掲載日:
JR西日本グループのバス事業を担い、西日本地域で観光、貸切、路線バスなど、さまざまなニーズに対応するバスサービスを展開されている西日本ジェイアールバス株式会社様と西日本ジェイアールバスサービス株式会社様の3名の方からサービス介助士の資格取得を中心にお仕事などについてインタビューさせていただきました。
西日本ジェイアールバス株式会社様HP
https://www.nishinihonjrbus.co.jp/(外部サイト)
西日本ジェイアールバスサービス株式会社様HP
http://www.wjbs.co.jp/(外部サイト)
野々瀬様
織田様
西日本ジェイアールバス株式会社
金沢営業所 助役
織田 豊 様
バスの運転士になることを夢に1998年、西日本ジェイアールバスに入社しました。
金沢営業所配属でバス運転士の夢を叶え、2階建て高速バスや貸切バスに乗務し、25年近くが経ちました。
運転士から指導運転士を経て助役となり、今は運転士の勤務など労務管理の仕事を中心に、社員のサービス介助士資格取得に関する業務を引き継いでいます。
運転士代務者として営業運転の出来る資格を持っていますので、コロナが5類に移行し、乗務の機会もこれまで以上に増えております。
峰様
西日本ジェイアールバスサービス株式会社
安治川事業所 助役
峰 学 様
観光バスの乗務員として5年7カ月携わった後、親会社である西日本ジェイアールバス株式会社に入社、現在は西日本ジェイアールバスサービス株式会社にて乗務員の運行管理を主業務としています。運転することは好きですが、仕事となるとお客様の命をお預かりするわけですから、好きだけでは乗務できないのも正直なところです。
それでもお客様から降車時にいただく「今日もありがとう」の言葉は心に沁みます。
織田様
改札の際にお客様の状況が分かりますので、必ず必要に応じて「お手伝いすることはないですか?」という声かけができています。
配慮が必要なお客様は遠慮なさる方も多いので、更に積極的にお声がけをさせていただくことで、心配事をお話しいただき、応対させていただいています。
以前、足に障害のある方がご家族様と貸切バスにご乗車いただいた際に、乗務員に対してご家族様から「ここまでお手伝いしていただけたのは初めてです」と、非常に喜んでいただきました。
我々は当たり前の対応をさせていただいただけなのですが、ご利用いただいたお客様には運転士の動きが、過去を振り返っても想像を超えていたようで、本当に喜んでいただきました。
弊社の運転士は高速バスがメインで、ワンマン運行が多いため、「接客・改札・運転」のオールマイティーで動ける運転士ですから、貸切バスでガイドが乗務していたとしても、自然と運転士自らがお客様対応にあたり、フットワークも軽く動けているのだと思います。
峰様
観光バスの乗務中に雪害で道路がストップしてしまったことがあり、到着が半日も遅れてしまったことがあったのですが、無事に目的地に到着した時は、皆さんとても喜んでくださり、口々に「運転手さん、ありがとう」「無事について良かったわ」と一人ひとりが話しかけてくださり、こみ上げるものがありましたね。浜名湖から大阪に向かう途中でしたが、関ケ原付近では完全に止まってしまいましたから、お客様も不安だったと思います。
寒さ対策や食事、トイレなどはエンジンが動いている間は暖房も効くので寒さは大丈夫でした。トイレも車内に完備されていますし、食事は必ず座席数分の非常食と水は積み込んでいますのでお客様の様子と時間を見ながら、配らせてもらいました。
普段の自分自身の運行管理だけでなく、自分以外の乗務員が事故やイレギュラーなく帰ってきたら顔を見てホッとします。乗務員が当たり前に帰ってきてくれることが一番嬉しいです。
野々瀬様
運転士は、気持ちの変化が一番大きいようです。車いす介助だけでなく、簡単な手話を実践している運転士もいまして、バスから降りられる際に「有難うございます」をそっと手話でお見せする運転士も多いです。手話についてはお客様の喜んでくださる表情がすぐに見て取れるので、営業所で挨拶の手話を運転士同士が共有しているところも多く、手話検定1級・2級取得者も在籍していると聞いています。
