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こんにちは、ライターのメグです。
私は視覚と下肢に障害があります。
以前もリベルケアフィットにて【障害者は賃貸物件が借りれない?】別のウィンドウで開くという記事で障害のある人の賃貸事情をご紹介しましたが、今回は社会人になって一人暮らしを始めた私のエピソードを交えて、視覚に障害のある人の不動産賃貸について詳しくご紹介したいと思います。
視覚障害のある人や、不動産賃貸の仲介業などをされている方にも参考にしてもらえればと思います。
最初に悩んだことは、物件の探し方でした。
これまで、何度か引っ越しの経験はありましたが、今までの引っ越しというと、高校や大学の寮であったため、今回のような本格的な引っ越しは初めてでした。
主な引っ越しの手順というと、
だと思います。
初めての引っ越しでどのような手順で始めていけばよいのかわからなかったため、皆さんと同じ手順で進めていこうかとも思いましたが、障害のある場合にはイレギュラーなことも多いかもしれないと思い、周囲に引っ越しについて詳しい人がいないか、探してみることにしました。
結果、ツイッターのフォロワーさんの中に、不動産会社で勤務されている方を見つけることができました。
その方とは何度かお会いしていたこともあり、物件探しの方法がわからないこと、障害があるために断られてしまうことが多いため、力を貸してほしいことをお伝えしたところ、快くお引き受けいただきました。
私の場合は、幸運にも知り合いで不動産について詳しい方を見つけることができましたが、大半の方は、自力で仲介業者を探し障害について一から説明しなければなりません。
たとえ障害の説明をしたとしても、その時点で断られてしまった場合には、振出しに戻ることになってしまうため、大きな問題です。
後日、その方と直接お会いし、詳しい障害の状況や物件の条件などをお伝えし、物件のリストアップ・内覧までの手続きをお願いしました。
後日、物件のリストをいただいたのですが、ここでも一つ、私なりの工夫をしました。それは、間取りの見方です。
通常であれば、賃貸物件サイトなどで手軽に確認することができますが、間取りは画像情報のため、私の場合は自力では確認することができません。
そこで、その方に間取りを文章で説明していただくようにお願いしました。
玄関のドアを背にして、正面に1部屋あり、右壁に手前からお風呂とトイレ、左壁にキッチンがある、というような感じです。
また、物件の条件(駅からの距離、家賃・光熱費など)も、サイトによっては画像になっているものもあるため、それについても文章で説明していただきました。
このように、物件探しにおいても、ホームページのアクセシビリティ対応も必要ということがわかり、そして現状多くのサイトが対応されていないということが分かります。
私の物件選びの条件は、前述からも分かるように、
です。
この条件に関しては、一般的な物件選びと大きな差はないと思います。
地方自治体が運営する低所得者向けの賃貸住宅です。
家賃が安価なこと、礼金や仲介手数料がかからないことが、就業が難しい障害者に取っては選びやすい物件ですが、入居者は抽選で決められるため点が大きな違いです。
独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)が運営する賃貸住宅です。
公営住宅と同様、礼金や更新料が不要ですが、収入の条件が他の住居に比べて厳しくなっています。
また、部屋の構造が身体障害者向けになっている住居もあります。
一方、先着順で入居者が決められるため、できるだけ早めに申し込んでおく必要があります。
障害者がヘルパーなどと一緒に同居しながら生活する仕組みです。
キッチンや浴室などの共有スペースと、個人の部屋が個別にあります。
一人暮らしをする前に自分一人でできることを自分で行うことを練習するために使用したり、他の障害者とコミュニケーションをとりながら生活したいと考える障害者が利用します。
グループホームと似ていますが、個人の居室と共有スペースが別の敷地にあり、より一人暮らしに近い環境を体験できます。
