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障害者への差別はどのようなことが差別になるのでしょうか?
実は意識していないうちに障害者へ差別的な取り扱いをしているかもしれません。
この記事では障害者差別解消法で述べられている差別や、差別をしたらどうなるのかを解説し、
一見差別事例とは思えない、もしかしたら差別になるかもしれない事例から差別について考えていきましょう。
事例を見ていく前に、障害者差別解消法で、差別とはどのように定義されているのか確認しておきましょう。
障害者差別解消法の条文では差別の禁止において以下のような説明がされています。
第三章
行政機関等及び事業者における障害を理由とする差別を解消するための措置(行政機関等における障害を理由とする差別の禁止)
第七条 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。
事業者も同様の記述になっています。
参考:条文はこちらhttps://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=425AC0000000065外部サイトをご覧ください。
さらに障害者権利条約における障害者差別の定義も見てみましょう。
障害者権利条約は2014年に日本は批准し、障害者差別解消法はこの批准に実効性を持たせるための法律にあたります。
第二条 定義
(略)
「障害に基づく差別」とは、障害に基づくあらゆる区別、排除又は制限であって、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のあらゆる分野において、他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を認識し、享有し、又は行使することを害し、又は妨げる目的又は効果を有するものをいう。障害に基づく差別には、あらゆる形態の差別(合理的配慮の否定を含む。)を含む。
(略)
参考:外務省 https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinken/index_shogaisha.html外部サイト
このように権利や人権の侵害に当たるような行為を差別ととらえています。
それでは、ここからは実際の差別事例を視覚障害者のエピソードから見ていきたいと思います。
演劇鑑賞のチケットを事前に購入し、当日劇場に行くと、購入した座席とは違う席へ案内されました。事前に相談もなかったため理由を尋ねましたが、説明がされませんでした。何らかの理由があるのであればそれを説明する必要があります。
「障害のある人はここに案内する決まりになっている」という理由があるかもしれませんが、個別の状況や場面に応じた検討をせずに一律の条件を課すことも差別的取扱いに該当することが考えられます。
チケットを相談なく変更してしまうことは、本人の鑑賞の権利を奪うことになってしまいます。普段障害のないお客様には行わないことを、障害のある人だけには行うようなことがないか、あるのであればしっかり説明できる理由なのか、見直してみましょう。
コンビニで商品選びを依頼しようとレジの列に並んでいたとき、順番が来たにも関わらず、声をかけられないまま後ろに並んでいた人の対応をされたことがありました。
順番を後回しにされたことに気づいたので、「商品選びを依頼するために並んでいた」と声をかけると、「最後まで待っていればいいんだよ!」と強い口調で言われ、長時間待つことになったためあきらめて帰宅しました。
まず、接客対応としてあからさまな差別的態度はあってはならないことですが、そのような発言・対応がなかったとしても、順番が来るまで、しっかりと列に並んで待っていたのに、なぜ後回しにされたのかわかりません。待ってほしいのであれば、なぜ待たなければならないのか、どのくらいの時間になるのかを説明しなければなりません。
以前、資格試験の受験に際して、教科書や資料について文字を読むことが難しいため、文字データか点字データを用意してほしいと依頼しましたが、「あなただけ特別扱いはできない」と、受講自体を断られました。これは、特別扱いではなく、健常者が使用している資料と同じ情報を得るための、手段として文字のデータ化や点字を使うことを提案したため、特別扱いにはなりません。受験や学習の機会提供という観点で見ると、目の見える人を特別扱いしている、とも考えることができます。このように、多数派の健常者の社会と立場でいると、現状の社会の在り方が当たり前すぎて、何が障害者の障壁になっているのか、何が不平等になっているのか気づきにくい部分があります。
イベントに参加するため、座席までの案内対応があるかどうか、ホームページを確認したところ、「本イベントでは、介助が必要なお客様にはご来場をお控えいただいております。」との記載がありました。これは健常者には付けない条件を付けていますので、差別事例にあたります。また、「介助が必要なお客様」となっているため、視覚障害者以外の方にも条件を課してしまっています。
ここまで、具体的な事例を見てきました。
実は、差別事例について報告を怠ったり虚偽報告を行ったりした場合には罰則がありますが、差別を行ったことに関しては、具体的な罰則はありません。
しかしながら、近年ではSNSやテレビ報道等で取り上げられることも多く、(私的制裁のようなものがまかり通る風潮はそれ自体また別の問題ですが)法としての罰則はなくとも、社会的な制裁が課せられる可能性があり、決して無視はできません。
事例で上げたものには、直接的な差別もあれば、事業者からすると何が差別なのかわかりにくいものもあります。障害者に対する差別をなくしていくには、このような一見差別とは思えないような差別を意識することが重要です。
以下のようなポイントが対応でされていないか見直してみましょう。
施設利用やイベント参加の際に、“何かあったら責任が持てない”といった漠然とした安全上の問題を理由に利用を拒否されることがよくあります。例えば飲酒が可能なイベントで酒酔いによるトラブルや安全上の問題は考えられますが、特に利用拒否になるようなことはありませんが、障害者に障害があるというだけで安全上の懸念を抱くことがあります。
様々なケースと比較検証してみてその安全性の理由が正当なものか確認してみましょう。
合理的配慮の提供に関連する部分でもあります。普段対応しないことを障害がある人に“だけ”提供することに対して、逆に障害のない人へ不平等、逆差別になると懸念する事業者がいます。これは先述の通り、現在のサービス提供が障害のある人にはすでに不平等な状態、不利益を与えている状態であるため、この状況を是正するための対応は不平等ではなく、そのままにすることは障害のない人“だけ”を優遇している状況と言えます。
現在提供しているサービスにどのような障壁があるのかを認識することも差別をなくす一歩になるでしょう。
障害のある人との対応時にだけ、小さな子どもに話すような言葉遣いになったり、敬語を使わなくなる人がいます。このように態度が変わることは、もしかしたら本人としては意識していないものの、“障害者は庇護すべき存在”という偏見から来ているとも考えられます。障害があってもお客様であることには変わらず、たとえ障害により発話に困難があったとしても意思疎通はできるため、応対時にどのような接客・接遇をしているか意識しましょう。
障害者への差別になるかもしれない事例を視覚障害者のエピソードから紹介しました。
差別の多くは事業者としては差別という認識はなく行われているものもあります。
自社内だけでは気づきにくい障壁や偏りをどのように気づいて改善していくか?がポイントになります。
日本ケアフィット共育機構では、障害者差別事例検証や事業者として備えておくべき環境の整備、合理的配慮の提供についてどのようなことを行えばよいのかなど学ぶことができる研修やコンサルティングを実施しております。
障害者差別解消法の対応に企業としてどの様なことをすればいいか分からない、 そのような課題を様々なプランで解決のお手伝いをしています。
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