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農福連携の取組事例 ケアフィットファームのインクルーシブな農業

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農福連携

山梨県の概要

ケアフィットファームの農福連携の紹介に際して、まずは山梨県についておさらいしていきます。
山梨県は日本の中部地方に位置していますが、東京に隣接していることをご存知でしょうか?
山梨県は東京の奥多摩町と檜原村に隣接していますが、東京から山梨に直接往来するには山間部の青梅街道以外ないため、東京に隣接しているというイメージが薄いのかもしれません。

東京都と隣接する山梨県

山梨県は、南に富士山、西に南アルプス、北に八ヶ岳、東に奥秩父と2,000mを越える山々に囲まれています。
山梨県の面積は4465km2ありますが、そのほとんどが山岳地帯で人が住める面積は全体の2割程度しかありません。
山梨県の人口は2000年の895,646人を最高に、この20年で10万人近く減少し続けています。

山梨県のいろいろランキング

  • 人口:全国42位(810,427人 「令和2年国勢調査」)
  • 空き家率:全国1位(2018年21.3% 4回連続1位 統計局「住宅・土地統計調査」)
  • ブドウ生産量:全国1位(41,800t 農林水産省「平成30年作物統計」)
  • ブドウの1世帯あたりの年間支出額:全国1位(甲府市 年間7,659円/1世帯 総務省「2017-2019年家計調査」)
  • マグロの1世帯あたりの年間支出額:全国2位(甲府市 年間9,040円/1世帯 同上)
  • ワイン生産量:全国1位(5,189kl 国税庁 「平成30年 国内製造ワインの概況」)
  • ミネラルウォーター出荷額:全国1位(717億円 全国38.8% 経済産業省「2019年 工業統計調査」)
  • すし店数:全国1位(1,000人あたり0.30事業所 総務省「平成26年経済センサス-基礎調査」)
  • 健康寿命(男性):全国1位(73.21歳 女性は全国3位 厚生労働省「第 11 回健康日本 21(第二次)推進専門委員会」)

山梨県はフルーツ王国ですが、マグロの支出額やすし店舗数全国1位は、県外の人には驚きかもしれません。
健康な高齢者が多いということも今後の超高齢社会のヒントになりそうです。

山梨県農業の課題

農業の担い手の減少

農林水産省で行われている農業センサスでは、全国の農家の推移が調査されています。
農業従事者は全国的にも年々減少しています。
山梨県では、新規就農者や経営規模は若干増加しているものの、全国平均同様に担い手は少なくなってきています。

山梨県の農家数の推移

参考:2015年 農林業センサス結果 山梨県の概要(確定値)(平成27年2月1日現在)(外部サイト)

農業就業人口の高齢化

全国的に高齢化していますが農業に携わる人口は著しく高齢化しています。
2015年の農業就業人口の平均年齢は68.2歳で、65歳以上が全体の68.3%を占めています。

農業就業人口の構成

山梨県福祉の課題

高齢化

全国と山梨県の高齢化率の推移と見込み

山梨県が出している高齢者統計情報によると、山梨県の健康寿命は全国よりも長いものの、高齢化率も全国平均より上回っています。
高齢化率の全国平均(令和3年概算値)は28.9%に対して、山梨県は30.8%になります。

参考:令和3年度 高齢者福祉基礎調査 概要(外部サイト)

また、高齢者のひとり暮らしも増加しており、地域における人と人とのつながりを作ることが課題となります。

ケアフィットファーム
農福連携の取り組み事例

ではこのような特徴や課題がある山梨県において山梨県甲州市で農福連携の取り組みを行っているケアフィットファームの事例を紹介します。

荒廃農地と耕作放棄地の再生と農業の6次産業化

荒廃農地とは、現に耕作されておらず、耕作の放棄により荒廃し、通常の農作業では作物の栽培が客観的に不可能となっている農地と定義されています。
耕作放棄地とは、以前耕作していた土地で、過去1年以上作物を作付け(栽培)せず、この数年の間に再び作付け(栽培)する考えのない土地のことを言います。

