H1 KIZZNA 紲きずな 見えなかった景色が見えてくる「気づきのマガジン」2016 Summer Vol.8 TAKE FREE!! ご自由にお持ち下さい ロングインタビュー 車いすバスケットボール 日本代表男子ヘッドコーチ 及川晋平(PwCあらた監査法人) Change pride to the power 誇りを、力に 生きがいインタビュー/神崎邦子 ボランティア活動TOPICS P2 KIZZNA vol.8 Theme 育む 見えなかった景色が見えてくる「気づきのマガジン」紲。 第8号のキーワードは「育む」です。 私たちはさまざまな失敗をしながら、少しずつ成長していきます。 その歩みは十人十色。成長の速度も、方向も、人それぞれです。 その違いを認め、補い合い、ときに見守る。そんな気持ちを育んでいくことが、 誰もが共に生きる社会をつくり出す第一歩なのではないでしょうか。 今回も、さまざまな夢や想いを抱きながらいきいきと生きる人たちに、 たくさんの素敵な言葉をいただきました。 読んでいただいた皆さまの心に、なにかひとつでも温かいものを残せたら。 そんな想いを込めてお届けします。 P3 KIZZNA 紲きずな 見えなかった景色が見えてくる「気づきのマガジン」kizzna 2016 Summer Vol.8 熊本地震で被災された皆さまへ この度の熊本地震において、お亡くなりになられた方々のご冥福を心よりお祈りいたします。また、被災された皆さまへ心よりお見舞い申し上げます。一日も早い復旧・復興をお祈りしております。 日本ケアフィット共育機構 防災介助士 災害時支援 ハンドブックをWEB公開中です 少しでも被災地での暮らしやボランティア活動などに役立つよう、災害時に役立つ項目をまとめた「災害時支援ハンドブック」を無料公開しました。どうぞご利用ください。 http://www.carefit.org/bousai/pdf/bousai_handbook.pdf 読者プレゼント ボールペン、スマートフォン用タッチペン(ライト機能付) 簡単なアンケートにお答えいただくだけで、今回「生きがいインタビュー」にご登場いただいた神崎邦子さんが代表理事を務める「一般社団法人だんだんボックス」様ご提供の、素敵な「だんだんタッチペン」をプレゼント! ボールペン、スマートフォン用タッチペン、ライトの機能が付いた優れものです! ※ アンケートにご記入いただいた情報は、日本ケアフィット共育機構にて適正に管理し、今回のプレゼント企画でのみ使用させていただきます。尚、応募者の個人情報の収集・管理は、上記の利用目的の範囲内で当誌の製作会社でありますタクトシステム株式会社に委託します。 ※ 応募者多数の場合は抽選とさせていただきます。なお、抽選の結果はプレゼントの発送をもって代えさせていただきます。 アンケートは、こちらのQRコードをスマートフォン等で読み込んでいただくか、URLよりアクセスしてお答えください。 https://qooker.jp/Q/auto/ja/kizzna/08/ 次号予告 『紲 Kizzna』vol.9は 2016年8月25日(木)発行予定です。 P4-7 車いすバスケットボール 日本代表男子ヘッドコーチ 及川 晋平 (PwCあらた監査法人) Profile おいかわ しんぺい 1971年生まれ、千葉県出身。16歳のときに骨肉腫で右脚を切断。22歳のときに車いすバスケットボールを始め、日米のチームを渡り歩く。2000年には日本代表としてシドニーパラリンピックに出場。現在は、PwCあらた監査法人に勤務しながら、車いすバスケットボール日本代表男子と車いすバスケットボールチーム「NO EXCUSE」のヘッドコーチを務め、NPO法人「Jキャンプ」理事長として、車いすバスケットボールの普及、強化活動に携わっている。 たどり着ければ、 もうひとつ上の景色が見える。 及川晋平さんは、車いすバスケットボール選手として 20年に渡って活躍し、パラリンピックにも出場。 昨年、日本代表男子ヘッドコーチとして リオパラリンピック出場を勝ち取りました。 選手として無我夢中で走り続けてきた日々を振り返りながら、 今取り組まれている活動や車いすバスケットボールに かける想いについてお話しを聞きました。 車いすバスケットボールについて コートやゴール、ボールの大きさなどはバスケットボールと同じ。ダブルドリブルの反則はなく、3回車いすをプッシュしたらトラベリングの反則となる。障がいの程度に応じてプレーヤーに点数がつけられており、出場する5人の持ち点の合計が14.0点以内に収まらなければならない。「うまい5人がいれば勝てるわけではなく、チームメートの特徴を互いに理解して、そこからゴールを奪うプロセスをつくりあげるのがとても面白いスポーツです」。(及川さん) シュートを入れられるだけで嬉しかった。 ―― 車いすバスケットボールとの出会いについてお聞かせください。  バスケットボールは子どもの頃から大好きで、高校でもバスケ漬けでした。それが、16歳のときに骨肉腫にかかって右脚を切断することになって。その闘病生活を送っているときに、千葉ホークスという強豪チームから誘われたのが、車いすバスケを知ったきっかけです。  最初はやるつもりはなかったんですよ。車いすなんかでバスケできるか、って。でもあるとき試合を観に行って、考えが変わりました。「バスケにまた出会えた」という感覚でしたね。手術をしてからは身体を動かして汗をかくなんてことはありませんでしたから、その爽快さに感動したのを覚えています。 ―― それからこれまで競技を続けて来られたわけですね。  最初の頃は、大好きなバスケがやれて、シュートを入れられるだけで嬉しかったですね。骨肉腫というのは簡単な病気ではありませんから、手術をして、まずは生きるためにどうするか、その次は社会に復帰するためにどうするか、それだけで精一杯。好きなことができるようになるなんて、思いもしませんでした。  本格的に競技を始めてからは、常に無我夢中でした。なにせ、いつ再発してもおかしくない状況でしたから、日本でもアメリカでも、その恐怖を振り切るために、とにかく目の前にあるバスケをやり続ける。それで力を得て生きながらえるみたいな感覚でした。正直、あの頃はほとんど楽しさを感じなかったですね。 ―― 今でもそうなのでしょうか?  いいえ。数年前、主治医の先生から「もう(心配しなくても)いいんじゃない?」と言われたんです。骨肉腫のような病気は、発症後5年間は、再発すれば即、死につながると言われています。それからの5年間も危険な期間。それを乗り越えて15年、20年と経った頃に、「次発症したら、それは再発とは言えないよ」って。それで肩の力が抜けたというか。その辺りからですかね。選手よりコーチに力を入れだしたのは。とにかく身体を鍛えて気を張って病気を寄せつけない、みたいな時期は終わって、今は学んできたものをいかに伝えるかということに喜びを感じています。 アスリートと企業のパイプ役に。 パラリンピックは 「これでよかった」と思える場所。 ―― NPO法人「Jキャンプ」の理事長を務められていますね。  アメリカに留学していたときに、車いすバスケのトレーニングキャンプに参加したことがあるんです。まずその規模とコーチ陣のスキルの高さに感動しました。そしてなにより、楽しかったんです。その当時の日本での練習と言ったら、「とにかくがんばれ」「見て学べ」という具合で、技術や戦術を教えられる人がいなかった。だから、キャンプで学べたことが新鮮で、こんなキャンプが日本にもあったら楽しいだろうな、と。2001年に北海道で開催したのが始まりです。  それからNPO法人を立ち上げて、年に1回のキャンプを続けてきました。昨年開催されたアジアオセアニアチャンピオンシップで、アジアのライバルである韓国に勝つことができたのも、キャンプで得た強化プログラムを代表チームで続けてきた成果だと思っています。リオ以降も勢いを継続するために、選手、指導者の育成に力を入れていきたいですね。 ―― PwCあらた監査法人でのお仕事について教えてください。  主に、障がい者アスリートのキャリア支援業務に携わっています。障がいのある人が、誰でも同じように就労できるかというと、そうはいきません。企業側からみても、どんな人がどんな業務にマッチするのか事前に判断しにくいという課題があります。  そこで私たちが考えているのが、障がい者スポーツと会社業務のデュアルキャリアです。企業はスポーツをしている障がい者を雇用してその活動を支援する。アスリートたちは競技とのバランスを見ながら少しずつ業務に習熟していく。そしてアスリートとしてのピークを超えたら業務の比率を増やしていくという緩やかな雇用の形ができれば、障がい者雇用のハードルを解消できるのではないか、という試みを始めているところです。 ―― 素晴らしい試みだと思います。  今、東京パラリンピックに向けてアスリート雇用は盛んになっています。でも、2020年が終わったらどうするのかという問題もあるわけです。