掲載日:
新型コロナウィルスの拡大とその感染予防として、社会のいたるところで「新しい生活様式」が取り入れられるようになりました。
これにより普段からのマスクの着用やテレワーク、オンラインサービスが普及されるようになり、新しい「普通」が進むようになりました。
ここでは聴覚障害者がコロナによって生活にどのような影響が出たのか、サービスを提供する企業や職場でどのような対策をすべきかお伝えします。
“聴覚障害”というと、“全く聞こえない、手話を使う人”というイメージを持つかもしれません。
しかし、“聞こえ” の程度は様々です。
生まれつき聞こえない人、聞こえにくい人、病気や事故などにより途中で聞こえなくなった人、聞こえにくくなった人、手話を使う人、使わない人、
補聴器・人工内耳をつける人、など様々です。
聴覚障害者のコミュニケーション手段として補聴器・人工内耳などの補聴器使用者は障害者手帳保持者・非保持者あわせて約70%、手話・手話通訳使用は手帳保持者・非保持者あわせて約30%です。
聴覚障害者は、その障害は外見からは判断がしづらい「見えない障害」であり、誤解を受けることも多いです。
また、社会の多くの場面で音声主体のコミュニケーションが行われるため、「情報障害」とも言われます。
サービス介助士の学びにおいて、テキスト等で適宜「聞こえない・聞こえにくい人」という表現を適宜使用しています。
「聞こえない・聞こえにくい人」の障害の原因の多くは、社会が音声主体で行われることから来る「情報障害」であり、その意味で、「聴覚障害者という立場に置かれている人」、聞こえない・聞こえにくいことを障害と捉えている社会で生きる人、ととも言えるからです。
(法律などでも説明で「聴覚障害者」と使用されているため併用しています)
聴覚障害者がコロナによって大きく影響を受けたことはマスク着用が広まったことです。
聴覚障害者のコミュニケーションには表情や口の動きを読み取ることが重要で、手話を使わずに口話で内容を読み取ることもあるのですが、マスク着用によりこの方法が困難になりました。
複数人でのコミュニケーションも、誰が話しているか分かりづらくなりました。
マスクに加えて、後述のコロナ感染対策も合わさって困難を伴います。
感染対策のためにこれまで会話でやり取りされている、様々なものの確認作業が省略されるようになりました。
例えばスーパーなどではポイントカードの有無、駐車券の有無などの確認がありましたが、レジ袋の有料化に伴い、レジ袋の要不要の確認も増えました。
これらの確認が、顔を向けないまま質問されることも多く、そもそも質問を投げかけられていることも分からない、といった困りごとも生まれました。
オンラインサービス・ツールの普及については良い部分も悪い部分もあります。
オンライン会議では在宅勤務の人はマスクを外して参加することもありますが、職場で複数名参加する場合はマスク着用してオンライン会議に臨むことがあります。
その場合、誰が何を話しているのか読み取ることが困難です。
また、スライドや資料を画面共有しながら会議が進むと話す内容が把握できなくなることもあります。
一方で難聴者の中には、スピーカーなどを近づけて音を拾うことで、対面の会議より分かりやすくなった、チャットの文字主体の情報伝達によりコミュニケーションがスムーズになった、という人もいます。
これはコロナに関わらず平常時に心掛けると効果的な取り組みです。
代表的なやり方が筆談です。用件を簡潔に記載しながら表情やジェスチャーなども織り交ぜてやってみましょう。
企業からの情報は、緊急時やイレギュラーな事態に関する情報が音声のみで行われることが多く、そのような時も音声だけでなく文字などの視覚情報も併せて伝えることが重要です。
そのような対策は聴覚障害者のみならず、音声情報を聞き逃した人にとっても有効です。
先ほどのスーパーのレジなど、会計やサービス案内時に、お客様に確認すべき項目がある程度パターン化している場合があります。
そのような時にはコミュニケーションボードのように、パターン化されている確認事項を文字やイラストにしておくとコミュニケーションがスムーズになります。
このようなツールは聴覚障害者のみならず、知的障害者や、アクリル板が設置されて声が伝わりにくいカウンター業務で飛沫飛散のリスクを抑えながら誰もが分かりやすい案内となります。
コミュニケーションボードは自治体で提供されている場合もあります。
参考:加古川市 外部サイト
遠隔手話サービスとは、対面している聴覚障害者と手話を使わない事業者側が窓口などでタブレットやスマートフォンを介して遠隔の手話オペレータによる手話による通訳で対応するサービスです。
コロナ感染対策予防のためにマスクを外して会話することが難しい場面や、手話通訳者の手配が困難な状況において聴覚障害者とのコミュニケーションをする際のサポートになります。
なお、混同されやすい制度として電話リレーサービスがあります。
電話リレーサービスは聴覚障害者が事業者に電話をする必要がある際に、聴覚障害者と事業者の間に電話リレーサービスの手話オペレータを介してコミュニケーションを取るサービスです。
以下の図で違いをお伝えします。
コロナによって新しい生活様式が浸透してきましたが、多様な人の事情が考慮されていないケースもあります。
新たな文化や習慣が生まれるときに最初から多様な人の価値を取り入れたものであれば誰もが利用しやすい、暮らしやすい社会になるかもしれません。
聴覚障害者とコミュニケーションや基本的な応対についてはサービス介助士の学びで身につけることができます。
障害者差別解消法を事例を交えながら事業者の実践へ落とし込むためのセミナーです。
主な研修プラン(ご相談)
・時間:60分~
・形式:オンライン・対面
・人数:20人~
カリキュラムは業種・受講者に合わせてカスタマイズ可能です。
障害者差別解消法 応対研修・セミナーについてのお問い合わせ
合理的配慮は障害の度合いや状況に応じた個別調整が必要なため、企業としては‘自社の業態ではどうすればいいのだろう’というケースもあります。
資格取得や研修実施だけではない事業者様の支援を行っています。
まずはお気軽にご相談ください。
ご相談&コンサルティングのお問い合わせ
西日本初開催!バリアフルレストランinくまもと
掲載日:
2024年10月14日(月・祝)と15日(火)、熊本城ホール2階エントランスロビーにて、熊本市様主催の市民向けプログラムとして「バリアフルレストランinくまもと」が開催しました。西日本初開催となった今回は、多くの市民が参加し、障害の社会モデルを体験するプログラムに真剣に取り組んでいただきました。
公共交通機関等におけるシームレスな移動支援の実現に向けた 参加型バリアフリー教室&ボッチャ体験会 開催レポート
掲載日:
11月23日に武蔵小杉駅前のこすぎコアパークで実施した「みえるバリアフリー教室&ボッチャ体験会」を開催しました。このイベントは、国土交通省の「心のバリアフリー推進のためのモデル検討調査事業」の一環として開催されました(共催:川崎市 協力:東急電鉄株式会社、株式会社東急ストア)。
サービス介助士25周年 サービス介助の日特別記念シンポジウム 開催レポート
掲載日:
11月1日は「サービス介助の日」。そしてサービス介助士は開講25年を迎え、これを記念した特別シンポジウム「サービス産業の未来にヒトにしかできないサービスと共生社会の実現を考える〜サービス介助士が社会を変える#x301C;」を開催しました。株式会社オリエンタルランド様、日本航空株式会社様、淑徳大学様からゲストをお呼びし、DX進展や無人化が進む現代において、対人サービスの価値や共生社会の実現について議論が行われました。本記事はシンポジウムの様子をお伝えする開催レポートです。