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皆さま、こんにちは。
秋風が心地よい季節となりましたが、如何お過ごしでしょうか。
今回は新企画【世界のバリアを考える!】をお届けします。
この企画では日本を飛び出し、世界中の街をバリアフリーやユニバーサルの視点から考えていきます。
また、福祉的観点だけでなく、現地のお勧め情報やグルメ等も紹介していきたいと思います。
記念すべき1ヶ国目は【モンゴル】です。
チンギス・ハーンや大草原のイメージの強いモンゴルの現状を様々な角度からお伝えしていきたいと思います。
ちなみに、モンゴルの基本情報は以下の通り
面積 | 156万4,100平方キロメートル(日本の約4倍) |
---|---|
人口 | 317万9,800人(2017年現在の情報) |
首都 | ウランバートル(人口146万) |
民族 | モンゴル人(全体の95%)、及びカザフ人等 |
言語 | モンゴル語(国家公用語)、カザフ語 |
宗教 | チベット仏教等 |
まずはウランバートル玄関口のチンギス・ハーン国際空港からお伝えします。
首都ウランバートルの玄関口、チンギス・ハーン国際空港は中心地から約20キロ離れたところにあります。モンゴルの英雄チンギス・ハーンを国際空港の名前にしてしまうところに、モンゴル人のチンギス・ハーン愛を感じますね。
さて、肝心な空港の中ですが、バリアは殆どなく、全体的にフラットな印象です。
段差があるところには必ずスロープが設置され、障がいの有無に関わらず、誰にでも使いやすく設計されており、非常に快適でした。(スロープはやや急な気もしますが…)
また、車いすも至る所に常備され、障がいのある方や、体調を悪くした方が直ぐに利用できるよう配慮されていました。
さて、こちらはウランバートルの中心地。
モンゴルといえば大草原のイメージがあるかもしれませんが、首都ウランバートルは想像以上に大都会。モンゴルの人口320万人に対し、その40%に当たる130万人がここウランバートルに集中しています。右側の特徴的な形の建物はブルースカイホテル。ウランバートルを代表する最高級ホテルです。
(最上階のバーからはウランバートルの町を見渡すことが出来ます。)
こちらは、ウランバートル観光の目玉【スフバートル広場】です。
町の中心的な広場で、正面には国会議事堂が堂々建っています。
ちなみにスフバートルとは、チンギス・ハーンに次ぐモンゴルの英雄で、チンギス・ハーンと共にモンゴルのお札にもなっている人物です。
国会議事堂の中心部にはチンギス・ハーン像が!
モンゴルでは、いたるところでチンギス・ハーンを目にすることが出来ます。
それでは、ウランバートル全体を見渡せることで有名なザイサン・トルゴイ(ザイサンの丘)に行ってみたいと思います。ザイサン・トルゴイまでは、バスで行くのが一般的ですが、天気が良いので歩いてみることにしました。
空港内のバリアフリーは完璧でしたので街中のバリアについてはあまり心配していなかったのですが、実際は…
街中のいたるところが陥没し、我々歩行者ですら注意して歩かないと危険な状態でした。
また、歩道にはしっかりと点字ブロックが設置されていましたが、皆さん何かお気づきでしょうか?
点字ブロックは設置されているものの、誘導ブロックのみで警告ブロックが設置されていません。
キチンと手入れがされていない為か、ヒビまで入っていました。
さて、市内中心部から30分も歩くとザイサン・トルゴイの麓に到着です。
一から階段を利用し、頂上まで登ることも可能ですが、麓にショッピングセンターがあり、そちらのエレベーターを使用し、丘の中腹まで登ることが出来ます。さすがに観光地だけあり、バリアフリーについてはしっかり考えられています。
しかし…
中腹まで来たのは良いのですが、中腹から頂上までは階段以外の選択肢はありません。高齢者や、車いすユーザーの多くはここで断念していました。非常に残念ですね。
さて、階段を登り、頂上まで行くとウランバートルを一望することが出来ます。
天気も良かったので、とてもクリアに街全体を眺めることが出来ました。
また、ザイサン・トルゴイでは、1971年にソ連軍との友好の証として造られたモザイク画を見ることが出来ます。こちらのモザイク画は、モンゴルとソビエト連邦が協力して、日本やナチスドイツを破り、平和が訪れた様子が描かれています。
ザイサン・トルゴイでゆっくり景色を眺めていると、とあるグループに話掛けられました。
現地の言葉のようで、上手く理解することはできませんでしたが、ジェスチャーから推測するに、写真を撮ってほしいと言っているようです。
カメラを受け取り、ふと彼らの様子を見てみると、仲間同士手話でコミュニケーションを取っていました。どうやら聴覚に障がいがある方のようです。
私は指で3、2、1と合図をして写真を撮りました。すると最後に…
「ありがとう」と手話でお礼を伝えてくれました。
手話は国ごとに違うはずなのに、なぜ日本の手話で「ありがとう」が出来るのか非常に驚きました。
付き添いの方とお話をしてみると、どうやら彼らはモンゴル人ではなく、韓国出身とのこと。また、韓国の手話と日本の手話は非常に似ている為、お互い理解できるものもあるのではないかとのことでした。(exありがとう:日本では手の平を下にし、その上で一度手を振り下ろしますが、韓国では二度振り落とすそうです)
手話というコミュニケーションを介して、気持ちが通じ合ったようでとても嬉しく感じました。
コミュニケーションをとる方法は【言語】だけではないのだと改めて実感しました。
ウランバートルの街中にはバリアが多く、一見住みづらそうな印象を受けました。
では、バリアが多い=住みづらい街なのでしょうか。決してそうではありません。
例えばウランバートルでは、街中にあるバリアで困っている人がいれば、当たり前のように近くにいる人達が集まり段差を越えるお手伝いをされているし、バスの座席に座っている方も高齢な方が乗車すると、すぐさま立ち上がり席を譲っていました。5歳くらいの子どもが高齢者に席を譲っている姿には衝撃を受けました。
このように、バリアがあるからといって、障がいのある方や、高齢な方が住みづらいわけではなく、全ては周りにいる方の気遣いや、思いやりが大切になってくるのですね。
2020年を迎えるにあたり本当の意味で【お・も・て・な・し】を提供できるようになる為には、日々の行動の一つひとつの意識を変えていく必要があるのかもしれません。
ライタープロフィール
あらしょうさん
27歳の時、ふいに世界の文化に触れてみたくなり世界一周に出発。
1年3ヶ月を掛けて55カ国を周る。
帰国後は秘境専門の添乗員として主にアフリカ・中近東方面を多数周り現在までに80カ国以上を旅する。
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