アスリートが、今はスポーツを一生懸命やりながら、2020年以降のキャリアについても準備していけるように、また企業側もスムーズに障がい者雇用を続けられるように、アスリートと企業のパイプ役になれればと思います。 ―― ヘッドコーチとして臨むパラリンピックへの思いをお聞かせください。  ひとつは、選手たちにパラリンピックという素晴らしい舞台を体感してほしいということです。私自身もシドニーで経験しましたが、開会式で、数万人の中を日本代表のジャージを着て歩くことで、今まで経験したことのない感動や誇りを感じられるんです。選手たちの中には、人生の途中で障がいを負い、悩み苦しみながらここにいる、という者もいます。リオは、彼らにとって「これでよかった」と思えるような場所になると思いますし、この機会を大切にしてほしいですね。  もうひとつは、世界へチャレンジしてほしいということ。目標は6位に設定していますが、そこにたどり着ければ、もうひとつ上の景色が見えると思うんです。だから、私の頭のなかには、泥臭く勝ちに行くための計算がぐるぐるしていますよ(笑)。 ―― 私たちの応援は、皆さんの力になるんでしょうか。  はい。間違いなく。応援してくださる人やボランティアとして関わってくれる人たちがいなければ、私たちはよいプレーができないと思います。私は、スポーツでも社会でも、それぞれ違う立場の人たちがひとつのチームを「一緒に育んでいく」感覚が重要だと思っています。皆さんも遠慮せず、大きな声援を送ってください。一緒にチームを育んでいきましょう。 PwCでは、車いすスポーツへの理解を深めることを目的とした体験会を実施している。 選手に檄を飛ばす及川さん。リオではきっと素晴らしい成果を挙げてくれるはず。 P8-9 Worth living interview 生きがいインタビュー No.04 一般社団法人 だんだんボックス代表理事 神崎邦子さん いろいろなところで、たくさんの人と触れ合って。 みんなに笑顔になってもらうことが何よりの喜び。 目標に向かってひたすらに走り続けて、 日本中、世界中に笑顔の輪を広げたい。 障がい者アーティストがきちんと評価を受けられる世の中に。  すっと伸びた背筋。常に柔和な笑顔をたたえ、ときにユーモアを交えながら明瞭に言葉を紡ぐ。「私の持病は“おせっかい病”だと思っていて。とにかく好奇心が強くて、いつでもみんなを喜ばせたいっていう気持ちが強いんです」と笑う神崎邦子さん。ご主人の仕事の都合で、30年ほど前に福岡に居を構えた。それ以来、古典を研究する会を主催したり、九州市民大学に参加して生涯学習の運営に携わるなど、精力的な活動を展開。現在は東京を拠点に活動されているが、今後は福岡はもちろん、京都、沖縄、仙台、釧路など、各地の人たちに光を当てていきたいという。  「だんだんボックス」を始めたきっかけは、福岡の美術館で見たひとりの障がい者アーティストの絵だった。「これはぜひ皆さんに見てほしいと思って、最初はスペースを借りて展示会をやろうと思っていたんです。でもそれでは、見てくれるのは私の周辺の人たちに限られますよね」。ちょうどその頃、九州大学に赴任してきた建築家の鵜飼さんに、障がい者に絵を教えている鎌田さんをご紹介するために研究室に伺ったのだという。「研究室にはまだ引っ越しの段ボール箱が山積みで。“ここに素敵な絵が描かれていたらいいよね”なんて話したんです」。そこから段ボール箱に障がい者アーティストの絵をデザインするアイディアが生まれたのだという。「段ボール箱だったらいろいろな人に見てもらえるし、自分の描いた絵が宅配や引っ越しで全国を旅して回るって、すごく素敵なことだな、って思ったんです」。そこから、西日本で“ありがとう”を意味する“だんだん”を名前につけた「だんだんボックス」を発足。現在では段ボール箱以外にも、ラッピングバスや自動販売機など、さまざまな場所を障がい者アーティストの絵が彩っている。  「最終的には飛行機を障がい者アーティストの絵でラッピングして、世界中を飛び回ってほしい」と夢を語る神崎さん。「障がい者スポーツはパラリンピックという受け皿がありますが、文化や芸術の分野だとまだまだ福祉の一環にとどまっているのが現状です。それを経済活動に結びつけて、障がい者アーティストがきちんと評価を受けて生きがいを感じられる世の中にしていきたいです」。 目標に向かって走り続けることが幸せ。 まだまだ、いろいろなことを学びたい。  現在、障がいのある子どもたちと学生たちが触れ合うイベントのサポートや、若手企業家のアドバイザーなども務めている。「私自身も、いろいろな方に出会って育てられたと思っています。だから、多くの人たちが出会える場をつくっていきたいし、若い人にはどんどん広い世界にチャレンジしてもらいたい。そこに少しでもお役に立てればと思います」。  「生きがいは、一緒にいて、楽しいと思ってもらうこと」と語る。「夫には“あなたは花さかばあさんだね”なんて言われるんです(笑)。たくさんの人と触れ合って、笑顔になってもらえることが私の生きがい」。“神崎さんならやってくれる”というプレッシャーも活力の素だと笑う。「私、やりたいと思ったら、実現したくなってしまうんです。これは建築家の安藤忠雄さんの言葉なんですが、“人間の幸せは、光のもとにあるのではなくて、光を遠くに見据えて無我夢中に走る、その充実のなかにある”。まさにその通りだと思います。目標に向かってひたすらに走り続けることが、私の幸せなんです」。もし目標をクリアしたら? 「また違う目標をつくって走り始めるわ(笑)。死ぬまで100%なんてことはありませんからね。まだまだ、いろいろなところでたくさんの人に、さまざまのことを教えてもらいたいと思っています」。人と人とを繋ぎ、目標に向かって走り続ける神崎さん。きっとこれからも、軽やかに笑顔の輪を広げ続けてくれることだろう。 Profile 一般社団法人だんだんボックス代表理事 神崎邦子(かんざきくにこ) 東京都浅草生まれ。立教大学を卒業後、子育て情報誌の編集やフリーペーパーのレポーターなどを務める。さまざまな文化活動に携わったのち、現在は「一般社団法人だんだんボックス」代表理事として東京を拠点に活動。2012年には「第3回福岡グッドエイジャー賞」を受賞。長年に渡って九州市民大学の常任理事・運営委員も務めている。 一般社団法人だんだんボックス 2010年「だんだんボックス実行委員会」を設立。2014年に一般社団法人となる。「アートと福祉、地域活性化、経済活動」を結びつけるプロジェクトとして、障がい者アーティストの作品を段ボール箱をはじめとしたさまざまな商品にデザインして販売、障がい者アーティストの社会参加を支援している。 問い合わせ:092-406-9815(だんだんボックス本部事務局) ラッピングバスに載せる絵はコンテストで選ばれる。「ご本人の家族や周りの人が喜んでくれるのが嬉しいですね」。(神崎さん) P10 あらゆる人たちが共に働き、共に学べる場を創造する 「ケアフィットファーム勝沼」 いよいよ障がい者就労支援事業スタート! 日本ケアフィット共育機構では、山梨県甲州市塩山赤尾に事業所を構え、 ブドウづくりと6次産業化を通して、障害者総合支援法における、障がい者就労継続支援事業をスタートします。 今後は、障がい者遠隔地就労や、農場を生かした企業研修などを展開していく予定です。 私たちが農業を通して障がい者就労支援事業を始める理由 私たちは勝沼において6年の歳月を費やしブドウづくりを通して、いくつかの課題に気がつきました。 これらの課題を解決するためには、この事業モデルが最適だと考えたのです。 私たちは、この事業モデルを日本の農業再生のビジネスモデルの先駆けとして、 勝沼から山梨県全域へ、そして全国展開していきます。 事業の目的 ● あらゆる人たちが共に働き、共に学べる場を創造する ● 介助士等の活動の支援と活躍の場の提供を実践する ● 日本の農業の再生と食の安全の確保 事業内容 ● 障がい者就労継続支援A型・B型事業 ● 障がい者遠隔地就労支援事業 ● 農場を生かした農業体験型企業研修事業 ● 6次産業化事業(農産物の生産・加工・販売) 障がい者就労移行支援と遠隔地就労のモデル事業展開 日本ケアフィット共育機構 職業訓練 CAREFIT FARM 農業管理・労務管理 社員研修 農産物・加工品の販売 障がい者 就労移行 障がい者 雇用関係 首都圏企業等 障がい者就労移行支援を 障がい者就労継続支援A型及びB型の多機能型で事業展開 3月にじゃがいもの植えつけをしました。7月の収穫が楽しみです! 平野(後列右端)、竹川(後列右から4人目)も参加しました。 今後の主な予定 6月18日(土)ニンニク収穫 7月23日(土)じゃがいも収穫 8月28日(日)巨峰収穫 ※気候により日程を変更する場合があります。  詳細はホームページをご覧ください。 WEB http://www.carefit.org/farm/ 甲州事業所スタッフ紹介 平野隆司ひらのたかし ケアフィットファーム勝沼のサービス管理責任者です。