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障害者差別解消法が2021年6月に改正され、
事業者の合理的配慮提供が法的義務化されます。
合理的配慮は、障害者の社会参加の機会を損なう“社会的障壁”を取り除くことが目的です。
この記事では、外出や社会参加に欠かせない交通機関について、
視覚障害者の視点から社会的障壁の事例を紹介します。
社会的障壁とは、障害者が社会参加や日常生活を困難にさせる“バリア・障壁”のことです。
“バリア・障壁”という言葉からすると階段の段差など物理的なものをイメージしますが、
“社会的”とあるように、物理的なものだけでなく以下のようなものがあります。
事物の障壁
施設や建物など
物理的な障壁
制度の障壁
障害者が利用しにくい
制度やルール
慣行の障壁
障害者を想定していない
慣習や情報提供
観念の障壁
無関心、偏見、
無理解など
このような障壁が合わさることで障害者の困難や不利益が生まれます。
障害者の困難は心身の障害だけではなくこのような社会的障壁も影響しています。
障害の考え方については下記の記事をご覧ください。
ここからは、視覚障害者が遭遇する社会的障壁を、交通機関を事例に考えていきます。
駅構内やバス車内の機器の仕組み、ルール、乗客や係員からの声掛けの仕方等、
いろいろなシチュエーションを紹介しています。
なぜこのような社会的障壁が生まれるのかなど考えながら読んでいただくと、
ご自身の職場などにある障壁に気づくヒントにもなります。
駅構内の点字ブロック上に、荷物が置かれていたり、
駅周辺の通路では点字ブロックの上に自転車が止められていることがあります。
これらは一般の人のマナーの問題としてよく見かけますが、
事業者側では、例えば駅構内の工事のため、
点字ブロック上に工事用のカラーコーンが置かれていたり、
資機材を置くスペースが点字ブロックまで広がっていることがあります。
工事などでそのような状況が避けることができないのであれば、
視覚障害者が利用することを想定して誘導員が声かけや案内をする必要があります。
駅の改札やバス車内に設置されているICカード・電子マネーの読み取り機器の場所を知ることができません。
読み取り部分の光を確認することが難しい場合もあるため、
設置されている場所が分かるような工夫が必要です。
電車乗降の際、駅員の方に誘導を依頼しますが、
他社路線への乗換えの場合、依頼ができないことがあります。
乗り場が近距離であれば依頼を受けてもらえる場合もありますが、
離れた場所の乗り換え駅こそ案内が必要なのですが、難しい場合が多いです。
駅の券売機前には点字付きの料金表があることも多いですが、
バスの運賃情報に関しては通常の文字の表示しかありません。
また、バスは先払いか後払いかの情報も記載されているため、そちらも確認することができません。
電車の車両番号は視覚情報であれば、車体外側やホームの路面、車内の掲示などで確認することができますが、点字による情報が優先席のみについている車両があり、視覚障害者の利用できる車両が限られてしまいます。
バスに乗ろうとした際に、乗る直前でドアを閉められてしまった経験があります。
そのバスを見送るとすぐに次のバスが来ましたが、そのことが伝えられていなかったために混乱しました。バスがもう1台来ていることが見てわかる、と思われたのかもしれません。
「バスが来ているのは見えているだろう」という観念の障壁から起きてしまった事例です。
いかがでしたでしょうか。障壁の事例を複数紹介しましたが、複数の障壁(観念と慣行など)が合わさっていると考えることができるものもあります。
今回は視覚障害者の事例でしたが、障害の種類によっての事例数や性質に違いがあるかもしれません。特に視覚障害者は、見え方を晴眼者が体験することができないため、「目が見えない=何もできない」というイメージがまだまだ払しょくされていないように思えます。今後、改正障害者差別解消法が施行される際に社会的障壁や合理的配慮について認知が進み、このようなイメージが変わってくれることを期待します。
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サービス介助士とは高齢者や障害者など多様な人が暮らす社会で、年齢や障害の有無に関わらずに誰もが社会参加できるように必要なことをその人、その場にあったやり方でできる(=ケアをフィットする)人になるための資格です。
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