掲載日:(取材日:2018-03-15)
日本ケアフィット共育機構が発行するフリーペーパー『紲 Kizzna』本誌では、羽田国際空港、成田国際空港と都心のターミナルを結ぶリムジンバスの運行を主な業務としている東京空港交通の皆さんに、ホスピタリティについてお話を聞きました。ここでは、本誌より詳細な、リフト付きリムジンバスの試乗レポートをお届けします。
東京空港交通が空港と都心を結ぶ大型バスを運行し始めたのが1964年。前回の東京オリンピックで増加した訪日客への対応が目的でした。その後、1981年の国際障害者年をきっかけに、空港内において、車体自体がリフトで昇降し、ストレッチャーや車いすに乗ったまま飛行機からバスに乗り降りできるPBL(パッセンジャーボーディングリフト)を導入。そして2016年のリフト付きリムジンバスの導入には、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた交通インフラのユニバーサルデザイン化の推進という背景があります。公共交通機関としてお客さまのニーズに誠実に向き合ってきた東京空港交通の理念が、時代ごとに必要とされるインフラ整備へのいち早い貢献につながっているのです。
リフト付きリムジンバスは側面にリフト用の扉があり、バゲッジルーム(荷物室)部分にリフトが格納されています。運行の際には、必ず数名のスタッフがご案内を行い、お客さまの付き添いと、地上からの見守りを手分けしてステップを操作します。
リフトを降ろしたら車いすを載せ、ベルトで固定します。リフトは油圧式で、自動で昇降しますが、故障した場合は手動での昇降も可能です。客席までの高さは約1.5メートル。見下ろすとかなりの高さに感じます。付き添いスタッフは、お客さまに不安を和らげていただけるよう、適宜声かけを行います。
車内にはふたり分の車いす利用者用スペースがあります。ここで重要なのが車いすの固定。スタッフは器具を使って、手早くしっかりと床面に車いすを固定します。固定されると、他の座席と同様、ゆったりとバスの旅を楽しむことができそうです。
降車時も乗車時と同様、お客さまと一緒に東京空港交通のスタッフがステップに乗ります。ステップには進行方向のまま車いすを置けるので、乗車前、下車前の車いす操作がとても楽です。乗車・降車にかかる時間は10分ほど。手際よく作業が進むので、ストレスを感じることも少なそうです。
「思ったより高くて、最初は少し怖かったですが、スタッフの方が昇降中もそばにいて絶えず声をかけてくれたので、不安は感じませんでした」
「バスの運転士として空港までお客さまをお連れするのが私の業務です。安全運転は当然のこととして、高齢のお客さまやお子さまに積極的にお声かけして、必要であればお手伝いすることを心がけています。リフト付きリムジンバスが運行されて、お客さまからも便利になったという言葉をいただくことが多くなり、とても嬉しいです。リフトの操作はしっかり研修を受けていますし、毎朝点検を実施していますので、皆さまに安心してご利用いただきたいと思います。今後はリフト付きリムジンバスの運行本数も増えていく予定ですので、認知がもっと広まってたくさんの方にご利用いただけるといいですね」
東京空港交通株式会社様のユニバーサルサービスと心のバリアフリーへのお取り組みは下記でもご紹介しています。
東京空港交通株式会社様のお取り組み