これまで15年程、障がいのある方の就職支援に全国を回りながら携わり、山梨を新たな生活拠点としてからは学校法人の運営に約12年従事しました。障がい者遠隔地就労という農福連携に基づくビジネスモデルの全国展開を目指して、まずは事業所の立ち上げに取り組んでいます。 竹川華たけかわはな 介護施設で介護福祉士として勤務した経験を生かし、この「ケアフィットファーム勝沼」で一人ひとりの思いや能力を最大限に引き出せるような支援をしていきたいと思っています。すべての人たちが笑顔で溢れ、共に生きられる社会になる活動をし、人と人との繋がりを大切にしていきたいと思っています。 お問い合わせ 公益財団法人 日本ケアフィット共育機構 甲州事業所 〒404-0033山梨県甲州市塩山赤尾650 TEL:0553-39-8681 FAX:0553-39-8682 E-mail:koshu@carefit.org P11 おもてなしの心、 おもいやりの心を大切に。 おも活 「そっと、さっと、あんしんを。」プロジェクト ボクがお助けノ介だよ! 両親とおじいちゃん、おばあちゃん、そして妹と暮らす11歳の元気な男の子。正義感が強くて、困った人を見ると放っておけないがんばり屋さんなんだ。今日もおも活、がんばります! おも活とは・・・  日本ケアフィット共育機構のサービス介助士・講師が小学校を訪問し、障がいのある方への案内方法やレクリエーションを通して、子どもたちに相手の立場になって考えることの大切さを伝える活動。日本ブラインドサッカー協会が開催するダイバーシティ教育プログラム「スポ育」実施校に対しても活動を展開し、2020年に向けてボランティア文化を育てていきます。 「おも活」五箇条 ? 社会にはいろいろな人が暮らしていることを知ろう ? 相手の身になって、ものを考えよう ? 相手を思いやる気持ちを持とう ? しっかりとあいさつしよう ? 家族やお友達に対して、「おも活」を始めてみよう 本校が「おも活」を導入した理由  私たち東京都立小石川中等教育学校では、これまでキャリア教育に力を入れてきました。このキャリア教育の中で、多くの職業の方々のお話しを聞く機会をいただき、生徒たちも私たちも勉強してきました。これらは大切な活動であり、生徒にとって有意義なことだと思っていますが、私はそれだけではどこか足りないという気持ちを抱いていました。  なぜなら、社会を構成している人々は、さまざまいるという視点が抜けていたからです。障がいのある人々や外国人、高齢者や小さな子どもなど、そうした立場をしっかり理解しないと、健全な職業観・勤労観は身につかないのではないかと考えるようになりました。 「おも活」を知ったときから、私は「これだ!」と思い、本校での授業をお願いしました。中学2年生という思春期まっただ中の生徒ですが、多くのことが胸に突き刺さったようでした。実施後の振り返り授業では、「今まで全く知らなかった世界だった」「障がいがあるということは、これほど大変だということが分かった」という声が多数寄せられ、本当にやってよかったと実感しています。  生徒たちにとって貴重な活動ですので、これからも広く活動されることを願っております。 東京都立小石川中等教育学校 国語科教諭 永井充ながいみつる先生 講師の言葉に真剣に耳を傾ける生徒たち。 どんな人が相手でも思いやりを持って接することの大切さを学びます。 学校関係者、保護者の皆さまへ 日本ケアフィット共育機構では「おも活」に参加していただける学校、施設を募集しています。どうぞお気軽にお問い合わせください。 公益財団法人 日本ケアフィット共育機構 〒101-0061 東京都千代田区三崎町2-2-6 TEL:03-6261-2333 FAX:03-6261-2334 WEB http://www.carefit.org/ P12-13 ボランティア活動TOPICS 日本ケアフィット共育機構では、さまざまなイベント会場にリレーションセンター 「TASKAL」ブースを展開し、誰もが娯楽やスポーツを楽しめるお手伝いをしています。 参加したボランティアの皆さんも「楽しい」「充実した時間を過ごせる」と、 いきいきとした表情で語ってくれる「TASKAL」の取り組み。 次はあなたも一緒に参加してみませんか? ?TOKYO VERDY TASKAL with Jリーグ 東京ヴェルディ 今シーズンも全ホームゲームをお手伝いします。  今シーズンも、サッカーJ2リーグに所属する東京ヴェルディが味の素スタジアムなどで開催するホームゲームで、サービス介助士資格を持つボランティアスタッフが、スタジアムを訪れるサポーターの皆さんをお手伝いします。開幕戦にボランティアスタッフとして参加してくれた新垣綾音さんは、「いろいろな人に『ありがとう』と言ってもらえるところがボランティアの良いところだと思います。『ありがとう』と言われると、勇気を出してボランティアしてよかったと感じます。迷ったなら行動!ですね。今回参加させていただいて、ボランティアは、自分を磨く第一歩だと学ぶことができました」と笑顔で話してくれました。 サービス介助士ボランティア/リレーションセンターTASKAL 「リレーションセンターTASKAL」では、サービス介助士資格を持ったスタッフが中心になって、 さまざまなお手伝いをしています。お困りのことがあったらぜひお立ち寄りください! TASKAL参加イベント情報 (2016年6月?8月) ■ Jリーグ東京ヴェルディホームゲーム 6月8日(水) 味の素フィールド西が丘 6月19日(日) 味の素スタジアム 7月10日(日) 味の素スタジアム 7月24日(日) 味の素スタジアム 7月31日(日) 味の素スタジアム 8月11日(木・祝)味の素スタジアム 8月14日(日) 味の素スタジアム ■ ブラインドサッカー日本選手権 7月9・10日(土・日) アミノバイタルフィールド ※イベント内容・日程は変更になる可能性があります。 TASKAL with ブラインドサッカー 「障がいのある人もない人も 混ざり合う社会」の実現に向けて。  3月21日(月祝)に、さいたま市のフットメッセ大宮で開催されたブラインドサッカー「さいたま市ノーマライゼーションカップ2016」では、音声ガイドの貸し出しや、観戦に訪れた方の誘導・案内をお手伝いしました。この日は、首都圏ターミナル駅構内に商業施設「エキュート」を展開する、株式会社JR 東日本ステーションリテイリングの皆さんがボランティアとして参加。リーダーとして参加いただいたCSR 担当の川口さんは、「お客さまをご案内する体験ももちろんですが、ブラインドサッカーがこんなにアクティブなスポーツなんだと知ったことも、社会の一員として意味のあることだと感じました」と、お手伝いだけではないボランティアの魅力を実感されたようでした。 ※川口さんにはJR東日本ステーションリテイリングの社会貢献に関する取り組みについてもお聞きしました。P18で詳しくご紹介しています。 ? 里奈さん (エキュート品川勤務) 今日は視覚障がいのある方のお手伝いをしたのですが、案内するまでもなくおひとりでスイスイ歩かれていました。障がいの有無に関わらず、アクティブに生活されている方からは多くの刺激を受けます。 北村 彩美さん (エキュート東京勤務) ボランティアは初めてだったのですが、今日はサービス介助士の知識が少しは役立ったかな、と思います。今日の経験を生かして、街で見かける障がいのある方に、もっと積極的に声をかけられるようにしたいと思いました。 CSR担当の川口さん P14 あなたの会社、対応は万全ですか? 2016年4月 (障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律) 障害者差別解消法が施行されました。 Q 障害者差別解消法とはどんな法律ですか? A 障がいを理由とする差別の解消を推進する法律です。すべての人がお互いに人格と個性を尊重して共生する社会の実現を目指します。 Q 障害者差別解消法ではどんなことが定められているの? A 一般の企業や店舗などでは、障がいを理由に「不当な差別的取扱い」をしてはならない。 「不当な差別的取扱い」の例 ・車いす利用の方に対して段差を理由に入店を断る。 ・視覚に障がいのあることを理由にアパートを貸さない。 ・障がいを理由にスポーツジムへの入会を断る。 A 障がいのある方に対して、社会的障壁※1を取り除くために必要で「合理的な配慮」に努めること。※2 (※ 1)障がいのある方が、日常生活や社会生活を営む中で、不自由を感じる原因となっている設備やもの・制度・慣行・偏見など。 (※ 2)行政機関では義務 「合理的な配慮」の例 ・段差がある施設にいらした車いす利用の方に、段差を越えるお手伝いをする。携帯スロープをかける。 ・弱視の方に対して文字を大きくするなど、見やすい工夫をする。 ・聴覚に障がいのある方に対して、筆談などにより分かりやすい説明をする。 ご相談ください! サービス介助士13 万人以上の実績! 