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皆さんこんにちは。ライターのメグです。
10月にテレビドラマとして「恋です! 〜ヤンキー君と白杖ガール〜」(https://www.ntv.co.jp/yangaru/外部サイト)がスタートしました。
前回、前々回の記事で、白杖の種類から使い方まで紹介してきました。今回からは、いよいよ実践編です。
街中で白杖を使用している視覚障害者を見かけた時の声かけのタイミングやポイント、助けてほしいときのシグナル「白杖SOS」について紹介します。
皆さんの中には、白杖使用者を見かけたけれど、声をかけていいのか分からず、声をかけられずに終わってしまったという方もいらっしゃるかもしれません。
私自身も、見える人たちにとって、私たち視覚障害者が助けてほしいと思っているのかどうか分かりにくいと思っています。
皆さんはどのようなときに白杖使用者に声かけしようと思いますか。
立ち止まっていた、白杖をいろいろな方向に動かしていた、様々あるかと思います。
これは、状況によって変化するためはっきりと「この時!」とは言えませんが、私のよくあるケースを3つ紹介します。
道に迷っているときにこのようなことをすることが多いです。
また、立ち止まっているだけの時は、耳をそばだてて周りの音を聞き取り、自分がどの場所にいるのか(歩道にいるのか、周りにどのようなものがあるのか)、
声をかけられる人がいないか探しています。
この場合も、道に迷っていることが多いです。
ほかの道を探したいけれど、探すこともできず困っています。
この場合は、普段使い慣れているはずの道を間違えてしまったときなどによく起こります。
私は電車に乗って空いている席を探したいけれど見つけることができないため、立ったままでいることが度々あります。
このような場面に遭遇した時には、ぜひ声をかけていただきたいと思います。
ただ人によって、電車の奥の席に連れていかれると降りる時に大変なので、戸口の手すりにつかまっている場合もありますので、座りたいかどうかを聞いてみてください。
この時のポイントは、“声をかける”ことです。
なぜ、“声をかける”ことが大事かというと、コロナ禍になってから、席を譲る際の声かけが急激に減り、その代わりに、ジェスチャーで「どうぞ」とされることが多くなったためです。
飛沫感染を防ぐために声を発しないでジェスチャーで教えてくれているのだと思うのですが、私はジェスチャーが見えていないため、音声情報が大切になります。
仮にジェスチャーをされたとしても、譲られていることすら気が付くことができません。
最悪の場合には、「どうして譲ったのに座らないんだろう」と思われてしまい、譲ってくれた方の気分を害してしまうかもしれないのです。
お互いに気持ちを伝えあうために、“声をかける”ことは、とても大切です。
もしかしたら困っているかも?という白杖使用者を見かけたら、どのように声かけすればいいか、簡単にお伝えします。
視覚に障害のある白杖使用者に声かけをするときはなるべく正面から声かけしましょう。
後ろや離れた場所から声かけされると自分に声をかけられているのか分かりにくいので、正面、もしくは飛沫感染を避けるために斜め前から声かけするといいです。
「あっちにレジがありますよ」、「もうちょっと進んでください」という説明では、“あっち”がどこのことなのか、“もうちょっと”がどれくらいなのか、分かりづらいこともあります。
正確な数字でなくてもいいので、「右手側に5メートル進むとレジがあります」「あと1歩進んでください」といった情報だとイメージしやすいです。
皆さんも急にからだを触られるとびっくりすると思います。
白杖を使用する視覚障害者を案内する“手引き”のときに、皆さんの腕や肩を白杖使用者に掴んでもらって移動しますが、いきなり手を触られて誘導したりせずに、「右手を失礼します」や「案内しますので右手を前に出してください」という声かけをしましょう。
また、白杖使用者は自分で動くことはできるので、命の危険が迫っているような状況を除いて、移動してもらいたいときはからだを押したり引っ張ったりしないようにしましょう。
声かけすればいいか分からない、どうやってお手伝いすればいいか分からない、と感じたら、本人に聞いてみましょう。
自分で決めつけないで、その人がどうしてほしいのか、聞いてみましょう。
「何かお手伝いできることありますか?」
「もしよければ案内しましょうか?」
と相手に選択できるような声かけがいいです。
ここまで、皆さんが手伝おうとしたときの見分け方や声かけのポイントをお伝えしてきましたが、私たちから皆さんへ「助けてほしい」とサインを送ることがあります。
白杖を両手で持ち、上に掲げるポーズです。
このポーズを「白杖SOS」と言います。
私や私の友人は、「手伝ってください」と声をかける方が早く伝わるため、あまり使ったことがないのですが、お話をすることが難しい視覚障害者や盲ろう者(目が見えない、耳が聞こえない人)が使うこともあるかと思いますので、ぜひ覚えておいてください。
白杖SOSに関しては、
「白杖は、本来周囲の安全を確保する目的で作られ使用されているため、地面から白杖を離して行う白杖SOSは本来の使用目的とずれており、本当に助けを求めているときに正しく伝わらない」
といった意見もあります。
本記事をお読みいただいた皆さんには、お声がけの合図の一つとして覚えておいていただき、
白杖SOSでなくても、
困っていそうな方がいたらお声がけをしてみましょう。
コロナ禍になって街中やお店の人からの声かけが減って困っているとお伝えしました。
皆さんも、コロナ禍で声かけしていいのか迷うこともあると思います。
皆さんがマスクや手指消毒など感染予防対策をしているのであれば、声かけをしてみてください。
声かけしたときに自分がマスクなどの感染予防対策をしていることを伝えると本人も安心してくれるでしょう。
いかがでしたでしょうか。皆さんが声をかける時の参考にしていただき、また、声を掛け合うことの大切さも感じていただけていたらうれしく思います。
本記事をお読みいただき、次は自分が視覚障害者をお手伝いする側になりたいと思ってくださった方は、ぜひサービス介助士をご検討ください。視覚障害者のご案内方法や声かけの仕方などの知識はもちろん、実際に会場におもむき実技を練習得する実技教習もあり、コロナ禍で感染しない・させない案内の実践のための学習をすることができます。
実技教習の会場は全国にありますのでチャレンジしてみてください。
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著者プロフィール
視覚障害と軽度の移動機能障害がある。2歳から4歳まで盲学校幼稚部、その後、小学校から高校まで養護学校(現在の特別支援学校)に通う。高校まで車いすを使用して生活をしていたが、大学入学後の訓練を経て、現在では白杖のみで歩行している。現在は、日本ケアフィット共育機でサービス介助士アドバイザーとして日常生活の過ごし方や生活上の工夫、障害当事者に対する介助のポイントについての講演、障害者向けのシステム開発や、視覚障害者用映画副音声の脚本作成の手伝いアドバイスなどを行っている。
サービス介助士とは高齢者や障害者など多様な人が暮らす社会で、年齢や障害の有無に関わらずに誰もが社会参加できるように必要なことをその人、その場にあったやり方でできる(=ケアをフィットする)人になるための資格です。
社会の高齢化や障害者差別解消法などへの企業の対応の他にも、高齢者や障害者が利用しやすいサービスや商品の設計、障害者スポーツでのボランティア活動など、幅広い分野で今後ますます必要とされる資格です。
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