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皆さんこんにちは。ライターのメグです。
前回は、白杖のおしゃれについてご紹介しました。
普段携帯するものだからこそ、おしゃれしたい!と思っていることが分かっていただけていたら嬉しいです。
今回は白杖から少し離れて、日常生活で必要になる“色”について紹介したいと思います。
皆さんの中には、「視覚障害者に色の話をしては失礼なのではないか」と思っている方もいるかもしれません。
しかし視覚障害者にとって、晴眼者が多い社会で暮らしていくためには、色は欠かせない概念です。
私は色の話は視覚障害者と晴眼者とでコミュニケーションをとることのできる素敵な話題だと考えています。
むしろ多くの人からたくさん色について教えてほしいと思っています。
私は物心ついたころから明暗が分かる程度の視力のため、色を見たことはありません。
私が初めて“色”を知ったのは、母から教えられた時でした。
「色にはたくさん種類があるよ。例えば赤は熱いイメージ、青は涼しいイメージ、黄色は元気なイメージの色だよ。」
と、まずそれぞれの色のイメージを順番に教えてくれました。
その後、それぞれの色のものにはどのようなものがあるのかを教わりました。
このように、私は色を見るのではなく覚えています。
色を覚えていたさなかに、小学校の図画工作の授業で絵具を混ぜて、いろんな色を作ってみよう、という授業がありました。
私以外の友人は全員晴眼者だったため、「赤と黄色を混ぜるとオレンジ色、赤と青を混ぜると紫!」などと楽しそうに色を作っていましたが、「オレンジ色も紫色もあるのは知っていたけど、別々の色を混ぜると一つの色ができるの?」と不思議で仕方がありませんでした。
これをきっかけに、色についてもっと知りたいと思うようになりました。
そんな私にも、好きな色が見つかる出来事がありました。
ある日、母とベランダに出ていた時でした。
夕方の風を感じながらおしゃべりをしていると、不意にとても強い光を感じたのです。
もともと光を感じられる程度の視力ではありましたが、その時初めて「光を感じた」と自覚したため、とても驚き、母に
「この光は何?」
と聞きました。
すると母は
「夕日だよ。」
と言い、同時に夕日がオレンジ色であることを教えてくれました。
その時に感じた涼しい風や夕方になり、家路につこうとする子どもたちの「バイバイ、また明日ね。」という声を聴き、「私、オレンジ色が好き」とつぶやいたことを今でも鮮明に覚えています。
見えていなくても好きな色を見つけることもできるのです。
色について知りたいと思う反面、「色を知っていないと不便だな」と感じることも増えていきました。
たとえば、携帯電話の充電器の使い方を説明してもらう時、「携帯電話にこのソケットを差し込んで、赤いランプが点いたらしっかりと充電できてるよ。」と説明されても、私はそれを確認することができません。
そのため、後日試行錯誤し、確認する方法をさがしました。
充電器を接続した状態で充電器の電力供給部分に耳を当てると、チリチリという音がすることに気が付き、充電できているか否かを確認することができるようになりました。
このように、晴眼者と視覚障害者が会話をしようとすると、色を知らなければ通じ合うことが難しい状況が起きてしまうのです。
それでも、晴眼者がどのような時に色を頼りにするのか教えてもらえることはとても役立っています。
それを教わることでお互いのすれ違いを防ぐことができるためです。
例えば、テレビの配線をつなぐ際、つなぎ方が分からない人に対して、「コードとソケットが同じ色のところにつないで」と、私から説明することもできるのです。
他にも衣替えで、洋服をクローゼットのどこに収納したのかを教えてもらう際に、 私が「首元と袖にフリルが付いているブラウスはどこ?」と聞くよりも「桜色で首元と袖にフリルが付いているブラウスはどこ?」と聞いたほうが、スムーズに伝わり場所を教えてもらいやすくなることもあります。
まだまだ私の知らない色がたくさんあるはずです。
もし、皆さんの中でも「この色きれいだな」と思ったら、ぜひ言葉で伝えてください。
皆さんの見たままの色を、さまざまな比喩や表現で教えていただければ、そのきれいさが私にも伝わるでしょう。
これまで、全5回にわたって連載させていただきました。
連載を通じて白杖や視覚障害者の生活についてご紹介していきました。
これまでは、白杖や視覚障害者について知られていないがゆえに、誤解が生まれてしまったり差別的な事件が起こってしまったりしていました。
昨年はたくさんの方がドラマ『恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜』をご覧になっており、視覚障害者や白杖について知る機会が増えて、今後はもっともっと私や他の視覚障害者が生活しやすい環境になっていくことでしょう。そしてドラマでは描き切れなかった白杖の現状や視覚障害者の実態を知る手段として、この連載が少しでも役立っていればうれしく思います。
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。
障害についてもっと学びたい、自分にも何かできることはないか、とお考えの方に、日本ケアフィット共育機構は様々な情報、学習プログラムをご用意しています。
中にはオンライン完結で学べるものもあるので、ぜひ一度下記のページを訪れてみてください。
■障害や高齢について、自分と大切な人のための知識と技術をしっかり学びたい
■そもそも障害って?どんなことがお手伝いになるの?といった知識をサクッと学びたい
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今回は白杖から少し離れて、日常生活で必要になる“色”について紹介したいと思います。
著者プロフィール
視覚障害と軽度の移動機能障害がある。2歳から4歳まで盲学校幼稚部、その後、小学校から高校まで養護学校(現在の特別支援学校)に通う。高校まで車いすを使用して生活をしていたが、大学入学後の訓練を経て、現在では白杖のみで歩行している。現在は、日本ケアフィット共育機でサービス介助士アドバイザーとして日常生活の過ごし方や生活上の工夫、障害当事者に対する介助のポイントについての講演、障害者向けのシステム開発や、視覚障害者用映画副音声の脚本作成の手伝いアドバイスなどを行っている。
サービス介助士とは高齢者や障害者など多様な人が暮らす社会で、年齢や障害の有無に関わらずに誰もが社会参加できるように必要なことをその人、その場にあったやり方でできる(=ケアをフィットする)人になるための資格です。
社会の高齢化や障害者差別解消法などへの企業の対応の他にも、高齢者や障害者が利用しやすいサービスや商品の設計、障害者スポーツでのボランティア活動など、幅広い分野で今後ますます必要とされる資格です。
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