日本ケアフィット共育機構 日本ケアフィット共育機構では、障害者差別解消法の正しい理解の仕方や、お客さまサービスの検証、見直し、教育・研修などを、ワンストップでお手伝いいたします。 Employee training 社員研修 ・サービス介助士育成 ・セミナー・勉強会の実施など Manual preparation マニュアル作成支援 ・「障害者差別解消法」 対応マニュアル ・介助ハンドブック など Consulting コンサルティング ・障がいのあるお客さまへの対応の仕方 ・施設のバリアフリー・ チェックと改善提案 など 公益財団法人 日本ケアフィット共育機構 〒101-0061 東京都千代田区三崎町2-2-6 TEL:03-6261-2333 FAX:03-6261-2334 WEB:http://www.carefit.org/ P15 Seminar Report ユニバーサル・コミュニケーション・カンファレンス 「障害者差別解消法」施行直前勉強会 場所:日本ケアフィット共育機構 東京共育センター3階 2月23日に、日本ケアフィット共育機構主催の企業交流サロン 「ユニバーサル・コミュニケーション・カンファレンス」において、 「障害者差別解消法」施行直前勉強会が開催されました。 障害者差別解消法の実態と、取り組みを進めている企業の情報を得られるとあって、 60社を超える企業の皆さんに参加いただきました。 東野文人とうのふみひと氏 国土交通省 総合政策局 安心生活政策課 増田豊ますだゆたか氏 全日本空輸株式会社 オペレーションサポートセンター 品質推進部副部長  第一部は東野氏より、障害者差別解消法制定の背景と国交省の事業者向け対応指針についての説明が行われました。具体的な例を挙げながらのわかりやすい説明に、参加された皆さんも理解を深められたようでした。障害者差別解消法の施行は国としても新たな取り組みであり、企業側からのフィードバックを取り入れ、よりよい運用に繋げることを期待している様子が伺えました。  第二部は増田氏による講義が行われました。同社では世界基準のバリアフリー化を推進しており、障害者差別解消法に関しても、全社員にeラーニングの受講を義務づけて理解促進を促しているのだそうです。一方で、自由参加のセミナーへの参加率の問題など、今後に向けた課題もあるとのこと。参加された皆さんにも共通の悩みだったようで、講義終了後の質疑応答では活発な議論が展開されていました。 参加者インタビュー 「今日の勉強会、いかがでしたか?」 株式会社鉄道会館  営業本部 CS向上推進室 阿部衣奈美あべいなみさん 法律の施行にあたり、障がいのあるお客さまへの対応について改めて社内で考えてもらうために、何をどのように伝えればよいか悩んでいました。今回、他社さんの取り組みや、法律について詳しく説明してもらえたことで、伝えていくことが明確になりました。 学校法人産業能率大学 総合研究所 普及事業本部 マーケティングセンター プロジェクト・マネジャー 緒方久人おがたひさとさん 国の方向性として、より優しい社会をつくろうとしているというお話しが聞けて、私たちも、大学という教育の場で「伝える場」をさらにつくる必要があると感じました。今後はより具体的な機会を設けて実践していきたいと思います。 資生堂ジャパン株式会社 トレードマーケティング部 営業活動企画室 販売業務グループ マネージャー 莇清あざみきよしさん いくら国で指針を示してくれても、実際に障がい者と接する機会の多い民間企業こそが主導していかなければ、と感じました。そういった意味で増田さんのお話しは参考になりましたし、今後は社内でも呼びかけていこうと思います。 P16 care-fit通信 今日は何月何日だっけ? そんな約束したからしら? 認知症介助士トピックス 軽度認知障害をご存知ですか? 軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)とは、 健常者と認知症の人の中間の段階にあたる症状のことで、 いわば認知症の予備軍です。現在全国で65歳以上の有病者数が 約400万人と推計されています(2012年厚生労働省)。 認知症高齢者 軽度認知障害の人 約462万人 約400万人 ※注 MCIのすべての者が認知症になるわけではないことに留意 その他の高齢者 65歳以上高齢者人口3,079万人 ?早期診断 ?早期対応 ?認知症の普及・啓発 ?見守りなどの生活支援の充実など →地域での生活継続を可能にする。 軽度認知障害とは 軽度認知障害は、認知機能(記憶、決定、理由づけ、実行など)のうちひとつの機能に問題が生じているものの、日常生活には支障がない状態のことをいいます。この状態においては思考力や判断力が正常であるため、自身の生活習慣の改善など、必要性を理解して行動することができます。 軽度認知障害5つの定義 @記憶障害の訴えが、本人または家族から認められている A日常生活能力は自立できている B全般的認知機能(思考力や判断力)は正常 C年齢や教育レベルの影響のみでは説明できない記憶障害が存在する D認知症ではない 軽度認知症害と診断されたら 軽度認知障害の約半数が、長期的には認知症になることが報告されています。この時期をしっかり見極めて、認知症に進まないよう予防することが必要です。そのためには家族の協力や地域の見守りなど、周囲の人との関わり合いが大切になります。 いつか訪れるかもしれないそのときまでに 認知症は誰にも訪れる可能性のある病気です。家族や知り合い、そして自分自身に、いつか訪れるかもしれないそのときに、受け止め、支え合うことができるよう、今から正しい知識を身につけておきましょう。 認知症介助セミナー 日本ケアフィット共育機構では、認知症についての正しい知識を身につけ、寄り添う認知症介助士の資格認定を行っています。講師による講義や応対についてのディスカッションなどを通して認知症に関する学びを深める認知症介助セミナーも行っておりますので、興味のある方はぜひご参加ください。 認知症介助セミナー開催予定 東京会場  2016年6月18日(土) 2016年8月8日(月) 大阪会場 2016年8月20日(土) 福岡会場 2016年6月1日(水) 詳細は日本ケアフィット共育機構ホームページにてご確認ください。 認知症介助士 資格のご案内  超高齢社会を迎えた日本。認知症はすべての人にとって他人ごとではありません。ご家族、ご自身、お客さま、誰しもが認知症と診断される可能性はあるのです。認知症介助士は、認知症についての正しい知識と適切なケアを身につけたい方に最適の資格です。認知症のご家族をお持ちの方、認知症のお客さまと接する可能性のあるサービス業に従事されている方は、取得を目指されてはいかがでしょう。 詳細・お問い合わせはこちら! ? http://www.carefit.org/ P17 サービス介助士トピックス 分団長に聞きました! 消防団ってなあに? 「消防団」って聞いたことはあるけれど、どんな組織なの? 素朴な疑問に、現役消防団の分団長さんが答えてくれました。 答えてくれた人 新井清司きよしさん 神田消防団第一分団長 神田消防団第一分団の団員。学生や自営業者など、さまざまなメンバーで構成されている。 神田で50年続く展示装飾業を営む二代目。地域の安全を守るため、40年にわたって消防団の活動に従事している。「自分の家族を守るためにも、多くの方に救命講習を受けてほしいですね」 Q 消防団は消防署とは違うの? A 消防は、常に消防活動にあたる消防署と、災害時などに、普段は別のなりわいを持っている住民が臨時に出動する消防団とに分かれています。ですから、近所の魚屋さんやいつも使っているスーパーのお姉さんも、街を歩いている大学生も、もしかしたら消防団員かもしれません。逆に言うと、あなたも消防団員になることができるのです。 Q どうすれば消防団員になれるの? A 消防団は、一般的に18歳以上でその市町村に居住しているか勤務している人なら入団することができますが、市町村ごとに入団資格が定められていますので、入団したい場合は、各市町村または消防署に問い合わせてください。ちなみに、消防団員は、非常勤公務員として報酬・手当が支給されるほか、万一のときには公務災害の補償も用意されているんですよ。 Q 消防団はどれくらいあるの? A 2015年4月1日現在で、全国の消防団数は2208団、消防団員数は85万9995人ですが、近年、消防団員の数はいちじるしく減少しています(「平成27年版 消防白書」)。その背景には、農村部、都市部を問わず住民のサラリーマン化が進み、その土地で自営しようという若い力が極めて少なくなっていることなどがあります。 Q 消防団はどんなことをしてくれるの? A 夏祭りや年末の特別警戒、火災予防運動などのほか、大地震などの大規模災害の際には、救助運動や避難誘導も担当します。日頃から消防に従事し、装備も充実している消防署のほうが威力を発揮するように思われがちですが、多くの実動人員を必要とする救助活動や避難誘導には、消防団の力も決して軽視できないものがあり、このふたつの組織の協働により最大限の「消防力」を発揮することができるのです。  