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コロナ禍によって発生した新しい生活様式。
多くの人がこの新生活に慣れ始めていますが、その変化に取り残され、困っている人も現実には存在しています。
本講演では、コロナ禍での聴覚障害者に対するサービスの在り方について、一般財団法人 全日本ろうあ連盟理事 唯藤節子氏をお招きしお話いただきました。
唯藤氏の講演では、「新しい生活様式における聞こえない人への接遇について」をテーマとして、コロナ禍における聴覚障害者の困りごとやバリア、それらを踏まえた社会に望むことをお話しいただきました。
新型コロナウィルス感染症の拡大によって、私たちの生活には劇的な変化が訪れました。
その変化の一つとして、マスクの着用にあげられますが、唯藤氏は以下のように語ります。
唯藤氏感染防止のために、マスクを装着することが当たり前になりました。
私たち聴覚障害者はコミュニケーションをする際に口の動きを読み取るのですが、マスクのために口が見えなくなってしまって非常に困っています。それだけでなく、誰が喋っているのかもわかりません。
また、日常以外の、例えば災害や病院などの命に関わる部分でも困りごとがあると唯藤氏は述べます。
唯藤氏3月11日、東日本大震災が起こりました。大混乱が起こりましたよね。とても怖かったかと思います。皆さんも強く記憶されていたと思います。
津波で多くの被害がでました。亡くなった人は18,000人以上いらっしゃいます。その中で障害のある方のなくなった比率は、障害のない人と比べますと倍になります。
視覚障害者の死亡率が一番高く、二番目に聴覚障害者が多かったそうです。
どうしてかといいますと、津波の音や避難をよびかける放送の音、みんなによびかけられたとしても聴覚障害者は全く気付かないんです。そして自宅に待機していたために逃げ遅れて津波に持っていかれてしまったというケースがあります。
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災害関連死 高齢者・障害者が多い原因は?東日本大震災と熊本地震の事例から考える(別のウィンドウで開く)
唯藤氏病院などでは、今までは通訳者を同行しておりましたが、コロナが感染拡大しておりますので、通訳者の同行を断られることがあります。
また、コロナ感染者のうち、聞こえない人は療養ホテルを希望していたとしても断られるケースがあります。コミュニケーションが取れないから断られてしまうんですね。
どうやって命を守っていけばいいのか、そういった差別を受けています。
これらの困りごとの背景には、聴覚障害者の社会参加を拒むバリア、考え方があります。
唯藤氏今、障害についての考え方が変わりつつあります。
以前は「障害者は個人の問題である」「努力をする必要があるんだよ」という考え方があったんです。障害を乗り越える努力を障害者自身に求められたんですね。
でもそれは違います。バリアをなくすというのは社会の方なんです。バリアをなくすのは私たちではなく社会の方です。
社会モデルという考えに移行しています。いい傾向だと私は思っています。
例えば、聴覚障害者の私たちでしたら、手話を言語として認めて欲しい。障害者権利条約では、手話は言語であるとはっきり明記されています。ですが日本ではまだまだ手話は言語ととして認識されていません。
★社会モデルについての詳細はこちらから
障害の社会モデル(共生社会と心のバリアフリー)
こうした状況を変えていくためには、私たち一人ひとりの意識を変えていく必要があります。
唯藤氏国民全員で、障害のあるなしに関わらず、誰も取り残さなれない社会の仕組みを作っていくことが大切です。
そのために全日本ろうあ連盟では、「手話言語法」や、「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション保障法」を実現するために一生懸命頑張っております。
コロナ禍での困りごとかの話から始まった本講演でしたが、最後には社会全体の仕組みにまで広がる壮大なお話しになりました。
まさにコロナが最たる例になりますが、現代ではどのような変化がいつ来るかが分かりません。変化の種類によっては誰が「取り残される」側になってもおかしくありません。
そんな時代でこそ、そもそも「だれも取り残されない」社会づくりが大切になってくるのではないでしょうか。
開催日時 | 2021年10月20日(水) 13:00-14:00 |
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開催形式 | 完全オンライン(ZOOMウェビナー利用) 手話通訳者を配置。UDトークによる字幕表示(予定) |
参加費 | 無料 |
ご登壇者様 | 川崎市市民文化局オリンピック・パラリンピック推進室 様 |
モデレーター | 公益財団法人日本ケアフィット共育機構 理事 髙木 友子 |
プログラム |
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