視覚に障害のあるお客様の場合も、過剰に踏み込むことはしませんが、お客様のご要望に応じて、対話を交え、乗り場までのお手伝い、チケットブースからご要望の場所まで可能な範囲でご一緒することがあります。ここでも手引き誘導の知識がなければ手引き者自身の不安が声のト-ンからお客様に伝わってしまいますが、今はスタッフも自信をもって対応できており、進んで応対に立ち上がる様子が見えています。
織田様
まずは、自分自身の運転士としての経験から、サービス介助士の資格を取得してからは、これまで行動に躊躇するような場面であっても、何をすべきなのかを冷静に判断し、自然と行動に移せるようになりました。
例えば、ベビーカーを押されているお母さんがいたら、自然とドアを開けている自分がいますし、車いすをご利用の方がいらしたら、何か出来ることはないか?と当たり前に声をかけています。
これまでなら気づかなかったようなことも気づくようになり、躊躇することがなくなりました。他の運転士たちも同様に、意識レベルはかなり上がっています。 車いすをご利用のお客様に対しても器具、装置の取り出し、設置についてもトラブルなく対応できていると報告を受けています。
運転士等にサービス介助士取得を推進
峰様
私自身も一年ほど大阪駅JR高速バスターミナルで勤務していましたが、ここではサービス介助士の介助技術がとても役に立ちました。
視覚に障害のあるお客様の手引き誘導や車いす利用者の乗降時対応など本当に役に立っています。
2階建てバスの場合はスロープを出して、そのままご乗車いただけますが、それ以外のバスでは、何らかのサポートが必要になります。
車内で快適に過ごしていただくためにも不可欠な学びだと考えています。
車椅子対応小型観光バスなら車椅子を2台同時に搭載可能です(貸切バス用)
野々瀬様
コロナが5類に移行した今も一定の感染対策などハード面については、他社との差異はないはずですが、差異が生じるとしたらソフト面すなわち接遇面だろうと考えています。お客様からすると「いつもと違う対応だ」と感じればご意見をいただくことになります。
例えば、「運転士の言葉が少し足りなかった」 「口調が普段より強く感じた」と言ったご意見ですが、これまでのコロナ禍であればコミュニケーションを取る上でマスクが弊害になっていることもあったかもしれません。しかし、お客様の安全を担保する上で、仮に少々口調が強く感じられたとしても、運転士の誠意ある気持ちとやはり最後に笑顔がお客様に伝わったならば、ご意見をいただくことはないと考えています。そして何より目的地に無事に到着した際のお客様からの「ありがとう」やお褒めの言葉が元気の源になっていることは間違いないようです。
お客様の安全・安心な輸送の提供を守る責任が私たちにはあります。
新しい生活様式からくる不安材料は、私たちが柔軟に対応すべきだとも考えています。
お客様からお褒めいただくケースとしては、ご質問・ご相談に対して、常にプラスアルファーを添えてお答えできた時が一番喜んでもらえていると感じています。社員教育の中でもプラスアルファーの大切さをアドバイスするようにしています。
いただいたお褒めの言葉は、各営業所所長宛に報告し、所長から運転士に連絡、全体でも共有できるようにしていますので、運転士にとっては、「喜び、やる気」の元になっています。
織田様
通勤、通学における障害者対応については、行路ごとに内勤者を含めて共有しています。車いす利用者に限らず、視覚障害者、聴覚障害者、高齢者も含め、急遽ご乗車いただくことがあっても、運転士教育はできているので十分対応できていると考えています。また、昨今のベビーカー利用に関するトラブルについて、お客様に協力をお願いするケースが発生した時は、運転士の方からアナウンスするように教育していますが、まだまだ利用頻度が少ない状況です。