消防団は江戸時代の「町火消」をルーツとし、数百年にわたって地域の防災・消防に貢献してきました。地域の連帯が弱まっている一方、万が一への備えがより強く求められる今、地域に精通し、「顔の見える」防災、消防を展開してくれる消防団の存在は、ますます必要とされるのではないでしょうか。 防災介助士 資格のご案内  いつでも起こりうる災害について普段からどのように備えるか、災害時にどのように行動するかを理解し、実践できるのが防災介助士です。もしものときに役立つ知識や技術を身に付けることはもちろん、日常から防災を意識することで、被害を最小限に抑え、自分や大切な人を守ることができるのです。個人に限らず企業や学校関係の方も、講習へのご参加をお待ちしています。 詳細・お問い合わせはこちら! ? http://www.carefit.org/ P18 サービス介助士トピックス サービス介助士資格を生かした ボランティア活動 川口 治さん 株式会社JR東日本ステーションリテイリング 営業部 「すべての人に優しくあるために」 駅構内に商業施設「エキュート」を展開・運営されている、株式会社JR東日本ステーションリテイリングでは、全社員がサービス介助士資格を取得しています。3月21日(月祝)に開催されたブラインドサッカー「さいたま市 ノーマライゼーションカップ」では、同社の皆さんに、リレーションセンター「TASKAL」のボランティアスタッフとして参加いただいています。当日はボランティアリーダーとして参加いただいたCSR担当川口さんに、同社の取り組みについてお話しを聞きました。 Q 今回のボランティア活動に参加された理由を教えてください。 A 当社では、社長から新入社員に至るまで、全社員がサービス介助士資格を取得しています。その資格を生かせるCSR 活動の一環として、このような多くのお客さまが来場される場でのボランティアは最適と考え、参加させていただきました。最初の活動となった昨年10月のウィルチェアラグビーの大会(アジア・オセアニア選手権)の際には、社内各部署から集まったCSR担当者で参加し、2度目の今回は、今年度入社した新入社員も含めた計7名で参加させていただきました。 Q このような活動に参加されることにどんな意義を感じていらっしゃいますか? A 当社には「ハートフルステーション?すべての人に優しい駅?」というサービスコンセプトがあります。当社の運営する「エキュート」には、老若男女さまざまな方が訪れます。すべての人に優しい駅であるためには、バリアフリー対策などの環境面での優しさだけでなく、そこで働く人の優しさが大切です。このような活動を通して社会の役に立つとともに、お手伝いの経験を生かして、仕事の現場でもより的確なご案内ができるようになりたいと考えています。 Q 今後はどのような活動を予定されていますか? A 継続的にこのようなボランティア活動の場を設定していく予定です。当社の社員が、会場を訪れるいろいろな方に貢献し、その経験を普段の業務にも生かしていければと思っています。サービス介助士の資格に関しても、取得して終わりということではなくて、今回のような実践の場を持ち、定期的に学び直しながら、すべての人に優しい駅であり続けることと社会貢献に生かしていきたいと思います。 サービス介助士 資格のご案内  サービス介助士とは、高齢の人や障がいがある人を手伝うときの「おもてなしの心」と「介助技術」を学び、相手に安心していただきながら手伝いができる人のことで、駅や空港、銀行、ホテルなどで活躍しています。お仕事をお持ちの方でも平均2ヶ月で取得できるサービス介助士資格。個人、法人問わず参加できる無料の講座説明会も行っていますので、ぜひ一度お問い合わせください。 詳細・お問い合わせはこちら! ? http://www.carefit.org/ P19 Care Fit Interview 「すべての人が安心して生活できる環境づくり」 単に人を配置するだけでなく、ホスピタリティ精神に則った警備業務を行うことをモットーとしている「株式会社 オリエンタル・ガード・リサーチ」。同社では、安全・安心なサービスを提供するために、各種資格の取得を奨励するなど、人材教育にも力を入れています。 お客さまの要望を取り入れながら、より安全・安心なご案内を。  当社では、そのお客さまに合った対応をしなければ、警備の本質である安全・安心を確保することはできないと考えています。そこで、全社員が車いす利用の方や視覚障がいのある方のご案内ができるようにと、10年ほど前から接遇教育を開始しました。現在、お客さまからのご要望もあり、女性スタッフの登用を積極的に進めています。女性ならではのソフトな対応に、声がかけやすく、安心できると好評をいただいています。今後は女性がより働きやすい環境を整えるべく、社員教育の充実と共に、制服デザインの一新などを検討しています。これからも、当社に関わるすべての方が安心して生活できる環境づくりを継続していきます。 株式会社 オリエンタル・ガード・リサーチ 代表取締役会長 安藤 弘二さん (株)オリエンタル・ガード・リサーチは創業30周年を迎えたセキュリティのプロフェッショナル集団。ビルや駅構内・大学・ホテルなどの施設警備や内部保安、工事現場、道路での交通誘導やイベント警備、現金や貴重品などの輸送業務、人材派遣業務など幅広いサービスを展開。また、サービス介助士をはじめとする専門的な技術や知識とともに高いホスピタリティを身につけた警備員を育成し、鉄道会社をはじめ多数の顧客から高い評価を受けている。 さらに「人に優しい警備」を追求するために、女性スタッフを増員中。 株式会社 オリエンタル・ガード・リサーチ 梅澤 紀子さん/小倉 和子さん オリエンタル・ガード・リサーチでは、よりホスピタリティを高めた「人に優しい警備」を追求するために、女性スタッフの増員に力を入れています。 梅澤 当社の特徴として、障がいのある方や高齢の方への積極的な声かけや対応が挙げられると思います。警備業というと固いイメージがありますが、私どもは業務をサービス業と捉え、施設を利用される方により気分よく過ごしていただけるよう、質の高いホスピタリティをご提供することを大切に考えています。例えば、警備員の制服を着ていることで警戒されてしまう方もいらっしゃるので、声をおかけする際には目線を合わせ、優しい口調で語りかけるといったことですね。以前、毎日ご案内していた白杖使用の方から「いつもありがとう」と声をかけていただけたときには、とても嬉しかったです。 小倉 私は入社して間もないので、社内で研修中です。研修を受けてみて、福祉と警備という全く異なると思われている分野を同時に学べることは、業務だけでなく、自分の人生の大きな糧になるのではないかと感じています。対応をしっかり学ぶことで、さまざまな方のお役に立つことができればと、現場に出るのを楽しみにしています。 梅澤紀子さん(右)、小倉和子さん(左) オリエンタル・ガード・リサーチの各種業務内容 施設警備・交通誘導警備・集金代行 イベント警備・業務請負・人材派遣業務 株式会社 オリエンタル・ガード・リサーチ お問い合わせはお気軽に! ? 03-3839-1877 詳しくはホームページをご覧ください。 http://www.ogr-jp.com WEB http://www.ogr-jp.com 右側のQRコードからウェブサイトがご覧いただけます。? P24(誌面構成に対応し、逆順で抽出。P20まで) From the scene of tenderness やさしさの現場から ?教育機関特集? 今の時代に学ぶということ。 立教大学の松尾先生に見せていただいた資料によると、 大学入学後にボランティア活動の経験が「ある」と答えた学生の比率は、年々上昇傾向にあるのだそうです。 また、東洋大学の島川先生は「東日本大震災以降、明らかに学生たちの空気が変わった」とおっしゃいます。 子どもの頃から未曾有の不況や自然災害を経験してきた彼ら彼女たちの世代では、 それ以前に生まれた世代と比べて、人に寄り添う心や助け合いの精神が、 より自然に備わっているのかもしれません。 今回お話しを聞いた先生方に共通していたのは、学生たちに寄り添い、背中を押す姿勢でした。 学ぶ場を与えられた学生たちは、伸び伸びと自ら学び、そこから得たものを社会に還元していくことでしょう。 そんな好循環が教育の現場で生まれていることを、とても喜ばしく感じました。 東洋大学 国際地域学部 国際観光学科 立教大学 コミュニティ福祉学部 スポーツウエルネス学科 大学入学後のボランティア活動への参加比率 活動内容の内訳:「地域活性化活動」、「児童福祉関係活動」、「環境保全活動」(複数回答) 2002年 17.3% 2006年 23.4% 2010年 26.5% 0 5 10 15 20 25 30 平成25年度日本私立大学連盟(対象:122大学/回収数:7,117名) 「学生の傾向から見たこれからの学生支援」?