山梨県は全国的にも荒廃農地・耕作放棄地の割合が高く、農業の担い手の高齢化・担い手不足が原因となっています。
ケアフィットファームではこういった農地を借りて、開墾・再生して畑として様々な作物を栽培しています。

荒廃した農地を開墾し、ブドウ棚へと再生させました

荒廃した農地を開墾し、ブドウ棚へと再生させました

荒廃した農地を開墾し、ブドウ棚へと再生させました。

そこで収穫したものはそのまま販売するものもあれば、施設内で加工し、併設している地産 CAFE & SHOP けあふぃっとふぁーむオンライン(楽天市場)(外部サイト)で販売しています。

このように、生産(1次産業)× 加工・製造(2次産業)× 小売・販売(3次産業)を一貫して行うことを農業の6次産業化と呼び、ケアフィットファームでは農業の6次産業化に加えて、更に農福連携の取り組みを掛け合わせています。

施設外就労での農作業・生産品の委託加工

栽培や収穫の繁忙期に地域の農家で収穫をケアフィットファームの障害のあるメンバーで行う、施設外就労を行っています。
メンバーはケアフィットファームでの経験を活かしながら、地域の生産者の高齢化や人手不足などの課題に貢献しながら行っています。
また、施設内にある加工設備を活用し、生産者単独で行うことのできなかった農作物の加工も委託で請け負い、メンバーと共に加工作業にも取り組んでいます。

近隣のぶどう生産者のぶどうの葉の収穫を施設外就労として担当しました。

近隣のぶどう生産者のぶどうの葉の収穫を施設外就労として担当しました。

ブドウ生産者からブドウの乾燥加工を委託し、生産品の付加価値化にも寄与しています。

ブドウ生産者からブドウの乾燥加工を委託し、生産品の付加価値化にも寄与しています。

ケアフィットファームワイナリー
収穫したブドウから作るナチュラルワイン

障害のあるメンバーと共に収穫したブドウをケアフィットファームワイナリーで醸造しています。
化学肥料や殺虫剤をなるべく使わずにメンバーが一つ一つ手摘みで収穫し、自然発酵からブドウ本来の甘みを最大限に生かしたワインを作っています。
醸造の作業やワインの瓶詰め、ラベル張りなどもすべてメンバーと共に行っています。
2020年からは補糖をせずに自然酵母で発酵、亜硫酸不使用のナチュラルワインをリリースしました。

天然酵母を作るために手摘みでブドウの実をとります。

天然酵母を作るために手摘みでブドウの実をとります。

発酵がまんべんなく行き渡るように毎日櫂(かい)つき作業を行います。

発酵がまんべんなく行き渡るように毎日櫂(かい)つき作業を行います。

参加しているメンバー

ケアフィットファームでは就労移行支援と就労継続支援B型事業を行っています。

  • 就労移行支援:一般就労を希望する65歳未満の障がいのある方に対し、仕事に関する知識や能力の向上のため必要な訓練、就労に関する相談、実践の就労と職場への定着支援を行います。
  • 就労継続B型支援:一般企業などで働くことが難しい方に対して、働く場所と就労に向けた知識・能力の向上を目指す支援を行います。

10代から60代までの障害のあるメンバーが就労支援サービスを利用し、農業を通じて様々な経験や就労に必要な能力を獲得しながら、一人ひとりの個性や生き方を見つけながら、障害のある人、ない人も共に働き学ぶ場を作っています。

まとめ
インクルーシブな農業から新しい価値創造へ

日本の各地では、農業と福祉それぞれに課題を持つ地域も多く、山梨もその例に洩れません。
分野を区切ってその解決に取り掛かるのではなく、共通する課題をそれぞれの強みや特性を掛け合わせて解決し、新しい価値を生み出していくことが農福連携の取り組みと言えます。
ケアフィットファームでは地域・社会の課題に取り組みながら、障害の有無に関わらず、様々な人が協働するインクルーシブな農業を発展させ、社会課題先進国ともいえる日本の将来を切り開いていきます。

農福連携を進めるケアフィットファームで作られたドライフルーツやワインを自社店舗での販売や、社内リフレッシュメント、お客さまへの贈答品として活用いただくこともできます。
ケアフィットファームとのコラボレーションから新たな商品開発などもご検討ください。

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