ビロンギング(Belonging):愛着のある帰属意識は、職場での満足度や生産性を向上させる重要な要素の一つです。
組織で働く人が「この職場・チームは自分の居場所だ」と感じることで、モチベーションの向上、離職率の低下、チームワークの強化といったメリットが生まれます。
本記事では、企業がビロンギングを醸成するために必要な施策や取り組みについて、多様な違いを組織の力に変えるための学び「インクルーシブ・コミュニケーター」でお伝えしている内容をふまえて解説していきます。
なお、ビロンギングの基礎的な知識については下記の記事で紹介しています。
働くことや、生きていくことそのものに対する価値観が多様化する現代では、企業組織は単なる仕事の場というだけでは相対的に価値が低下しています。
そのような時代であるからこそ、その組織・チームで働くことに対して、やりがい以上の価値、例えば人間関係の魅力や、居場所としてのチームへの愛着といった、ビロンギングに関わる要素が必要になってきています。
そのためには以下のようなことが組織・チームで欠かせません。
チームのメンバーが仕事の意義や目的を自ら見出して・工夫できる環境は、ビロンギングを醸成する上で欠かせません。業務の背景や目的について思いを巡らせ、個々のメンバーが「自分や自分の仕事がどのようにチームや社会に影響を与えているのか」を意識できるようにすることが大切です。
例えば、定期的な1on1ミーティングで「この業務の意義は何か?」を問いかけたり、プロジェクトごとにチーム全体で目標を共有することで、社員が主体的に意義を見出す機会を増やせます。
さらに、社員が業務の意義を実感しやすい環境を整えるためには、以下のような取り組みも有効です。
このような取り組みによって、社員が自ら仕事の意義を見出し、日々の業務により主体的に取り組めるようになります。
チーム内での助け合いが活発になると、心理的安全性が高まり、ビロンギングを感じやすくなります。ビロンギングと重要な関りがある心理的安全性の確保については、別途記事を設けるため、ここでは簡単に施策を紹介します。
特に、感謝の気持ちを表す文化を育てることは、チームの絆を深める大きな要素になります。
組織の理念やパーパスを明確にし、メンバー同士で意見を交わしあって、チームに反映できることもビロンギングの醸成には不可欠です。
組織やメンバーが大切にしている価値観が共有され、認識が深まることで、ビロンギングが高まります。
心理的安全性の確保同様に、パーパスについての詳細は別の機会で解説しますので、簡単に具体的な取り組みを紹介します。
組織で働く人が主体的に業務を進められる環境は、ビロンギングを高める重要な要素です。メンバーが自分で考え、意思決定できる場があると、「自分らしさを発揮しながらチームの一員として貢献できている」という実感が生まれます。
具体的な実践方法としては
効果的な権限委譲には、委譲する範囲と責任の明確化、必要なサポートの提供、そして成功と失敗を共有する文化が大切です。
ここまでビロンギングを醸成するための簡単に取り組み例を紹介しましたが、仕事やチームに対して自分らしさを発揮して活躍できるための実践的な取り組みとして、「ジョブ・クラフティング」について紹介します。
ジョブ・クラフティングとは、チームのメンバーが自発的に仕事の境界線や認識を再定義し、より意味のある、自分に合った仕事の形に変えていくプロセスです。
これは、与えられた職務に縛られるのではなく、個人が能動的に仕事の意味や目的を再構築する創造的なアプローチと言えるでしょう。
従来の固定的な仕事の捉え方から脱却し、自分の強みや興味、価値観に基づいて仕事をデザインし直すことで、次のような効果を得ることができます
そして、ジョブ・クラフティングで扱うことは以下の3つがあります。
ジョブ・クラフティングにおける仕事のやり方の工夫とは、従来のルーティンワークを単調なものから、創造的で挑戦的な活動へと転換することを意味します。
具体的には
組織内の人間関係は、ビロンギングを形成する上で最も重要な要素の一つです。
効果的な人間関係の構築には
が求められます。
仕事の意味や価値を再解釈することで、自らの役割の重要性をより深く理解できます。
これには以下のような認知的アプローチが有効です。
が求められます。
個人レベルでのジョブ・クラフティングは、自己分析から始まります
計画を実行するためには、具体的かつ現実的なアプローチが必要です
PDCAサイクルを意識し、常に自己改善を心がけることが重要です
ビロンギングは、単なる理論や概念ではなく、日々の実践によって育まれるものです。インクルーシブなコミュニケーションを通じて、個々の従業員が組織の中で尊重され、成長できる環境を作ることが重要です。
ビロンギングは、組織とそこで働く人との相互的な成長プロセスです。個人の主体性と組織のサポートが融合することで、真の帰属意識が生まれるのです。