グループホームやサテライト型住居は主に知的・発達障害者が利用することが多いです。
内覧では、文章のみで確認していた物件の間取りと、IH対応可否かについて確認し、その後は、家周辺の店舗や施設を探索しました。
内覧といっても、私の場合、一番確認したいのは、家周辺についてです。
晴眼者であれば、地図などで事前に確認することができますが、私の場合は難しいため、自分が歩けるくらいの距離に、どのような店舗や施設が何件ほどあるのか、 また、そこに行くまでのルートは単純かどうかなど、実際の現場に行って確認します。
今回、内覧に伺った2つの駅で例を挙げると、A駅は、乗換駅のためとても栄えていて、数多くの店舗が軒を連ねていました。
とてもよさそうな駅だな、と思ったのですが、実際に歩いてみると、人通りが多いうえに放置自転車や看板などの障害物がたくさんありました。
一方、B駅は決して栄えているとは言えませんが、駅周辺にコンビニ、ファストフード店、銀行、スーパーが集まっていて、なおかつ歩きにくくない程度の人数でした。
今回、内覧前には40件ほどあった物件の候補が、内覧をお願いするために管理会社さんに私の障害についてお話ししていただいたところ、5件ほどまで減ってしまいました。
不動産会社で勤務するフォロワーさんに理由を聞いたところ、「火災になったらどうするんだ、家の中で転倒されたら困る」と言われ断られたり、「視覚に障害がある」と伝えただけで断られたこともあったそうです。
火災について心配されることは想定内だったためIHを使用すれば危険はないということもお伝えしようと考えていましたし、生活する上での心配事についても、初めて訪問する場所については手助けが必要ですが、自分の家のように慣れることができれば、皆さんと変わらない生活を送ることができるとお伝えしたかったです。
しかし、「視覚に障害がある」と聞いただけで断られてしまっては、誤解を解くことすらできなくなってしまいます。
「障害がある=一人では何もできない、危険だ」という先入観を持つ前に、まずは一度本人の話を聞いてほしい、説明する時間を作ってほしいと強く思いました。
障害者差別解消法が施行され、上記のような対応は、障害を理由とした不当な差別的取り扱い事例の典型とも言えます。
法律が施行され4年が経過するものの、障害者に対する先入観や観念は、まだまだ根付いていて、これらを払拭していくには相当の時間を要するのだと、痛感させられました。
前述のような辛い経験がたくさんした中で、今回、入居を決めた物件の仲介業者の方は、とても素晴らしい対応をしてくださいました。
不動産会社勤務のフォロワーさんからその仲介業者の方に、事前に私についてお話しいただいていたということもあるかと思いますが、それを考慮したとしても、あれだけ立派な言葉をくださった方に初めて出会いました。
私が自分の障害について一通り説明し、入居させてほしいとお願いしたところ、「私とあなたでは人種が違う(境遇が異なっている)と思っています。たとえば、私が急に目が見えなくなったとしたら、一人で暮らすどころか、一人で歩くことすらできないでしょう。
でも、あなたは生まれてから今まで、ずっとその状態で生活してきているのですよね。それなら、きっとできるのでしょうね。
私は、あなたが一人暮らしをさせてほしいとお願いしてきているのなら、できるのだと信じます。」と言ってくださいました。
このような言葉をかけていただき、仲介業者の方のような考えを持つ方を増やすことができれば、障害のある方々はもっと生活しやすくなる、私が働きかけることによってそのような考えを持つ方を増やすことができるのであれば、これからも引っ越し(一人暮らし)だけではなく、その他、障害のある方ができないと思われていることに挑戦し、障害のある方への先入観を払拭していきたいと強く思いました。
賃貸審査・契約方法は、一般的な方法と変わりはありません。
契約内容の確認の際に代読をお願いしました。
契約書への署名は、自力で行いました。現在では書類の署名は自署でなければ認められないものがほとんどです。
小学校時代に、将来、いろいろな書類にサインをすることになった場合に、代筆してもらっても良いが、できる限り自署できたほうが良いとアドバイスをもらい
