について理解することが本当に大切だと思います。そのことを知っていただくためにフォローアップの研修をもう一度企画しました。
実際に館内を車いすを使って回り、段差などを体感することによって、よりお客様の立場に立ったおもてなしができるのではないかなと思います。そのことによって、お声がけやお手伝い、見守りの仕方なども違ってくると思います」
普段お客様と実際に接する場所を会場にしたフォローアップセミナーは、サービス介助士の実技教習会場とは違い、現場の目線で再確認できることから好評を得ており、様々な企業でも取り入れられている。
(座学とホール内での実技)
(現場での実技)
思ったよりゆるやかなスロープでしたので、あまり違和感はありませんでした。あと、自分が介助したときに、重さというか引っ張られる感じがあまりしなかったので、よくできているスロープなのかなと思いました。でも、上るとしたら、結構力がいるかなとも思いました。
車いすの上に正座して手を組んで乗ってみましたが…最初怖かったのですが、ここのスロープはゆるやかだったので、前向きで下がってもそんなに怖くありませんでした。もっときついスロープはたくさんあるので、そこでは後ろ向きでないと非常に恐ろしいなと思いました。
前向きで降りる分には違和感なく降りることができました。地面の凸凹のところでは、実際押すよりも自分が乗ってみたときに、かなり振動というか衝撃があるなぁと感じて、新たな気づきでした。
スロープを降りるのに違和感はありませんでした。ゆるやかだったので、押すときも気をつければ特に問題なくできました。
エレベーターでは、上手にまっすぐ入っていかないと、ぶつかってしまうだろうなと思いました。例えば、右手が痛くて左手だけで動かしたとしたら、簡単に車いすが曲がってしまうので、車いすを均等に動かすことは難しいと思いました。今は健康体だから上手にできますが、もしかしたらとっても大変なことなんじゃないかなと思います。
今日は知っているエレベーターでしたから大丈夫でしたが、知らないところだと怖いかもしれないですね。
エレベーターは、中から出るときに、開けるボタンを押しながら車いすを片手で押すことができないので、時間がかかり、ドアが閉まってしまうと思いました。車いす用のボタンを押すと少し長めにドアが開いているのは知ってるのですが、それでも慎重になっているとガチャンと閉められてしまうので、ちょっと怖いですね。
エレベーターは、乗るときに段差を感じたことと、同じくドアの開閉が一人だと難しいなと思いました。
エレベーターでセンター内の1階に下り、展示室内をひと回りしたチームもあった。
車いす操作の練習をセンター内で行っていたときのことです。
ショウルームにあるジオラマ(街中の立体模型)の前に来たとき、車いすに座ってお客様役をしていたスタッフの一人がジオラマの変化に気がつきました。
「桜が咲いている、いつ咲いたのだろう?」
季節に合わせて桜の木が植えられていたようですが、人が立っている目線だと気がつかなかったのでしょう。
車いすに座ることで目線が低くなり、同じ目の高さにある桜に初めて気がついたのです。
目線が異なると見える物も見え方も違ってくるということを体感できたできごとだったと思います。
NPO法人 日本ケアフィットサービス協会※
サービス介助士インストラクター:根本
特定非営利活動法人日本ケアフィットサービス協会は、平成26年4月1日をもちまして、公益財団法人日本ケアフィット共育機構となりました。
(自走で)
トイレの入り口も90度にカーブしてから入らないといけないので、エレベーターの入り口の入り方と同じだと感じました。
トイレは、トイレ機器のメーカーの方から、「ここのトイレはかなり広い」と言われていました。中でも小回りがきくというか回転はできたのでよかったのですが、例えば、自分で便座に乗り移るということは、腕の力に自信がないと厳しいかなと思いました。急いでいるときは、大変だなと思いました。
トイレは、自分で便座に乗り移ってみたのですが、両腕の力がなかったり、どちらかの手を痛めていたりすると、その時点で乗り移ることさえできないと思いました。それにそこでズボンを脱がなくてはいけない。「どこで脱ぐんだろう」と思いました。
それから、便座から車いすに戻るときのほうが大変だとも思いました。後ろが見えにくいので、万が一ブレーキが外れていたりすると、動いてしまって危険だと思います。
ここのトイレはスペースが広いのでスムーズにできたのですが、車いす用トイレも外では狭い所が多いと思うので、トイレに行くことさえ難しいことなんだなぁと思いました。
(ホール内にて)
資格を取得してから1年たつと、忘れがちになってしまいます。フォローアップセミナーで見たりやったりしているうちに介助方法を思い出したので大変ありがたいと思いました。
それから、幸いこの職場ではサービス介助士資格を持っている人がたくさんいるので、自分たちでも声をかけ合って振り返りをしていけたらいいなぁと思いました。
個人的にもフォローアップセミナーのお知らせをいただいていて、「行きたいなぁ」と思っていましたが、仕事の都合でなかなか行くことができませんでした。けれど、こうして来てくださると、参加しやすいなと思います。
忘れていたことも復習していくうちに思い出し、自分の中に残っているなぁと思いました。普段あまり使う機会が少ないので、こういうセミナーはすごく助かるなぁと思いました。
私は内勤なので、お客様と直接接する機会がほとんどないのですが、定期的に復習しておきたいなと思いました。
車いすをご利用のお客様と接することはあまりないのですが、でもその時はある日突然やってくるので、日ごろから定期的に復習する必要性を感じました。
パナソニックセンター東京では、サービス介助士資格を取得していない従業員に対しては、『障がいのあるお客様への接遇マニュアル』(A4版・24ページ)と『サービス介助手帳』(ネームタグに入れて携帯できるもの)を作成し、配付している。
制作にたずさわった山下さんは、次のように述べている。
「何かあったときに、サービス介助士は対応できますが、資格を取得していない人は、『どうしたらいいのだろう』という不安があると思います。このマニュアルや手帳を見て対応してほしいと思い作成しました。
実際に、同じ職場から意見を聞いたり、日本ケアフィットサービス協会の方にもチェックしていただたりしながら作成しました」
同センターで働くすべての人が、介助知識や技術を学ぶことにより、様々なお客様を温かくお迎えし、安心して快適に見学できるような環境づくりに努めている。
各企業に合わせたフォローアップセミナーを開催することが可能です。
詳しい内容は、公益財団法人 日本ケアフィット共育機構 事務局までお問い合わせください。
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