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毎年敬老の日に合わせて総務省統計局から発表される日本の高齢者人口。
最新の発表https://www.stat.go.jp/data/topics/topi1380.html(外部サイト)によると2023年9月現在の高齢者人口は3,623万人、高齢者人口率は29.1%となりました。
超高齢社会が進むと切り離すことのできないテーマが認知症です。
これからも社会の高齢化が進行するとどのようなことが起こりえるのか、高齢者に関する様々なデータを見ながら考えていきましょう。
日本ケアフィット共育機構では、進行する超高齢社会に対して、家族や身近に認知症の方がいる人、ご高齢のお客様への接遇・接客に課題をお感じの企業・事業者の皆様に役立つ学びとして「認知症介助士」資格をご提案しています。
この記事では、行政などから発表される統計情報を中心に、一部、認知症介助士の学習内容なども交えてご紹介しております。
ご興味のある方は認知症介助士のページも併せてご覧ください。
2022年の高齢者人口は3,624万人だったことから、2023年になり高齢者人口は2022年の発表より1万人減ったことになります。
1950年代以降初めて高齢者人口が減少しました。
人口率で言うと、2023年の高齢者人口率は29.1%。2022年の高齢者人口率は29.0%であったことから、2023年になり0.1%増加し、過去最高となりました。
厚生労働省からは100歳以上の高齢者の人口も発表されました。
2023年の100歳以上の高齢者の人口は92,139人。2022年より1,613人増加しました。
これがどれくらいの規模なのか想像できますか?
例えば日本ケアフィット共育機構が拠点を置く水道橋には、数々の大規模イべントが開催される東京ドームがあります。東京ドームの収容人数は55,000人(コロナを考慮しない平常時)。日本有数の施設が満員になっても入りきれないほどの100歳以上の高齢者が日本にはいるということが想像できたと思います。
日本がどれほど高齢化が進んでいるか、世界各国と比較してみましょう。
2022年の日本の高齢者人口は世界1位となっています。
表が見切れている時は横スクロールしてご覧ください。
順位 | 国・地域 | 総人口(万人) | 65歳以上人口(万人) | 総人口に占める 65歳以上人口の割合 (%) |
---|---|---|---|---|
1 | 日本 | 12442 | 3623 | 29.1 |
2 | イタリア | 5887 | 1440 | 24.5 |
3 | フィンランド | 555 | 131 | 23.6 |
4 | マルティニーク | 37 | 9 | 23.5 |
5 | プエルトリコ | 326 | 76 | 23.4 |
6 | ポルトガル | 1025 | 239 | 23.3 |
7 | ギリシャ | 1034 | 239 | 23.1 |
8 | クロアチア | 401 | 91 | 22.7 |
9 | ドイツ | 8329 | 1865 | 22.7 |
10 | ブルガリア | 669 | 149 | 22.3 |
(総務省統計局 「統計トピックス No.138 統計からみた我が国の高齢者 -「敬老の日」にちなんで-」より抜粋)
資料:日本の値は、「人口推計」の2023年9月15日現在
他国の値は、World Population Prospects: The 2022 Revision(United Nations)における将来推計から、人口10万以上の200の国及び地域の 2023年7月1日現在の推計値
厚生労働省の「令和4年度簡易生命表(外部サイト)」によると、2022年の日本の平均寿命は男性が81.05歳、女性が87.09歳となっており、前年と比較して男性は0.42年、女性は0.49年下回っています。
日本の平均寿命は1990年から2021年までの約30年間で約5年以上伸びており、高齢者人口が増加すると同時に、長寿化も進んでいることが分かります。
表が見切れている時は横スクロールしてご覧ください。
年号 | 男 | 女 | 男女差 |
---|---|---|---|
平成2年(1990年) | 75.92 | 81.90 | 5.98 |
平成12年(2000年) | 77.72 | 84.60 | 6.88 |
平成17年(2005年) | 78.56 | 85.52 | 6.96 |
平成22年(2010年) | 79.55 | 86.30 | 6.75 |
平成27年(2015年) | 80.75 | 86.99 | 6.24 |
令和3年(2021年) | 81.47 | 87.57 | 6.10 |
令和4年(2022年) | 81.05 | 87.09 | 6.03 |
参考:「令和4年度簡易生命表」より一部抜粋
WHOのWorld Health Statistics2023によると、日本は男女平均寿命では84.3歳で世界一となっています。
このように高齢化が進むことで、加齢が最大因子である認知症が、多くの高齢者に関連してきます。
認知症とは、「記憶障害のほかに、失語、失行、失認、実行機能の障害が1つ以上加わり、その結果、社会生活あるいは職業上に明らかに支障をきたし、かつての能力レべルの明らかな低下が見られる状態」と定義されています。