第13回学生生活実態調査から? P23 「誰でもいつでも観光に行ける世界へ」 東洋大学 国際地域学部 国際観光学科 島川ゼミ 島川崇しまかわたかしさん 東洋大学国際観光学科島川ゼミのテーマは「文学と観光」。さらに全員がサービス介助士資格の取得を義務づけられているのだそうです。「観光」と「文学」と「介助」。一見すると無関係に思えますが、ゼミ生たちはこのゼミでどんな学びを得ているのでしょうか。島川先生とゼミ生の皆さんにお話しを聞きました。 「知らないことを知る」その先にある世界とは  私たちのゼミの通奏低音となっているのは、「知らないことを知る」というテーマです。共感できる狭い世界だけでなく、知らなかった世界も理解することで視野を広げていこう、ということですね。私たちのゼミは「文学と観光」をテーマとしていますが、本を読むということは、それまで知らなかった世界への気づきに繋がります。さらにその本の舞台や作者の生まれ育った土地を訪れることで、本や土地への理解をより深めていく。そんな活動を続けているんです。  ゼミを挙げて行っている福祉活動も、障がい者や高齢者と接することで、知らなかった世界を知る大切なきっかけとなり得ます。さらに、学生たちが目指す観光業界では、世界的な潮流として、将来に渡って持続可能な「サステナブルツーリズム」と、誰でも出かけられる「アクセシブルツーリズム」というふたつの大きな方向性に注目が集まっているのですが、誰でもいつでも観光に行ける世界の実現について考えるとき、福祉や介助への理解は、とても意義を持ってくると思うんです。 旅の持つ大きな力を生かし、広げてほしい  私がゼミの活動に「福祉」を付け加えたのは東日本大震災がきっかけでした。最初は学生たちを連れてがれきや汚泥の撤去作業ボランティアで東北に向かいました。それから定期的にボランティアで伺ったり、ご縁で知り合った三陸鉄道の方とディスカッションを重ねて「被災地観光」の枠組みに参加したりするうちに、観光に携わる人間にとって、福祉の心を持つことがいかに大切か、改めて気がついたんです。  旅というのは大きな力を持っています。普段は感情をなかなか表に出せない障がいのあるお子さんが旅行先で笑顔になったり、ご高齢の女性が新婚旅行で行った場所を訪れて、まるで少女のように明るい表情を見せてくれたりする。私たちのゼミから、そんな旅の可能性を広げられる人材が育ってくれたら嬉しいですね。 被災地観光?観光を楽しみながら震災を学ぶ枠組み? 島川先生は、三陸鉄道沿線の観光を楽しみながら現地の人の言葉で震災について学べる「被災地観光」の枠組みづくりに参画されています。島川ゼミの学生たちも多数参加し、昨年度からは、インターンシップとして地元企業での海産物加工や民宿の手伝いを通して、地元の方たちと交流を深めるという試みも始まっているそうです。 P22 「人間として成長できた実感があります」 ―― このゼミに入ってどんなことを学びましたか? 平山 障がいのあるなしに関わらず、その人がどんなことでサポートしてほしいのかを考える習慣がついたのは、このゼミのおかげだと思います。 高野 バリアフリーツアーを開催する企業にインターンシップに行く機会があったのですが、細かな気配りや声かけに接することで、ハード面だけではなくて、人の心でバリアを低くできるんだ、ということが学べました。 宍戸 サービス介助士の講習を受けたことで、福祉についても興味を持つことができましたし、人間として成長できた実感があります。 ―― 周りの人たちの福祉に対する意識で感じるところはありますか? 宍戸 国際観光学科の子は意識が高い気がします。 高野 友だちの輪を広げるという目的でボランティアをしてる子も多いですね。福祉とか介助ボランティアをしている子はあんまりいないかも。ちょっと身構えてしまうのかもしれないですね。 平山 私の周りもそうですね。ボランティアってひと口に言ってもいろいろだから、自分の興味のある分野から入ると続きやすいのかな、と思います。 ―― ありがとうございました! 島川ゼミでは毎年、「車いす利用高齢者・江の島見学会」ボランティアに参加している。 平山さん(左)は航空会社への就職が決まっており、高野さん(中)は旅行会社か福祉施設を志望して就職活動中。そんな先輩たちの言葉を熱心に聞く宍戸さん(右)。 東洋大学 国際地域学部 国際観光学科 平山真保ひらやままほさん(4年) 高野真優たかのまゆさん(3年) 宍戸真優ししどまゆさん(2年) ※学年は2015年度のものです。 先輩後輩トーク 拾い書き 取材終了後…… 高野 平山さん、どうして手話を習おうって思ったんですか? 平山 え、急!(笑)…いろんな人としゃべりたいと思ったからかな。語学でもよかったんだけど、その言葉を話す人としかしゃべれないでしょ? 手話だったら世界中の人と話せる、って思ったの。 高野 耳の聞こえない人と文字でやり取りしたりは経験あるんですけど、手話って難しそうで…。 平山 そんなに構えなくていいと思うよ。外国の人に片言でも「アリガトウ」「コンニチハ」って言ってもらえたらうれしいでしょ? 手話も、ひとつふたつ知っているだけでも心は伝わると思う。 高野 確かに! 今日はいいこと聞けた!(笑) ―― このやり取りに、「知らないことを知る」島川ゼミの志が引き継がれる瞬間を見た気がしました。取材へのご協力ありがとうございました!! P21 「学生の資質を引き出す仕組みづくりを」 立教大学 コミュニティ福祉学部 スポーツウエルネス学科 松尾哲矢まつおてつやさん 安藤佳代子あんどうかよこさん 立教大学の松尾哲矢先生と安藤佳代子先生が取り組んでいるのは、スポーツを通してすべての人が健康で幸せになるための社会づくり。学生たちは、どうすればみんなが楽しく幸せに生きられるかを考えることで、自然と福祉の精神が身につくと言います。 一歩を踏み出す後押しが重要 松尾 立教大学には、現在多くのボランティアサークルがあり、本学部においても、東日本大震災発生時に復興支援室を立ち上げ、今でも学生が主導して被災地支援活動を継続するなど、積極的にボランティアに参加する学生が目立ちます。立教大学の建学の精神に「真理を探求して人に仕える人になりなさい」という趣旨の言葉がありますが、その精神のもとで学ぶ本学の学生は、ボランティア活動との親和性が高いといえるかもしれません。 安藤 障がい者スポーツのボランティア活動や障がいのある方と関わった経験を持つ学生はまだ少数です。私の担当している授業ではさまざまな障がい者スポーツの体験も行っていますが、受講した学生たちは目に見えて意識が変わります。大会を観戦したりボランティアに行きたいといった最初の一歩を後押ししてあげることが私たちの役割だと思っています。 資質を引き出す仕組みづくり 松尾 本学には、学生の自主性を大学がサポートする「助育」という指針があります。実は安藤先生のゼミで使っている競技用車いすの購入も、学生からのリクエストだったんです。障がい者スポーツを理解するために自分たちも体験してみたい、という学生からの申し出に、それなら助成金をつけるからやってごらんなさい、という形ですね。 安藤 本学部には、学部付属の「コミュニティ福祉研究所」があり、学生が企画した講習会や体験会に助成を行う仕組みがあります。昨年、その助成を受けた企画として、学生たちが小学校に出向いて選手と一緒に障がい者スポーツ教室を行いました。障がい者スポーツ大会のボランティアも定期的に募集して、学生が積極的に参加しやすいようアプローチしています。 松尾 今の学生は、生きてきた社会背景がシビアな分、考え方が真面目で、人に対してとても優しいまなざしを持っています。そういった資質をもっと引き出してあげられる仕組みをつくっていきたいですね。 P20 「価値観が変わって、ボランティアにハマりました」 学生が中心になって開催した 「ゴールボール教室」 「コミュニティ福祉研究所」の助成を受けて、小学校で選手と一緒にゴールボール教室を開催。リーダーを務めた吉田さんは、自分たちが体験したものを人に伝えることで、より深い理解に繋がったと語ってくれました。 ―― これまでどんなボランティア活動に参加しましたか? 吉田 主にブラインドサッカーの大会のお手伝いです。初めて参加したときに、障がい者割引を撤廃する代わりにスタッフが障がいのある方のサポートをする、という考え方に触れて、価値観ががらりと変わりました。それ以来ボランティアにハマって、ブラインドサッカーの大会があると必ず参加するようにしています。 中村 障がい者スポーツ施設のお手伝いなどをしています。休みの日に募集があったらふらっと参加するような感覚ですね。友人のなかには「お金がもらえないなら行きたくない」という人もいますが、自分にとっては、ボランティア活動を通して人との接し方や物事に対する新たな見方を得た経験のほうが、お金を得ることよりも大きかったです。 ―― この学部に入って、どんなことを学びましたか? 中村 ある先生の「人によって当たり前?は違うんだよ」という言葉がとても印象に残っています。