今後も運転士に対しては、繰り返し指導・教育を行っていきます。
野々瀬様
基本的にはこれまでの継続ですが、コロナで中断してきたことを出来るようにしたいです。直ぐに人の流れが戻るものではありませんが、西日本ジェイアールバスを選んでいただけたことへの感謝を忘れず、さらに繰り返しご利用いただけるような施策は打ち出していきたいですね。新たな乗務員育成にも注力したいところですが、昔のようにバス乗務員が憧れの人気職種になってくれるようにしていきたいですし、応募してきてくれる女性乗務員が働きやすい環境も整備してきたいですね。
最後は、対面研修がストップしているので、ご利用いただいたお客様に喜んでいただけるよう、「気づき」が持てる研修を再開したいと考えています。
織田様
お陰様で、人の動きはコロナ以前に戻っておりますので、笑顔を絶やさず、これまで以上に積極的なお客様へのお声がけと、安全・安心な輸送の提供をさせていただきます。
また、バスの果たせる役割はまだまだあることを実感した取り組みに、衆議院議員選挙で石川県が行った「大学生の投票率向上」を目的に
大学内で投票する取り組みに弊社も協力させていただきました。
金沢市選挙管理委員会が路線バス車両を利用し、投票箱を積んだバスが巡行する「移動期日前投票所」を運行し、日替わりで市内の6大学に出張する試みでしたが、継続して協力していきたいと考えています。
今後もお客様の安心・安全を第一に様々な取り組みに挑んでいきたいです。
投票箱を積んだバスが巡行する「移動期日前投票所」
峰様
乗務員が出発して戻ってくるまでは、事故のないよう、ご意見をいただかないようにと祈っておりますが、まずは日々の健康管理を徹底していきます。益々忙しくなるこれからの季節を考えると、次の勤務までの休息時間をどう過ごすかは大切なポイントです。こころと身体の休息は安全運行の最重要課題です。
そして年3回は実施している社員教育の中では、介助技術の復習や接遇研修を取り入れ、お客様の安全を第一に、そしてご利用いただいたお客様に喜んでいただける、リピーターになっていただけるような取り組みプランを検討していきたいと思います。
公共交通機関等におけるシームレスな移動支援の実現に向けた 参加型バリアフリー教室&ボッチャ体験会 開催レポート
掲載日:
11月23日に武蔵小杉駅前のこすぎコアパークで実施した「みえるバリアフリー教室&ボッチャ体験会」を開催しました。このイベントは、国土交通省の「心のバリアフリー推進のためのモデル検討調査事業」の一環として開催されました(共催:川崎市 協力:東急電鉄株式会社、株式会社東急ストア)。
サービス介助士25周年 サービス介助の日特別記念シンポジウム 開催レポート
掲載日:
11月1日は「サービス介助の日」。そしてサービス介助士は開講25年を迎え、これを記念した特別シンポジウム「サービス産業の未来にヒトにしかできないサービスと共生社会の実現を考える〜サービス介助士が社会を変える#x301C;」を開催しました。株式会社オリエンタルランド様、日本航空株式会社様、淑徳大学様からゲストをお呼びし、DX進展や無人化が進む現代において、対人サービスの価値や共生社会の実現について議論が行われました。本記事はシンポジウムの様子をお伝えする開催レポートです。
ケアフィットファーム研修 導入事例(NTTアドバンステクノロジ様)
掲載日:
ケアフィットファームでは、ダイバーシティ&インクルージョンを体感できる企業研修プログラムを提供しています。今回はNTTアドバンステクノロジ株式会社様が参加されました
西日本ジェイアールバス株式会社
営業統括部 バス旅創造課 課長代理
野々瀬 亮 様
運転が好きで運転士として入社し、20年近く乗務した後、営業統括部で運転士の接遇・接客に関することを担当していました。
私自身も2012年にサービス介助士資格を取得しましたが、これまで気づかなかったことが気づけるようになり、社会を見る自身の目が随分変わったことを実感しています。