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コニーは何しに日本へ?〜オーストラリアと日本の手話について

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オーストラリアと日本の手話について

皆様、こんにちは。コニーです。【コニーは何しに日本へ?オーストラリア人留学生が考える共生社会シリーズ】をお届けします。
言語は、情報の伝達を行ったり、知識を得たりするためだけではなく、人と人とのお互いの交流と理解のために非常に重要なものです。
しかし、聴覚障害者にとっては、それらが制限されることがしばしばあります。
聴覚障害者とコミュニケーションをとる方法の一つである手話。今回は、オーストラリアと日本の手話についてお伝えしていきたいと思います。

まず、手話の構造について紹介します。私が大学生の時、手話の体験授業があり、オーストラリアの手話を初めて学びました。授業はとても興味深く、そこから新しい言語の扉が開けました。

Auslan

オーストラリアでは「Auslan(オースラン)」という一般的な手話があります。Auslan(オースラン) とは、“Australia”と“Sign Language”を合成した言葉です。
手話は国によって構造が異なります。オースランはオーストラリア英語のように、イギリスの手話とニュージーランド手話に関連していますが、文法は異なっています。同様に日本手話も日本語の文法と違い、手、眉、顎のうなずき方、顔の表現なども文法の一つと言われています。

The concept of “Deaf gain”, not “hearing losses”

現在、「難聴」はオーストラリアで大きな健康問題とされており、六人に一人が「難聴」になるといわれています。この数は高齢化が進んでいるオーストラリアでは今後増えていくことが予想されています。
日本でも聴覚障害者は約34万3千人と報告されています(厚生労働省 平成18年身体障害児・者実態調査結果)が、加齢などで聴覚に障害がある人を含めると、600万人以上いると言われています。

(Princess Alexandra Hospital, 2008)
https://metrosouth.health.qld.gov.au/sites/default/files/dmh-guidelines-1.pdf(英語)外部リンク

最近、「耳が聞こえないということは、聴力がなくなった、ではなくて、多様性を得たということ」という概念がオーストラリアで広がっています。聴力が落ちている方、又、もともと聞こえない方たちは聴力欠如ではなく、人間の多様性の一つとして社会で活躍していくという考え方です。

Guide Dogs Victoria

現在、オーストラリアの学校でオースランは第二言語として選択科目があり、一般の方でも中学校、高校、大学で勉強できるようになりました。このことにより新しい視点から障害の定義を理解できるようになるはずです。

2 [Murray, 2012]
https://www.oxfordhandbooks.com/view/10.1093/oxfordhb/9780195390032.001.0001/oxfordhb-9780195390032-e-014(英語)外部リンク

一方で、オーストラリアではテレビや公共イベントで手話翻訳は日本に比べてまだまだ少ないので、日本のようにテレビやニュースで避難情報を発信する際も、平等な情報を得られるように手話で説明があるといいと思います。そして、両国でメディアを通じて手話や障害についてさらに取り上げる番組やイベントがあると、聴覚障害者に対する理解も広がると思っています。

このように、手話も言語の一つとして、聴覚障害者を理解しようとする気持ちをもって、お互いにコミュニケーションをとると、きっと今までよりやさしい世界が広がると思います。
日本ケアフィット共育機構では手話のカフェがあります。手話に興味を持った方はぜひ手話カフェにお越しください!


手話カフェ

手話カフェ

サービス介助士で触れた手話をもう少しだけ知りたい、手話を使ってコミュニケーションをとってみたい、、、。
ろう者を講師にお茶を飲みながら手話を楽しむカフェ交流会です。
お仕事が終わってリラックスしながら気軽に手話に慣れ親しみたい方にぴったりです。

ちょこっと手話カフェ


コニーさん

ライター・ コニー
オーストラリア・メルボルン出身
中国とオーストラリアの小学校に通い、留学経験などを通じて、英語のみならず、中国語、日本語、韓国語なども使いこなすマルチリンガル。
言語聴覚士を目指し、大学院で勉強中。



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