自分にとっては歩けることが当たり前だけど、車いす利用の方にとってはそうではない。自分の当たり前を人に押し付けてはいけないんだ、ということを学べたのは、自分の人生にとってとても大きかったと思います。 吉田 学科名の「ウエルネス(=健康)」という言葉を、病気や怪我のない状態だけを指すのではなくて、もっと広い意味で、生き方として捉えるということだと教わったときに、アクティブな障がいのある方と接するなかで感じていたこととリンクして、この学校に来てよかったと思いました。卒業してからも、ここで学んだことを生かしてボランティアや障がい者スポーツに携わっていきたいと思います。 ―― ありがとうございました! 立教大学 コミュニティ福祉学部 スポーツウエルネス学科 中村真博なかむらまさひろさん(3年) 吉田茉莉よしだまりさん(3年) ※学年は2015年度のものです。 中村さん(左)はスポーツ社会学を学んでおり、大学院に進む予定。吉田さん(右)は障がい者スポーツ関連の企業を志望して就職活動中。 P25 特集 自閉症について知っておきたい3つのこと 自閉症は、通常、生後30ヵ月までに発症する先天的な脳の機能障がいのこと。 アメリカにおける2014年の調査では、68人に1人が自閉症と言われています。 近年認知度は高まっていますが、症状の多様さや交わる機会の少なさから、 偏見を持たれたり誤解されている部分もあります。 自閉症と判断される基準 「言語の発達の遅れ」 コミュニケーションを目的とした言葉の発達が遅いという特徴があります。知的障がいが伴うこともあれば、なかには高いIQを示す場合もあり、一人ひとりの症状が多様なことも特徴です。 「対人関係・社会関係の障がい」 目を合わせられない、相手の表情を読み取れないなど、非言語性行動を理解するのが難しく、その場の状況や雰囲気を理解しにくいために、社会的な関わりを築くのが苦手です。 「パターン化した行動・こだわり」 手をひらひらさせる、顔をしかめる、奇声を上げるなどの「常同行動」や、いつも同じ道を歩く、ものをひたすら並べるなど、特定のものごとに執拗にこだわります。 その1 自閉症は心の病ではなく、先天性の障がい  いまだに、自閉症は親御さんの愛情不足からくる心の病という誤解を持っている人もいますが、「自閉症スペクトラム障害」という先天的な脳の障がいです。一見落ち着きがないように見える常同行動や、他人への愛着を示さないといった症状からそのような誤解が生まれ、本人や家族を苦しめているのです。 その2 一人ひとりの個性に合わせて関係性を築く  相手の特性に合わせて、分かりやすく視覚的な指示をしたり、小さなことでも褒め、感謝する、目標を細分化しやるべきことを明確にする、といったことが、関係性によい影響をもたらします。これは実は、どんな人間関係においても有効です。関わりのコツを身につけて、多様性を前提とした社会を楽しみましょう。 その3 早期発見、早期支援の重要性  自閉症は、早期の適切な療育である程度症状が改善することがわかっています。アメリカでは、早期療育を実施しないのは子どもの権利侵害につながるという考え方もあるほど。お子さんの発達の遅れを指摘された方や子育てに悩んでいる方は、なるべく早く療育に踏み出してください。 監修:NPO法人「ADDS」共同代表 熊 仁美さん NPO法人「ADDS」 2011年設立。自閉症などの発達障がいのある子どもとその保護者を、効果の実証された手法による早期療育によってサポートし、その療育を日本に根付かせることを目的としている。セラピストの派遣サービス、保護者の支援やスキルアップトレーニングの提供が主な事業。近年ではワークショップを開催するなど、多くの人に自閉症について知ってもらうための活動にも力を入れている。 http://www.adds.or.jp/ ADDS主催の、謎解きと自閉症体験を組み合わせたワークショップの模様。参加者からは、「一人ひとりの特徴に応じた声かけ、対処法を知ったうえで、その人と向き合って接する大切さが分かりました」「体験を通じて知識を得ることで、より相手に寄り添えると感じました」といった声が聞かれました。 P31(誌面構成に対応し、逆順で抽出。P26まで) KIZZNA 紲きずな 見えなかった景色が見えてくる「気づきのマガジン」2016 Summer Vol.8 CONTENTS 04 ロングインタビュー たどり着ければ、もうひとつ上の景色が見える 車いすバスケットボール日本代表男子ヘッドコーチ PwCあらた監査法人 及川晋平さん 08 生きがいインタビュー 一般社団法人だんだんボックス代表理事 神崎邦子さん 10 ケアフィットファーム勝沼 11 おも活 12 ボランティア活動TOPICS 14 障害者差別解消法について 15 障害者差別解消法 施行直前勉強会 16 care-fit通信 24 インタビュー 「やさしさの現場から」教育機関特集 東洋大学 国際地域学部 国際観光学科 立教大学 コミュニティ福祉学部 スポーツウェルネス学科 25 自閉症について知っておきたい3つのこと 30 Interview with pioneer 誰もが居心地のいい“まぜこぜの社会”を目指して 女優・一般社団法人 Get in touch 代表 東 ちづるさん 発行人 畑中 稔 発行所 公益財団法人 日本ケアフィット共育機構 〒101-0061 東京都千代田区三崎町2-2-6 TEL:03-6261-2333 FAX:03-6261-2334 URL: http://www.carefit.org E-mail: toiawase@carefit.org 製作 タクトシステム株式会社 制作 株式会社フリート 編集長 中川純一 編集 城田晃久 安藤康之 取材・文 城田晃久 熊本美加 撮影 大木大輔 阿部栄一郎 松村秀雄 和田咲子 アートディレクション 笛木 暁 デザイン 田辺淳志 印刷 日経印刷株式会社 本誌の一部あるいは全部を無断で複写、複製、転載することは禁じます。 ?Kizzna 2016 Printed in Japan P30 女優・ 一般社団法人 Get in touch (ゲットインタッチ)代表 東ちづるあずまさん 広島県出身。会社員生活を経て芸能界へ。映画、ドラマ、コメンテーター、CM、講演、執筆など幅広く活躍中。プライベートでは、骨髄バンクやドイツ国際平和村、障がい者アート(アウトサイダーアート)などのボランティア活動を20年以上続けている。 Interview with pioneer 誰もが居心地のいい “まぜこぜの社会”を目指して 女優・タレントとしてお茶の間でお馴染みの東ちづるさんは、2011年10月、「一般社団法人 Get in touch」を設立。 アートや音楽などを通じて、あらゆる人を排除しない「まぜこぜの社会」を目指して、さまざまな団体、企業、個人が、それぞれの専門性を生かして参加できる、楽しいアクションを次々と展開中です。 今回は東さんに「Get in touch」の活動内容やボランティアに求められることなどについてお話しを伺いました。 P29-28 わくわく、ドキドキを通して「まぜこぜ」を体感してほしい ――東さんがボランティア活動をはじめたきっかけを教えてください。  20年以上前になりますが、ひとりの少年が難病を告白するドキュメンタリー番組を見たのがきっかけです。その番組では、少年は多くを語っていなかったのですが、「テレビに出れば注目されて平穏な生活が乱されてしまうかもしれないのに、なぜこの子は出演したんだろう?」「きっと、何か伝えたいメッセージがあったはず」と心に残り、その少年を探し出して電話をしたんです。そして、「白血病などの治療のための骨髄バンクができたことを多くの人に知ってもらいたいと思ったから」だということを知りました。メディアで働く私は、自分にもなにかやれることはないかと、骨髄バンクの啓発ポスターをつくったのが、今に続く活動のはじまりです。 ――なぜその少年のことが気にかかったのでしょう。  その当時、私自身が「生きづらい」という感覚を持っていたからだと思います。当時の私は、テレビを通した世間の自分へのイメージと本当の自分にはギャップがあるんじゃないかと悩んでいたんです。「お嫁さんにしたい女性ナンバーワン」というキャッチはありがたいけれど、違う顔もあるはず、と。だから、その少年の声なきSOSにリンクしたのかもしれません。  それ以降、さまざまなボランティア活動をはじめていくようになったのも、「生きづらさ」を解消したいという気持ちが根底にあったと思います。私もこの先の人生で、病気にかかったり、障がいのある身体になるかもしれない。当然、年齢も重ねます。そうなったときに、今の社会のままだったら、今より我慢しなければいけないことが増えてしまうでしょう? 私、我慢は好きじゃないんです(笑)。それに、周りの人が我慢して生きづらそうにしていることも、私にとっては大きなストレス。