現在では日常的に“認知症”という言葉を使っていますが、実は“認知症”は病名ではなく、症候群です。
風邪に例えると分かりやすいですね。
のどが痛い、熱が出た、鼻水が出るなどの症状から風邪と呼ぶ方が多いですが、これも実はかぜ症候群です。
加齢ともに切り離すことができないのが認知症です。
認知症の最大の原因が加齢であり、認知症は誰にでも起こりうる身近なものです。
認知症は、その原因となる疾患によりいくつかに分類されます。
“アルツハイマー”という言葉を認知症の関連ワードでよく見かけると思いますが、認知症の原因となる病気の半分以上を占める“アルツハイマー型認知症”のことです。
他にも“血管性認知症”や“レビー小体型認知症”などがあります。
アルツハイマー型認知症とは脳細胞が様々な変化により減少し、脳が萎縮することで引き起こされる認知症です。
世界で最も多い認知症で、80歳以上では20%以上がアルツハイマー型認知症と言われています。
物忘れなどから始まり、進行はゆっくりと徐々に悪化する場合が多いです。
血管性認知症は脳梗塞や脳出血など、脳の血管がつまったり破れたりすることで起こります。記憶障害の他に脳血管障害の部位により意欲低下や無関心など様々な精神症状を示します。
レビー小体型認知症は、大脳皮質の神経細胞内に「レビー小体」という特殊な変化が現れる病気です。幻視が初期症状として現れ、歩きにくい、身体が硬い、などの症状も伴い、パーキンソン病との関連が指摘されています。
これらが主に3大認知症と言われています。
認知症介助士の学びの中では、その他の認知症についても紹介しています。
平成29年度高齢者白書によると、2012年は認知症患者数が約460万人、高齢者人口の15%という割合だったものが2025年には5人に1人、20%が認知症になるという推計もあります。認知症の要因は加齢にあることから、超高齢社会で暮らす私たち誰もが認知症になりうる、他人ごとではないということです。
出典: 平成29年 高齢社会白書外部サイト 第1章 第2節 3 高齢者の健康・福祉より
日本を含め世界では認知症はどのような広がりを見せているのでしょうか?
世界規模では毎年1,000万人近く、3秒に1人が新たに認知症になる
WHO(世界保健機関)によると2015年、認知症有病者数は5,000万人、そして毎年1,000万人近くが新たに認知症になるとの報告もあります。
これを365日、1日、1時間、と細かく割っていくと、約3秒に1人が世界のどこかで新たに認知症になっている計算です。
参照:WHO世界保健機関
http://www.who.int/en/news-room/fact-sheets/detail/dementia(英語)外部リンク
http://www.who.int/mental_health/neurology/dementia/infographic_dementia/en/(英語)外部リンク
世界保健機関(WHO)と国際アルツハイマー病協会(ADI)により、1994年から毎年9月21日をアルツハイマーを考える日として制定されました。
9月はアルツハイマー・認知症への理解を深めるために世界各国で様々な取り組みが行われています。
高齢化は世界規模でもこれから各国で課題となり、その中で日本は世界に先駆けて超高齢社会となった国です。
日本がどのように高齢な方も安心して暮らすことのできる社会を作ることができるか、そのための様々な取り組みが世界での見本となるかもしれません。
超高齢社会の先端を行く日本ですが、これからも社会の高齢化が進むとどうなるのか考えてみましょう。
単純に人口の3割以上が65歳となるため、社会の様々な場面で高齢者がいることが当たり前になります。
そのため、政策レベルでは社会保障制度の見直しなどが進んでいますが、企業のサービス利用者も高齢者が増えます。
これまでは、サービスが利用しにくい、分かりづらい、といった高齢者からの意見を、あくまで高齢者だから、と考えていたものは本格的に応対を見直さなくてはなりません。
制度・機能的な利便性だけでなく、高齢者のライフスタイルやニーズを深く理解した企業姿勢が、今後の事業継続性にも関わってくるでしょう。
これは既に述べたことですが、認知症の最大要因が加齢であることから、高齢化が進むと認知症の高齢者も増えていきます。
厚労省のデータでは2025年に高齢者の5人に1人が認知症になる推計でしたが、言い換えると5人の内、4人が認知症ではない、と言えます。
ユニバーサルデザインの考えに通じることではありますが、例えば高齢者が利用しやすい、段差のない入口や、分かりやすい手順・導線などは、移動において類似ニーズを持つ妊産婦や、日本語以外の言語を使用する人などのニーズにも対応しえます。
上記はごく簡単な事例ですが、高齢者のニーズを深く洞察することで、既存の価値観を打ち壊して新たな需要を呼び起こす可能性が含まれています。
この記事では様々なデータから超高齢社会について考えていきました。
高齢者や認知症の人への応対は、様々な観点から行うことが大切です。
どこから始めればいいか分からない、という場合は、サービス介助士や認知症介助士の学びから始めてみることも検討して見てください。
日本ケアフィット共育機構では高齢者や認知症の人の応対を学ぶ研修以外にも企業内の学習教材の開発、サービス設計の見直しなどのコンサルティングも承っております。
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