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災害に対する弱さ(脆弱性)は、人のライフサイクルによっても異なっていくものだと考え、その人の状況による備えを考える「防災ジェロントロジー」の考えに基づいた防災について紹介します。
今回は幼児のいる家庭、特に保育園や幼稚園に幼児を預けている家庭における防災について考えていきましょう。
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一般的に保育園は小学校に就学する前までの0〜5歳児を保育する施設であり、幼稚園は、3〜5歳児までの教育施設です。
現在3歳以上の幼児のいる家庭の9割以上が何らかの施設を利用しています。
https://www.mext.go.jp/content/1421925_08.pdf(外部サイト)
↑文部科学省 令和元年10月23日 幼児教育の質向上に関する検討会<参考資料3>幼児教育の現状(PDF)
厚生労働省「令和2年版 厚生労働白書」によると、共働き等世帯数の年次推移は年々増加しており、2020年の段階で1200万世帯を超えています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/20/backdata/1-1-3.html(外部サイト)
↑厚生労働省 令和3年版厚生労働白書 図表1-1-3 共働き等世帯数の年次推移
また、勤務先からのお迎えへの時間をみていくと、総務省統計局の「平成28年社会生活基本調査結果」を基にしたランキングでは、通勤時間の全国平均は1時間19分とされており、片道に換算すると39.5分です。
https://www.stat.go.jp/data/shakai/2016/rank/index.html(外部サイト)
↑総務省統計局 平成28年社会生活基本調査
つまり、幼児を抱える多くの家庭では、日中の時間帯に保育園や幼稚園を利用しており、災害時に保育園や幼稚園からお迎えの要請があっても、30分程度の時間を要することが分かります。そして、その間の対応は保育園や幼稚園が担うことになるのです。このことから、保育園や幼稚園では、各園における災害時の対策が求められているといえます。
2011年の東日本大震災では、14時46分の発生であり、多くの幼児が保育園や幼稚園で過ごしている時間でした。
各園により対応も様々でしたが、「帰宅できない幼児も多くいて、一晩保育園で過ごした」「園庭に出て避難していた」「津波に備えて園の屋上や、近くの高台に移動した」など、多くの施設が避難行動を行うことで被害を逃れることができました。
一方で、保護者に引き渡された後や高台に移動せずに園庭に留まったこと、送迎のバスで送迎中に津波の犠牲になってしまった例もありました。
災害時の避難行動は施設運営側に委ねられており、保護者への引き渡し方法や連絡方法が課題といえます。
この様な課題に対して、東日本大震災後には
など、様々な対策をしている園が増えました。
一方で保護者としては、
などが日頃からできることです。
幼児は自身では避難が難しい年齢です。保育園や幼稚園の施策も重要ですが、園まかせにせず、関わる大人一人ひとりが幼い命を守るためにできることを日頃から考えていく必要があります。
防災ジェロントロジーの考えは、防災、多様性、超高齢社会といったこれからの地域社会にも重要です。
地域福祉と地域防災計画など自治体においても欠かせない観点でしょう。
超高齢社会と共生社会を見据えた防災をお伝えしている、防災介助士が防災ジェロントロジーと地域の防災計画の第一歩に役立ちます。
防災介助士について詳しくはこちら(別のウィンドウで開く)をご覧ください
文責:防災介助士インストラクター冨樫正義
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