命ある限り、私は私らしく生きていきたいので、自分の身になにか起きたときのためにも、誰もが自然と支え合い、多様性を受け入れ合う「まぜこぜの社会」を目指したいんです。 ――「Get in touch」について教えてください。  たくさんの人権・福祉の活動団体がありますが、「みんな自分らしく、心豊かに生きたい」という最終ゴールは同じだと思うんです。だったらカテゴリーを越えて、団体、企業、そして個人も繋がれば、より強くなれるはず。その繋ぎ役としても機能できる団体として設立したのが「Get intouch」です。「Get in touch」で目指しているのは「まぜこぜの社会」です。それは、誰も排除しない、いろいろな人が、もっと自然に、もっと気楽に、もっと自由にいられる居心地のいい世の中のことです。  東日本大震災が発生したとき、避難所では、身体・発達・知的・視覚・聴覚・セクシャリティなどの、あらゆるマイノリティの人に援助が行き届かないといった問題が発生しました。みんなが「まぜこぜ」に慣れていなかったからでしょう。自然に支え合うためには、普段から浅く・広く・ゆるく繋がる「まぜこぜの社会」であることが大切だと思うんです。 ――「Get in touch」ではどんな活動をしているのでしょうか?  マイノリティPR・表現です。例えばアート展や音楽ライブなど、みんなでわくわく、ドキドキできる体験を通して、「ちがい」を「特性」として体感し、色とりどりの人たちと一緒にいる空間・時間の心地よさや楽しさを感じられるイベントを企画・実施しています。  私は、障がいや病気の「正しい知識や理解」が必ずしも必要とは思っていません。人は、自分がこれまで出会ったことのない特性を持つ人と会うと、最初は構えてしまい、どうしていいかわからないものです。でも、一緒に過ごしているうちに気づくことがたくさんあります。同じ人間同士として向き合うことで、どちらが優れているとか、かわいそう、ということではなく、みんながみんな違う特性なんだ、とわかってくるんです。そうすれば、自分も困ったときには我慢しないでSOSを発信できるようになる。それが自分の人生に責任を持つということでもあると思います。  逆に、知識だけでその人を理解したつもりになるのは危険なことだと思います。同じ名前の病気や障がいでも、10人いれば10通りの特性があることを、体感として理解することが大切でしょうね。 軽トラック1台をまるごと、テーマカラーのブルーで自由にペインティング。 「まぜこぜの社会」実現への思いを乗せて街へ繰り出しました。 ?2016WBD Kazushi Matsuda P27-26 私たちにバリアがなくなればいい ――「まぜこぜの社会」はどうすれば実現できると思いますか?  例えばドイツでは、何かしらのボランティア活動に参加することが当たり前のようです。日本でも、今すぐ街をバリアフリーにするのは難しいですが、私たちの気持ちにバリアがなくなれば、誰もが声を掛け合い、手を貸し合えるようになるはずですよね。人間はオギャーと生まれたときからずっと、人にお世話になりながら生きています。私たちは、おっぱいを飲ませてもらって、おむつを替えてもらって、たくさん人に迷惑をかけながら成長してきたんです。誰しも困るときはあるのだから、お互いに迷惑をかけ合えばいい。紋切り型の「支える」「救う」という考えをスパッと切り替えて、「支えられることもあるし、支えることもある」と思えば、「まぜこぜの社会」はきっと実現できると思うんです。広く・浅く・ゆるく繋がりながら、もっと自然に支えあえればいいですよね。 ――ボランティア活動に参加したい人にアドバイスをお願いします。  なぜ、ボランティアをしたいかが重要だと思います。仕事もボランティアも、結局は自分のため、人のため、社会のために動くという意味で同じです。ボランティアを必要以上に美化して、感謝されることや社会的な評価を目的にすると、長く続かないと思います。私たち「Get in touch」はボランティアをスタイリッシュ、ユニーク、キュートなものにすることもひとつの目的なので、楽しく繋がれると嬉しいですね。 ――今後の展望を教えてください。  今、セクシュアルマイノリティを撮影する、「生きる」をテーマにしたドキュメンタリー映画を製作中です。「Getin touch」のメッセージソングのPVも続々と公開していく予定ですし、障がい者アートと企業を今よりもっと繋げられる仕組みづくりなど、いろいろなことを考えています。「Get intouch」から「keep in touch」にしていくために、やりたいことはいっぱいあります。まだまだ、私たちもよちよち歩き。失敗や間違いを恐れず、学びながら前進していきたいです。 さまざまな個性を持った仲間が大集合。個性は色とりどりでちがっていても、はじける笑顔は同じ。 参加者同士の交流も深まっていました。 ?2016WBD Takao Ochi [お問い合わせ] ■ Get in touch 公式HP http://getintouch.or.jp/ ■ Get in touch 公式Youtubeチャンネル https://www.youtube.com/channel/UC1rUqytQ2Kq9HXfzwxE9x8A きっとできる! まぜこぜの社会!! ?Warm Blue Day 2016? 世界中が青く染まる日 4月2 日は、全世界の人に自閉症を理解してもらうために、2007年に国連総会で決議された世界自閉症啓発デー。日本でも全国各地でさまざまなイベントが開催されています。そして、東ちづるさんが代表をつとめる「一般社団法人Get in touch」が、そのテーマカラーの青から「Warm Blue Day」と名づけて毎年イベントを開催。今年も、自閉症、LGBT、その他さまざまな特性を持つ人たちが、青いものを身につけて渋谷の街を練り歩きました。その楽しそうな姿に、街ゆく人も思わず足を止めて参加者たちと交流していました。ボランティアとして参加された小川由紀子さん(ANA所属)は、「一緒に手をとって同じ歩幅で歩いていくことが大切なんだということを学びました」と語ってくれました。 400名以上のボランティアをはじめ、企業・団体・個人が参加。 山本 純一郎さん (「みつけば」ピアサポーター/自閉症当事者) 4月2日は世界自閉症啓発デーだということをもっとみんなに知ってもらいたいから、自閉症の当事者の方にももっと参加してほしいと思っています。でも、世間一般の人たちは自閉症の人はイベントが苦手だから参加させてはいけないと思っていませんか? 自閉傾向な私の場合は、今回好きな乗り物「ブルーカー」に乗せてもらう配慮をいただけました。大いに感謝です。今年は東京タワー以外にも東京都庁のブルーライトアップもあって、とてもキレイで感動的でした。 坂本 恵美さん (「みつけば」ピアサポーター/自閉症当事者) 今日は自閉症のことを知ってもらうために参加しました。パニックになりながらも、いつしかこのまぜこぜでカオスな世界が心地よくなっていました。ブルーカー(参加者がペイントしたPR用の車)から見えた人々の笑顔があたたかくて、普段見る冷たい世界と違って涙がこぼれました。世界と繋がって、仲よくなった気分でした。自閉症でも、ひとりでいたいだけじゃなくて、ゆるくみんなと繋がって、この世界の輪の中に入れてほしいことを、もっと知ってほしいです。 小川 由紀子さん (ANA/おからだの不自由な方の相談デスク所属) 業務では自閉症の方からのご相談も多く、個別に対応をしていくためにも、今日のイベントに社内有志でボランティアとして加わりました。すべてのお客さまが安心して旅ができるように、今日感じた思いを生かしていきたいです! 小澤 綾子さん(シンガー) 普段は杖をついて歩くだけでジロジロと見られるし、段差があるだけで、お店に入るのを諦めることも。でも、今日は心が解放されて堂々と歩けました。いろいろな人がいて当たり前ということを理解してもらえるきっかけになれば嬉しいです! 上原 大祐さん (バンクーバーパラリンピック銀メダリスト/NPO法人「D-SHiPS32」代表) 日本では違いのある人同士が交わることが少ないので、今日はいい機会になったと思います。渋谷で僕たちを見た人たちが興味を持ってくれると嬉しいですね。違う特性を持っていても、人間同士なのだからきっとわかり合えるはず! [Warm Blue Day 2016についての詳細はこちら] ■ Get in touch 公式HP http://getintouch.or.jp/ H4 KIZZNA 紲きずな 見えなかった景色が見えてくる「気づきのマガジン」2016 Summer Vol.8 TAKE FREE!! ご自由にお持ち下さい Interview with pioneer 誰もが居心地のいい “まぜこぜの社会”を目指して 女優・一般社団法人 Get in touch 代表 東 ちづる 担当者インタビュー やさしさの現場から?教育機関特集? 東洋大学 国際地域学部 国際観光学科 立教大学 コミュニティ福祉学部 スポーツウエルネス学科 ?2016WBD toboji