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全国のバス事業者様のインタビューを行う連載インタビュー。
今回は広島県内でチャーターバスの運行をおこなっている株式会社呉バス(外部リンク) 代表取締役社長萩井貴様に、お話を伺いました。
萩井社長は広島県内で10年間バス乗務員として乗務し、2013年に貸切バス事業者として株式会社呉バスを設立されました。現在は、貸切バス・観光バス・旅行・送迎など多岐に渡る業務を展開されており、今後は、車両整備・乗務員経験を活かした事業展開を検討中で、乗務員全員のサービス介助士資格取得を目指して下さっています。
数年前、関東から広島までの輸送を引き受けたことがあったのですが、その時の業務を終えた時の「後悔、申し訳なさ、情けない気持ち」が導入の決め手となりました。
少しお話すると、距離の長い輸送をさせていただく中に車いすをご利用になっている方がいるという事前情報がありましたが、車いす対応型の車両がなかったため、災害用の救助シートを活用することで車内誘導が出来ると考え、お客様とも話し合い、了承も得られたことで輸送を引き受けることとなりました。
しかし現実は違っていましたね。はじめに救助シートを利用して車内に移動を始めた途端、「これは間違いだった」と確信しました。お客様は承諾している、問題はないと思いこんでしまったことが問題で、実はもっとバリアを予測しないといけなかったのだと思いました。
お客様はきっと不安だったと思いますが、不満を言うどころか自分達を気づかって下さる声かけまでいただいてしまいました。ここから自分に出来ることは、無事故で安全に目的地までお送りする以外にない!と気持ちを新たに、無事に目的地までお送りできた時は、本当にホッとしました。
同時にこれを機に車いす使用者にも安心してご利用いただけるよう「リフト式バス」の導入を目標に設備を整え、それを扱うドライバーにも正しい知識を持って対応できるよう「サービス介助士資格」の導入も決めることとなりました。
社内会議の際に常に介助技術の振り返りを行っています。例えば、介助技術の振り返りでは、社員それぞれが「介助する側・される側」になり、当事者の気持ちを考えながらお手伝いをさせていただくことで相手の気持ちを理解していきます。頭であれこれ想像するより、1回の体験から得られることの方が遥かに多いです。
障壁(バリア)を少しの工夫で取り除くことが出来れば、バリアはなくなります。
気持ちが分かれば声のかけ方も違ってきますので、繰り返しチェックしています。
後は、講座の中で学んだ「高齢者の不便さ」についても社員同士が共有することで、ご案内の際に相手のスピードに合わせながらゆっくり対応することや、分かりやすいお声がけを実践するなどの工夫に繋がるようにしています。
まだまだ運行回数も少ないので、お客様からいただく声は少ないですが、従業員全員の自信には繋がっていると実感しています。つい最近も、電車を利用した際に躊躇することなく自然と視覚障害者に声をかけ、気がついたら手引きをしていました。相手の方からも「助かりました、ありがとうございます」と言っていただきましたが、今何をすべきなのかを「考え、行動する」ことができたと思います。サービス介助士を学んだことが自信に繋がった成果だと言えますよね。
順次、乗務員にサービス介助士の学びを進め、正しい知識と想いを正しく伝えることを学び、どなたにも同じサービスの提供が出来ることを目標に取組んでいます。
また、弊社独自の取組として車いす対応車両の後ろに「ラッピング」をしました!
「優しい気持ちで交通事故を減らそう」という取り組みがあり、弊社も賛同しました。
以前、子どもの絵が一面に貼っているトラックを私自身が見た時にとても感動し、自社のバスにも貼ってみたい!この夢を実現しました。
絵を見た人が一瞬で優しい気持ちになり安全運転を心がけ、互いを尊重し、優しさのあふれる社会になったら最高だと思っているので、今後もラッピングバスの台数を増やしていきたいです。
日頃は他社とはライバル同士ですが、業界全体で「交通事故を発生させない」という共通認識は持つ必要があります。バス業界内だけでなく、業界を超えてこの輪がどんどん広がっていくことも願っています。
実は、このラッピングカーの絵は息子が描いたものなのです。「バスが好き」「ドライバーが好き」な息子の思いが「ぼくのヒーロー きをつけてかえってきてね」という言葉に込められています。
ケアフィットファーム研修 導入事例(NTTアドバンステクノロジ様)
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ケアフィットファームでは、ダイバーシティ&インクルージョンを体感できる企業研修プログラムを提供しています。今回はNTTアドバンステクノロジ株式会社様が参加されました
日本の高齢者人口3,625万人! - 超高齢社会と認知症の推移(2024年版) -
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南海トラフ地震と障害のある人への防災対策:防災介助士の視点で解説
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南海トラフ地震は、今後30年以内に70〜80%の確率で発生すると予測されています。この巨大地震に備えて、特に障害のある方々とその家族、そして企業は十分な準備が必要です。本記事では、防災介助士の視点から、障害のある人のための具体的な対策について解説します。