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◎参加者の声
《参加者感想-1》
絵本作家
相澤るつ子 プレ大会ワークショップとして、知的障がい者の学校Lebenshilf で行った表現アート一日講習では、先生、父兄、一般参加者と一緒に、知的障がいを持つ生徒たちが参加し、自分の作品について語ることができました。 誰もが内的世界を持っていること、それを言葉以外で表現することで障がいを超えてコミュニケーションできることを確認し、心が温まりました。 盛大なオープニングの次の日、分科会場でレクチャーする機会を与えられ、上手下手にとらわれずに、アートで感情表現することはインドにおいても大切だと話しました。それを聞いていたインド海軍の特別支援学校SANKALPから、さっそくワークショップのオファがあり、17日に行いました。インドでは、急に物事が決まり、則実行されるんだと実感しました。 大会発表に多くあったように、インド社会は大家族から、核家族へ、伝統からモダーンへと急激に変化しています。だからこそ表現アートは必要とされるという参加者からの反応を得、抱えている問題の、我が国との共通項と、対処方法の違いを感じました。 インドがすっかり身近になりました。ありがとうございました。
《参加者感想-2》
NPO法人日本ケアフィットサービス協会理事長
畑中稔 ヴィシャカパトナムの市内のあちこちにシンポジウムのポスターが貼られていた。 大きさが半端ではなく、横断幕のような大きさには驚いた。ホテルに着いてすぐに障がい者施設にてのワークショップに参加した。この施設は障がい者を区別することなく、ダウン症、肢体不自由児、知的障がい者などあらゆる障がいを抱えた人が同じ施設にて日々を過ごせる環境を作っている。すごいなと驚きを覚えた。 翌日、シンポジウムのメイン会場アンドラ大学の講堂では、会場に入るセキュリティとして、金属探知機でチェックしていた。会場は5000名入るくらいの大きさで最初は埋まるのか半信半疑だったが、開会宣言の時にはほぼ満員になっていた。 今回のメインゲストスピーカーのカラム前大統領の入場シーンは忘れられない。聴衆の中から呻きのような声がうねるように始まり、前大統領が入場の時には触れたい一身で体をよせる、それを阻止する警備の人たちの動きにも荒々しさがなかった。日本の元首相が何かの講演に来られてもこのような歓迎の声が上がることはないだろうし、政治家の在り方への期待もないことがふと頭をよぎったことを思い出す。 式が進み、いきなり予告なしに「壇上に上がってくれ」との要請を断わることもできず、上がったわけだが、久しぶりの5000人を前に緊張というよりエネルギーの波に乗った、乗れたという感じが正直なところか…壇上の警備として、私服でカービン銃を持ち、立っていることも不思議でもなかった。前大統領の語りは日本の政治家などと比較にならないほどうまく、聴衆の呼吸をつかみ、聴衆のエネルギーをうまくキャッチボールしていた。 シンポジウム進行の大役を担ったのが、インドNCSA支部の責任者マニュエル氏だったが、見事に仕切っていたことには驚いた。今回のことで自信を持って今後のプロジェクトも展開できるだろうし、安心して任せられると思った。 ほんの一握りの理解者で始め、ここまでの国際会議開催にこぎつけるなどとは誰も信じてはいなかっただろうし、見えないところでの苦労がかなりあったと思う。できるかではなく、やり遂げることへの気持ちが重要だと改めて感じた国際会議だった。 翌日朝5時には、仏陀の弟子たちが修行したという場に立ち、朝日が昇る時におわら節の奉納おどりを目にした。自然に手を合わせられたことに感謝。そして祈りということはこういうものだと実感した時でもあった。
《参加者感想-3》
足利工業大学・睡眠科学センタ-長
小林敏孝 インドは2回目の訪問でしたが、1回目のニュ-デリ-と違って、南インドのヴィシャカパトナムは町全体がのんびりとしていて、海岸に面した風光明媚なところでした。この会議の原点は、高橋亮先生の発案で6年ほど前に福島県郡山市で国際知的障害研究協会国際円卓会議が開催されたそうです。 Gerontologyという言葉は耳慣れない方も多いでしょう。一般には老年学という意味合いで使われていますが、私は長寿学と言う訳が適切だと考えています。この会議に出席して驚いたことが3つあります。 1つ目はインドの前大統領が基調演説を行ったことです。インドでは、彼は政治家であると同時に科学者としても高名な方で「インドの知」という感じの人物でした。 2つ目は非常に学際的で、いろいろな専門家が参加していました。Gerontologyという学問の幅の広さと奥深さに感心しました。3つ目は参加者が一般の主婦から最先端の科学者、そして行政の関係者までおられたことです。