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SDGs(持続可能な開発目標)とは、国連で採択された2030年までに全世界で達成を目指す国際的な目標のことです。
社会性の強いテーマであることから、SDGsに対する企業の取り組みは
国や自治体、一部の大企業が行うもの
本業と関係のない義務的・慈善的なもの
と認識する方もいるかもしれません。
しかし“持続可能な開発”とあるように、SDGsへの取り組みは企業の継続性にも深く関わります。
今回はSDGsそのものの話から離れ、「障害者優先調達推進法」と呼ばれる法律から社会を持続させる仕組みを紹介します。
「国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律(障害者優先調達推進法)」は、2013年4月に施行されました。
参考:障害者優先調達推進法が施行されました(厚生労働省)(外部サイト)
簡単にいうと「国や地方公共団体など」が「障害者就労施設など」の「サービスや物品など」を率先して発注することを推進する法律です。
参考:障害者優先調達推進法の概要及び啓発パンフレット(厚生労働省)(外部サイト)をもとに作成
厚生労働省の集計によると、2020年における障害者の法定雇用率達成企業の割合は48.6%となっており、障害者が働く場所の確保はいまだ課題です。
参考:令和2年 障害者雇用状況の集計結果(厚生労働省)(外部サイト)
誰も取り残さない社会の実現のためには、個々人の経済的な基盤を確立することが重要であり、そのためには障害者が働く新たな場所の創出だけでなく、既存の事業や施設を継続・強化する仕組みにも目を向ける必要があります。
※重度障害者多数雇用事業所・・・以下の①〜③を満たす事業所
発注・調達は以下のようなサービス・物資が例としてあげられます。
参考:障害者優先調達推進法の概要及び啓発パンフレット(厚生労働省)(外部サイト)
ただし、文字だけではイメージがしづらい部分もあるかと思います。
日本ケアフィットでは、この法律の対象施設(就労移行支援・就労継続支援B型)であるケアフィットファームを運営しています。
以下のサイトから実際に障害のある方が働いている様子など見ることができますので、障害者が働く、ということのイメージとして参考にしてみてください。
2013年の施行から、各団体による障害者就労施設等からの調達実績は着実に向上しています。以下の表からは、スタートした2013年から2019年の6年間で合計7,037,272円の増額、発注件数では75,241件も増加していることが分かります。
(単位:件(件数)、千円(調達額))
表は横スクロールしてご覧ください。
2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
件数 | 調達額 | 件数 | 調達額 | 件数 | 調達額 | 件数 | 調達額 | 件数 | 調達額 | 件数 | 調達額 | 件数 | 調達額 | |
国 | 2,628 | 556,060 | 4,491 | 637,918 | 4,878 | 643,602 | 5,769 | 816,827 | 5,875 | 850,575 | 6,069 | 885,239 | 6,296 | 975,118 |
独立行政法人 | 3,062 | 694,230 | 4,474 | 824,320 | 5,052 | 996,461 | 5,819 | 1,040,781 | 6,847 | 1,315,248 | 6,866 | 1,356,203 | 7,483 | 1,565,505 |
都道府県 | 14,596 | 2,136,062 | 18,368 | 2,591,457 | 21,537 | 2,671,316 | 23,640 | 2,516,492 | 24,814 | 2,751,452 | 26,320 | 2,477,118 | 28,820 | 2,940,031 |
市町村 | 43,481 | 8,660,155 | 57,974 | 10,605,392 | 68,613 | 11,056,578 | 79,861 | 12,384,632 | 95,288 | 12,422,026 | 91,447 | 12,826,274 | 95,118 | 13,560,030 |
地方独立行政法人 | 1,150 | 250,558 | 3,751 | 466,643 | 2,783 | 355,262 | 2,001 | 357,131 | 85,080 | 390,168 | 9,649 | 296,495 | 2,441 | 293,652 |
合計 | 64,917 | 12,297,065 | 89,058 | 15,125,730 | 102,863 | 15,723,219 | 117,090 | 17,115,863 | 217,904 | 17,729,469 | 140,351 | 17,841,329 | 140,158 | 19,334,336 |
参考:国等による障害者就労施設等からの調達実績の合計(外部サイト)
年を経るにつれて調達先のリストや効率化などのノウハウが蓄積され、SDGsやEGSなどの社会全体の利益を見据えたキーワードの登場という追い風もあり、この流れはコロナ禍においても加速されることが予想されます。
★以下の資料で、調達の内訳も見ることができます。
令和元年度 国の機関等における障害者優先調達推進法に基づく障害者就労施設等からの調達実績~法施行(平成25年)から6年連続で過去最高を更新~(外部サイト)
興味がある方は是非ご参照ください。
また、組織によっては年度ごとの目標金額を公表している場合があります。
ここまで障害者優先調達推進法についてみてきましたが、いかがだったでしょうか。
障害者の就労を確保することは全国規模で取り組まれていること、そしてその動きもどんどん加速していることがお判りいただけたでしょうか。
この法律はSDGsのテーマである、「誰も取り残さない(leave no one behind)」と深く関わっています。
具体的なゴールで示すなら、次の6つのゴールです。
1. 貧困をなくそう
3. すべての人に健康と福祉を
8. 働きがいも経済成長も
10. 人や国の不平等をなくそう
11. 住み続けられるまちづくりを
12. つくる責任 つかう責任
また、SDGsと関連して、最近話題の「サステナブル調達」*1や「エシカル消費」*2といったキーワードにも広がっていきそうです。
調達や消費などの経済活動における「持続可能性」という要素が重要視される時代がすぐそこまできています。
例えば職場で何気なく利用されているリフレッシュメントを見直してみたり、持続性を意識しているパートナー企業からの調達、素材の見直し、など視点を広げると様々な部分で取り組みを始めることができます。
新たに仕組みを作る、働く場所をつくる、そうした創造性はもちろん大事ですが、それと同じぐらい、既存のもの存続させていくことも大切だと思いませんか?
*1サステナブル調達:製品の原料などの調達の際に、自然環境や労働環境などの社会的配慮を行いことで持続可能な調達を目指す仕組み
*2エシカル消費:社会問題に考慮したり、社会課題の解決に取り組む事業者を応援しながら行う消費活動
今後、企業が存続するにあたり、社会や地球環境なども考慮に入れた持続可能な発展性が必要不可欠になります。
その時の道しるべとなるものがSDGsです。
これからSDGsに取り組もうと考えている、事業やサービスとSDGsの関連性が見出せない、といったSDGsの取り組みそのものへの課題に対してもご支援しています。
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