練習したことが15年越しで役立ちました。
しかしコロナウィルスの関係で外出自粛や対面でのコミュニケーションがオンラインでやり取りされる状況では、このようなサイン・印鑑の文化も変わっていくかもしれません。
そうなれば障害の有無に関わらずよりスムーズになるかもしれません。
また、今回の入居に当たっては、オーナーさんが安心であるということで、IHを使用する、という契約の条件で、許可していただきました。
もちろんオーナーさんには安心していただきたいですし、私自身もガスの使用も問題はありませんが、IHの方が安全であることは確かなため、了承しました。
なにより、それ以外の条件は健常者と同じ条件で入居させていただけるだけで十分でした。
通常の賃貸物件を借りる際の補助はありませんが、民間の賃貸物件を借りる場合は、収入額に応じて助成金が付与されます。
ただし、入居者は抽選のため、必ず入居できるという保証はありません。
私は、引っ越しの際、節約のために業者は頼まず、両親に手伝ってもらいました。
私の場合は、両親がそばにいたため手伝ってもらうことができましたが、そうでない場合や、将来一人で引っ越しをすることになった際にはどのようなところに注意して以来をしなければならないのか考えてみようと思います。
引っ越しに伴い、いくつかの事前準備を行いました。
①コンセント設置工事
IHやその他の家電製品を使用するにあたり、オーナーさんに相談のうえ、コンセントの増設工事を行いました。
②入居者へのお知らせの伝達方法
火災報知機の点検や定期清掃などが行われるといったお知らせは、チラシが配布されることになっていました。
私の場合、チラシを読むことが困難なため、そのような場合には電話で連絡していただくようお願いしました。
③福祉サービスを受けられる地域の選定
プライベートで使用するパソコンや音声読み上げソフトなどを購入するため、日常生活用具給付金(*1)の対象が多く、都営交通無料乗車券(*2)の利用が可能であり、福祉タクシー権が付与されるなど、制度が整備されている地域を吟味しました。
④家具などの配置の決め方
色々な家具を置いてしまうと動線がわかりにくくなってしまうので、家具は必要最小限にしています。また、先ほどと似た理由になってしまいますが、歩きにくくならないよう、棚や引き出しは、クローゼットなど扉のついている場所に収納するようにしています。
いかがでしたでしょうか。
皆さんが当たり前に行うことができる引っ越しも、障害がある場合には、たくさんの方のご協力と制度によって実現されています。
また、障害のある方への先入観は、まだまだ払拭されていません。
この記事をお読みいただいた皆さんが、従来の制度や対応が障害のある人に対して困難を強いていることを知って、今までのやり方が全ての人に対してアクセスしやすいものなのか考えるきっかけになれればと思います。
引っ越しや賃貸物件の契約は誰でも業者や知人の力を借りてやっていると思います。
障害がある人も、同じようにいろいろな人の協力があれば一人暮らしができることがお分かりいただければ幸いです。
サービス介助士別のウィンドウで開くの学びの中には、このような障害者の実際の生活や、企業のサービスの利用などについて実際に出会った困りごとや、応対について障害当事者との対話の中で学ぶ時間もあります。
誰もが暮らしやすい社会になるためには、このようなコミュニケーションを重ねることが大切だと思います。
(*1)日常生活用具給付金:障害者が日常生活を自立した状態で円滑に過ごすために必要な機器の購入を、公費で助成する制度。 障害者が利用する各種の用具や機器は、概して特殊なゆえに高額になるため、それらの用具や機器が使えるか否かで日常生活の質が大きく左右される障害者に対して、 各市区町村の決定で支給される。
(*2)都営交通無料乗車券:都内在住の身体障害者、知的障害者、生活保護受給者に発行される。
都営地下鉄全線、都バス(江東01を除く。)、都電、
日暮里・舎人ライナーの利用時、乗車料金が無料となる。
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