彼らが同じテ-ブルで熱い議論を交わす光景を見て、これから科学の新しい方向性を指し示しているような感じがしました。 後日、この会議を企画された高橋亮先生からのインド会議報告を読んで、先生の熱い思いがこころに染み入るように伝わってきました。先生の壮大な計画が良く解りました。Geretologyを中心にした流れは、各地域の支流が福島や沖縄で、今回はインドで合流し、大きな流れとなった感じがしてなりません。これから韓国、ロシアでこの川の流れはさらに合流を重ね、大河となるでしょう。 今回の会議に出席して感じたことですが、参加者に特徴があるようです。純粋で、情熱があり、非常に前向きであることです。ヴィシャカパトナムからの帰路で井口画伯とお話しすることができましたが、井口先生の強靱な精神と、温かいお人柄には感銘いたしました。今回の会議を始め、高橋先生の周りにはそのような人々がお集まりになっておられると思います。ヴィシャカパトナムという所は、私にとって、次回は家族を連れて訪問したくなるような所でした。高橋先生、本当にご苦労さまでした。
《参加者感想-4》
上越教育大学大学院学校教育学研究科教授
細江容子 インドの高齢化率(60歳以上人口の総人口に対する比率)は、現在7.5%、それが、2025年には12.5%に達すると推計されている。これは、先進国平均の28.2%に比べるとはるかに低い数値といえる。しかし、インドでも高齢化が次第に進み、現在、生産年齢人口8人で1人の高齢者を支えているものが、2050年までには、3人で1人を支えることになると推計されている。 さらに、都市化と家族の近代化、核家族化の流れの中、成人した子どもが高齢の親の面倒をみるといったかたちで、高齢者の生活保障機能が確保されていたインドの伝統的な家族規範意識は、次第に弱まりつつあると、研究報告等で述べられている。 今回のインドでの「ジェロントロジー国際総合会議2009」は、この様なインドの今後の高齢化に対する、強い危機意識のあらわれともいえ、分科会での教育者、研究者、地域指導者、福祉関連専門家など多様な人々による熱心な議論が繰り広げられた。 この学会自体が、学会出席者に、学びと共生、相互のサポートの豊かな環境を提供した素晴らしい学会であり、共同・共働での「カフェテリアカリキュラム」構築に資するものといえよう。 《参加者感想-5》
NPO法人日本ケアフィットサービス協会 ツワング・グルメット(Tsewang Gurmat) インドでの会議が始まるまで、どうなるかと心配がありました、具体的なスケジュールも決まってなかったし、4日前ぐらいにカラム前大統領の午後から午前にスケジュール変更の知らせが届き、本当に大丈夫かなと思いましたが、インドだから当たり前だと思い、何とかなると覚悟しました。 私は1月から、富山のおわら道場の18名のメンバーの方々のツアーの準備に入っていました。いろいろありましたが、無事出発することができました。 しかし残念なことに、私も含めおわら道場のメンバーは、カラム前大統領が参加する12日のオープニングセレモニーには、大統領のスケジュール変更のため間に合いませんでした。 でも同じ日に、同じ会場でおわら道場の唄と踊りを披露できました。会場に入った時、会場はまだあたたかく、生き生きしていました。興奮の余韻がまだ残っていました。 インドの伝統的な踊りや歌が先に披露され、そのあとおわら節が踊られました。東洋の神秘的な演奏、唄、踊りに観衆が引きつけられ、会場がわくわくしてきました。大体300~500名の人が見入っていました。 翌日の13日には、午前中は会議場で先生方のジェロントロジーのプレゼンテーションがありました。色々な地域、分野からの参加者がおり、高齢者、身体障がい者についてのお話が多かったです。そして午後は、ビシャカパトナム市内の円形劇場で文化交流会が行われました。 日本のおわら道場の踊り、インドの身体障がいの子どもたちの踊りがあり、インド日本交流協会からはホフマン(T.H. Hoffmann)さんらが参加し、日本の楽器を使って演奏を披露していました。聴衆はおよそ500人くらいと思えました。聴衆から、「日本の着物を始めて見ました」とか、「感動した」とか、「この踊りの意味を教えてください」とかの質問を受けました。 アンドラ大学学長サティヤナラヤ(B, Satyanaraya )さんは、終わりにあたっての挨拶で「音楽には言葉が必要ない」と話しておられました。私もそう思います。Music has no Language! どこでもだれとでも音楽はできます。 今回の会議を通してインドの政治家や一般の方々に、日本ケアフィットサービス協会とジェロントロジーのより良いアピールができたと思います。沖縄の会議も良かったですが、今回のインドの会議はさらにアップしたと思います。 |
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