2024年11月18日現在
226,401人のサービス介助士が全国で活躍中!
サービス介助士実技教習での高齢者疑似体験
視覚障がい者への手引き(食事の案内)
昨年2011年に創業100周年の節目を迎えたユニー株式会社は、衣・食・住・余暇にわたる商品を提供する総合小売業として、関東から北陸・東海地区を中心に1府19県下に226店舗を展開する大手流通企業である。「より豊かな生活を提案する店舗」の<アピタ>、「毎日の生活に便利な店舗」の<ピアゴ>の2つの店舗タイプを中心に「新生活創造小売業」の実現に取り組んできた。また同社は、コンビニエンスストアのサークルKサンクス、きものの「さが美」や婦人服の「パレモ」などの各種専門店など数多くの企業によるユニーグループの中核企業でもある。
ユニー株式会社 URL:http://www.uny.co.jp/
ユニー株式会社では、「地域で一番信頼され、喜ばれる小売業」をめざして、「生活解決業」「生活提案業」「生活コスト引き下げ業」の3つのことを宣言している。
「生活解決業」とは、買い物しやすい環境を整え、笑顔での接客や、困ったときの相談、提案などに真摯にお応えさせていただくことで、お客様の「不便・不満・不快」を解決しようというものだ。
その一環として、2007年から、「おもてなしの心と介助技術」を学ぶサービス介助士資格を導入。各店舗の店長・副店長から資格取得をすすめてきた。2012年5月現在、自主的に資格を取得したパートナー社員(パートタイマー)を含め、サービス介助士は1000名を超え、ほとんどの店舗に複数名の有資格者が在籍している。
業務本部人事教育部の担当者は、サービス介助士導入の目的は、「少子高齢化の中で、高齢者や障がいをお持ちの方にも気持ち良く、安心してお買い物をしていただける店舗を作るために、サービスレベルの向上を図ること」だと語る。資格取得の効果はいろいろな面であらわれているという。
「介助の技術はもちろん、ホスピタリティ・マインドを学んだことが日々の接客にも役立っています。また、資格取得者が他の従業員に知識・技術を伝えるという働きかけにより、『お手伝いしたいがどうしたらよいのかわからない』という不安感が解消され、店舗全体としても、以前より積極的にお声かけやお手伝いさせていただけるようになっています。
また、資格取得のための学習や実技教習の受講を通して、高齢者や障がいをお持ちのお客様へのお手伝いさせていただく方法だけでなく、お客様のお気持ちなど、内面の部分への関心や理解が深まったことを感じます。
ほかにも、資格取得者からの口コミによって、パートナー社員の中にも自主的に取得をめざす人が出てくるなどのうれしい効果もあります。今後もこうした輪が広がることを期待しています」(人事教育部担当者)
名古屋市港区にあるアピタ東海通店は、ファッション・暮らし・食品など幅広い品揃えの直営売り場と専門店によって構成され、平日でも5000人、多い日には1万人のお客様にご来店いただける大型ショッピングセンターである。
河村泰子店長(アピタ東海通店)
「来店されるお客様は、高齢の方が年々多くなっていることを感じます。また、2階にマタニティ・ベビー用品の専門店がオープンしたことで、妊娠中の方や幼いお子様連れのお客様も増えています」と、河村泰子店長は語る。
アピタ東海通店は、2011年にドラッグ・化粧品コーナーが改装され、近々調剤薬局も開設するなど、店舗の改装が次々と実施されている。店内は通路が広く、売り場には休憩用にゆったりしたソファーが設置されている。また、視覚障がい者がサービスカウンターでの手伝いをうけやすいように、サービスカウンターへ導く視覚障がい者誘導用ブロックも設置されている。
こうした施設面の充実は、一般の買い物客にとっても買い物しやすい環境となっている。しかし、「施設が変わるだけでは、良い店にはなれません」と河村店長はいう。
「施設の改善はある程度の資金を投資すればできます。しかしそこで仕事をする従業員が、『良い店にしよう』という意思を持って変わっていかなければ、お客様にとって本当に良い店を作り上げることはできません。
当店にはいろいろな講座を受講したり、資格を取得するなど向学心のある従業員が多く、真剣に取り組んでくれているので、とても力になっています。
毎日の業務は忙しく、心にゆとりを持てないこともあるかと思いますが、サービス介助士や認知症サポーター講座などで学ぶことで、『お客様にご奉仕させていただく』という気持ちを持てるようになってほしいと思います」(河村店長)
サービスカウンターへの視覚障がい者誘導用ブロック設置
店内にはゆったり座れるソファが置かれている
アピタ東海通店でサービスカウンター業務の経験がある、サービス介助士を取得したパートナー社員3名の方にお話を伺った。
水野敏江さん(アピタ東海通店 業務課)
サービスカウンターは店舗のインフォメーションも兼ねていますので、いろいろなお客様からのお問い合わせやお手伝いのご依頼を頂戴いたします。
サービスカウンターでの業務を始めた最初のころは、車いすを使用されていたり、視覚に障がいをお持ちで、お手伝いを必要とされるお客様がご来店されたときは、サービス介助士を持つ従業員に連絡して、お手伝いをお願いしていました。しかし、やはり自分自身がきちんと勉強したほうが良いと思い、資格を取得することにしました。
サービス介助士の実技教習で印象的だったのは、車いすの操作でした。ふだん店内でお手伝いさせていただくときには、平坦な床の上で操作することが多いので、坂道の上り下りや、段差のある場所での上り下り、車いすを4人で持ち上げて移動するなどの操作を見てとても驚きました。そうした、いろいろな場面での操作を実際に自分で行うことで、とても勉強になりました。
車いすの操作を学んでからは、車いすのメンテナンスに一層気を使うようになりました。安全に、乗り心地も良くしておかないと、ご利用いただく際にご不便をおかけしてしまうことがよくわかったからです。
また、サービス介助士を学んでからは、言葉遣いがやわらかくなりました。お客様の立場に立って考えてみて「ああ、こういう言い方をしてはいけなかったんだ」とわかるようになったからです。こちらが何気なく使っていた言葉でも、お客様には違って聞こえることがありますからね。
この資格を学んで良かったことは、「こうすればいい」という介助方法がわかって、あやふやな知識や技術ではなく、自信を持ってお手伝いをさせていただくことができるようになったことです。学ぶ前は「こうでいいかしら」とか「こんな感じかしら」と、少し不安な気持ちでいました。例えば、視覚障がいをお持ちの方を手引きさせていただくときには、90度の角度で向きを変えて直角誘導することなど、とてもわかりやすい方法を知ることができ、勉強になったと思います。
小林洋子さん(アピタ東海通店 業務課)
サービスカウンターでは、お手伝いの必要なお客様の介助をさせていただくことも多く、最初は自己流でお手伝いさせていただいていたのですが、やはりきちんと勉強したほうがいいと思い、サービス介助士を取得しました。
実技教習では、高齢者疑似体験が印象に残っています。白内障ゴーグルをかけ、手足にサポーターや重りをつけて街の中へ出かけるのですが、一番不便を感じたのは物の見えにくさでした。コンビニで昼食を買うときには、商品も値段も見えにくくて困りましたし、買った品を食べるときにも、「物が見えにくいとこんなに味もおいしくないものなのか」と思いました。
サービス介助士や、認知症サポーター講座で学んだ従業員が店舗にいることは、売り場での応対にも良い効果が出ていると思います。時には当店の従業員の応対について、お客様からお礼の言葉を頂戴することもあります。
先日は、ご高齢のご夫婦で、奥様が脳梗塞の後遺症で外出できないため、ふだんはホームヘルパーさんに買い物を頼んでおられるお客様から「今日は主人がメモを持って買い物に行ったところ、従業員の方に案内してもらい、商品も一つ一つていねいに見てもらって、満足して買い物ができました。ありがとうございました」というお電話をいただきました。「ホームヘルパーさんに頼めば、品物は手に入るけれども、やはり自分で買い物をしたい」と言われましたね。そういうお気持ちにできるだけお応えできるようにしたいと思います。
サービス介助士を多くの人に学んでもらいたいと思いますね。高齢者疑似体験などの実習では、高齢者や障がいをお持ちの方の立場にもなって体験します。そうすると、相手の気持ちがよくわかるようになり、ふだんの生活や仕事のときにも、相手のことを考えて行動できるようになると思います。 私は最近、ホームヘルパーの資格も取得しました。こうした勉強をすることは、お手伝いを必要とされる人のためにも、これから自分の人生を生きて行くためにも大切なことだと思っています。
張間寿子さん(アピタ東海通店 業務課)
私がサービス介助士を取得したのは2007年です。アピタ東海通店での勤務を一時離れて、施設で介護士をしていたのですが、2006年に復帰することになってすぐ、ある大手流通業で「店長全員がサービス介助士を取得する」ということを新聞で読み、「自分もすぐに取得したい」と思って講座を受講しました。
また、以前、店舗でラッピング講習を受けたときに、ラッピング講習とともに「おもてなしの心」についての講演を聞いたことがとても心に残っていました。その後の施設介護の経験からも、「すべてのお客様が気持ち良くお買い物ができる店をめざさなくてはならない。小売業にも『おもてなしの心』が必要だ」と感じていたことも、資格取得の理由です。
サービス介助士の実技教習の高齢者疑似体験では、コンビニエンスストアで小銭を出すことがなかなかできなかったり、道路のでこぼこに改めて気づいたり、駅の券売機の表示の見えにくさ、階段の上り下りの大変さを知るなど、「高齢者の方には、大変な思いをされる方もいらっしゃるんだな」ということに気づくことができました。教習会場に戻ると疲れきってしまい、買って帰った昼食がのどに通らないほどでした。
サービス介助士で学んだことは、業務の中で十分生かせていると思います。毎週のように来店していただける、視覚に障がいをお持ちのお客様から「ここに来るとあなたがいる、と思うと安心できます」と言われたときには、とてもうれしかったですね。
サービス介助士を学ぶことで、年齢や障がいをお持ちであるなしにかかわらず、とにかく受け入れるという気持ちで接することができるようになったと思います。すべては「受け入れる」ことから始まるのではないでしょうか。
高齢の方も、障がいをお持ちの方も、いろいろな人が普通に暮らせる社会、一言で言えば「ノーマライゼーション」を実現することが、私たちの社会の目標だと思います。まだまだ目標に達していない部分がありますので、多くの人が「ノーマライゼーション」を実現したいという気持ちになり、高齢の方や障がいをお持ちの方がどんどん街の中に出て、仕事をしたり、お買い物をしたり、いろいろな所に出かけたりできる社会になればいいなあと思います。
張間寿子さん(左)、水野敏江さん(中央)小林洋子さん
「地域のお客様に、『このお店があってよかった!』と信頼していただくことが、私たちの一番の喜びです」と、人事教育部の担当者はいう。
「お客様のお困りごとを解決する『生活解決業』として、すべてのお客様に安心して楽しくお買い物をしていただくために、商品はもちろんのこと、私たちのご提供させていただくすべてのサービスを向上していく努力が求められます。サービス介助士の資格取得もその一環として、今後も取得者数の拡大を図っていきたいと思います」(人事教育部担当者)
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